【桐壺151-②】古文解釈~誰もを虜にする光の宮☆
【古文】
いみじき武士、仇敵なりとも、見てはうち笑まれぬべきさまのしたまへれば、えさし放ちたまはず。
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【これまでのあらすじ】
桐壺帝は、それほど身分の高くない桐壺更衣ばかりを溺愛してしまったせいで、更衣は、周囲の反感を買い、皇子を残して病死してしまいます。その年の冬に、皇子(光の宮)は、帝のもとで育てられることになります。光の君御年7歳。
今日は、「弘徽殿と光の宮」のお話です。
(※今回のイラスト訳はこちら→ )
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帝は光の宮をお手元に引き取ってからというもの、
どこへ行くにも、光の宮を自分のそばから離しません。
公務で、大臣や武士に会う時もあります…
「いみじき武士」とは、
【いみじ】は、文脈によってプラス・マイナス様々な意味に変化する古文単語でしたね。
(※詳しくはこちら→ )
判断材料は、
■「武士」の形容になっていること。
■直後に、「~とも」と、逆接の仮定条件
こんな武士であっても、
光の宮を見ると…、
この、逆接のつながりから、
「いみじ」を文脈判断してください!
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「仇敵」とは、憎いかたきのこと。
光の宮に、憎いかたきなんて…ねぇ!
まだ子どもなんだし…^^;
ですが、
これまでに出てきた、ライバルといえば、
帝の妃たち…
桐壺更衣を、後宮でいじめぬき、
桐壺更衣が亡くなってからも、その憎しみは消えることがありませんでしたよね;;
しかし、そんな仇敵(弘徽殿女御)でさえも、
光の宮を見ては、ついつい、微笑んでしまいます^^;
うち笑まれぬべき さまのしたまへれば、
【うち】は接頭語☆
「なんとなく」とか、「ついつい」など、
ほんのちょっと、という意をつけ足します。
「ぬべし」の【ぬ】は、完了の意でなく、強意になります!
入試にもよく出るので、きちんと訳出できるようにしましょう!
訳)つい微笑まずにはいられない 様子でいらっしゃるので、
「微笑むにちがいない様子」
「きっと微笑むであろう様子」
「微笑んでしまいそうな様子」
等々、訳出は自然になるよう、工夫してください♪
あと、「…さまのしたまへれば」について補足☆
「の」は、主格の格助詞です。
直訳すれば、
…さまのしたまへれば
訳)…様子がしなさったので、
となりますが、ちょっと現代語には不自然なので、省略しました^^;
「れ」は、完了の助動詞「り」の已然形でしたね☆
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そのような光の宮の神々しさ☆
誰しもを虜(とりこ)にする魅力☆
その実父である帝は、
光の宮を、放ってはおけません!
え さし放ちたまはず。
【え~ず】
…~できない(不可能)
【さし放つ】
…放っておく、手元から離し捨てて顧みない
訳)放っておくこともおできになれない。
帝が主語なのに、
最高敬語ではありませんね!
こういうの、古文で多いですよ↓↓
最高敬語なら →(確率高)→ 帝が主語
帝が主語なら →(確率低)→ 最高敬語
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■【いみじ】
■【仇敵(きうてき)】
■【なり】
■【とも】
■【~ては】
■【うち~】
■【ぬべし】
■【たまへり】
■【え~ず】
■【さし放つ】
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
あいでした