■ NHK-G 「ブラタモリ×鶴瓶の家族に乾杯 真田丸スペシャル」



初放送2016/1/2(土)19:30~20/43、再放送1/9(土)15:05~16:18 


取材協力: 

上田市、上田市立博物館(上田市二の丸3-3)、上田小県近現代史研究会、
上田駅(天神1)、真田氏歴史館(真田町本原2984-1)、真田塗装(真田町本原中原1647-3)、県立上田高校(大手1-4-32)、松原美容院(中央6-15-12)、
長野県環境保全研究所(長野市安茂里米村1978)、長野県立歴史館(千曲市屋代260-6)、
尾崎行也、小和田哲男、千田嘉博、土屋郁子、寺島隆史、平山優、
他。

資料提供: アジア航測、上田市マルチメディア情報センター(上田市下之郷812-1)、東京地図研究社。


ディレクター: 濱野慎司(鶴瓶の家族に乾杯)、森崎章子(ブラタモリ)
プロデューサー: 大海紀子(鶴瓶の家族に乾杯)、垣東大介(ブラタモリ)


【キャスト】 

タモリ
笑福亭鶴瓶
堺雅人
小野文惠アナ、桑子真帆アナ

ナレーション: 草彅剛(SMAP)、久米明


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【あらすじ】


タモリさんと笑福亭鶴瓶さん2人が旅をするのは、真田家の本拠地である長野県上田市。
旅には、大河ドラマ「真田丸」で主人公・真田信繁(幸村)を演じる堺雅人さんが同行。

同じ日、同じ時間、上田市でタモリさんは町の歴史と地形に拘(こだわ)った旅を、鶴瓶さんは土地柄や人柄に拘った旅を行う。
それぞれの旅を通して、大河ドラマ「真田丸」ゆかりの場所・上田を浮き彫りにする。


長野県上田市JR上田駅前でタモリと鶴瓶が合流。
真田幸村の像を見た鶴瓶「この人が何をした人か全くわからない」
タモリは「興味ないでしょ。あなたの番組は、偽の人間性を見せかけて町をブラブラ歩いて」と突っ込んだ。

ここで堺が登場。
タモリ「3つの番組のコラボ企画だ」
堺「あちこちに六文銭がある。上田市には幸村の父の昌幸が造った上田城がある」


スタジオトーク
鶴瓶「両極端な番組。鶴瓶の人間性を全て否定する」
タモリ「俺たちは過去とか地質に拘る、鶴瓶は現代に。一緒になったら理想の番組。そこにドラマが入ってくる」
堺「一緒に上田を歩ける。こんな役作りはない」


駅前から上田城を目指す上田城を目指して移動。
堺「ロケで上田の人にはお世話になった」
タモリがマンホールに六文銭がデザインされているのを見つける。
鶴瓶は途中にある店の看板に注目して「こっちのが気になる」。
別の店の前に木彫りの動物の像があるのをタモリが見つけると、
鶴瓶はすぐに店に入っていき、タモリ「俺ら、絶対入れないよ」
お店の人に聞くと、木像は上田市が舞台のアニメ映画「サマーウォーズ」のキャラクターとのこと。

タモリ「城下町独特のクランクの道。近くに宿場町がある」
鶴瓶「32年もいいとも! をやってていつ行く時間があったの?」
タモリ「行けないので、楽屋で地図を見てる。自分に行った、と言い聞かせてると行ったかのように喋ってしまう」。
タモリと堺は古地図を見て道と照らし合わせていたが、
鶴瓶は全く興味を示さず「はよ行こうや!」
堺「古地図で案外歩けるものですね」。

名城・上田城に入ると、真田幸村や家臣の姿で観光客をもてなす「信州上田おもてなし武将隊」。
桑子真帆が登場
桑子「これからタモリさんと鶴瓶さん二手に分かれて頂きます」。


スタジオトーク
堺「道中が楽しかった」
ドラマ撮影で使う鎧を紹介して、堺「殺陣がしやすい軽い素材で作られている」
タモリは鶴瓶の姿勢について、「財界の大物がインタビューを受けてるみたい」


タモリには「真田の城造りのスゴさとは?」というお題、
鶴瓶には「無類の真田好きを探せ」とのお題、がそれぞれ出された。


*


上田市教育委員会文化振興課・学芸員の和根崎剛さんが登場。

和根崎「真田が上田市を治めていたのは39年と短い。上田城は破壊され現在の上田城には真田の痕跡は基本的に残っていないと考えられている。

水のない空堀(からぼり)を見て
堺「ちょっと穴が開いている」
タモリ「排水?」
和根崎「空掘なのに水を抜く穴って必要でしょうか? 真田の頃はこちらにも水があったのではないか?」
「信州上田城絵図」(国立公文書館・コピー提供)
和根崎「恐らく徳川がここをコテンパンに壊した時に偶々、この箇所だけ残った。真田の痕跡と考えられる。
今日は堀の痕跡を辿りながら、上田城を歩きたい」
堺「堀を見ながら城を巡るなんて、今までなかった!!」


かくして一旦、上田城を出て東側の二の丸の堀へ移動。大手2丁目。
沿道のオバアチャンより、「真帆ちゃん、キレイになったね~!」の声が飛ぶ。
続いて「最初に出ていた時は、イモ姐ちゃんだなと思ってた」と蛇足。
和根崎「長野には桑子ファンがたくさんいらっしゃいます」
実は、桑子アナは新人時代に長野放送局にいたのだ。

和根崎「徳川には堀も埋め立てられた」
タモリ「じゃあ掘り返したということ?」
関ケ原の戦いの直後に埋められ、後に城を再建した時に掘り返された。
タモリ「この(土手の)土壌は脆(もろ)くて掘りやすそう」
和根崎「この後、地質の先生が詳しくご説明します」

地形の話なら続けて---
上田城付近の地形図を見て、
タモリ「千曲川ですね。河岸段丘を利用している。堺「凄い」
真田は南側の防御策として河岸段丘を利用した。更に当時は崖の下を千曲川が流れていたので、敵の侵入を拒むことができた。
タモリ「南の備えは万全、守りは南側完璧ですよ」
堺「真田昌幸みたい !」 戦国武将級のもの言いに驚く堺。


*

一方の鶴瓶は車で「真田の郷」を目指し移動。
鶴瓶「真田さんを探す」と目的を変更。
以下、中略。


*

上田城の空堀の裏から観察。穴が外側からも見える。
和根崎「(石の)色の違いに気付かれますか?」
材質についてタモリ「凝灰岩(緑色)っぽいですね。こっちとの違いは安山岩(橙色)」 堺はただただ呆れるばかり。
ここで悪乗りして「凄く子どもが産まれやすい(安山岩)」
凝灰岩の石垣は後で築かれた。石の種類の違いは石垣を造った時期の違いでもある。
タモリ「ここ(橙)からが真田家、ここ(緑)からが仙石家とも言えるのですか?」
和根崎「私もそう思っています。丁度、線のように分かれ目、隅の石を『算木積み』にしています」
「算木積み」・・・崩れやすい石垣の隅(稜線)を補強するため、石を交互に積む(平面図では長短が交互に見える)。
そうして後に、石垣を積み増した。

更に和根崎「真田の頃の痕跡かもしれない石垣が残っている」
ヒントは「算木積み」を探せ ! だ。
階段の踊り場的な台形を発見。
タモリ「もしかして水運? ここが船着場だった可能性がある」
和根崎「そうだと思います。丁度この辺りは尼ケ淵。船着き場として都合がいい場所」
堺「わぁ! 尼ケ淵 ! セリフで言います!言う言う。自分のセリフが実物になって出て来ると、楽しくって」
タモリ「お勝手口みたいなもんですね」
和根崎「非常時の脱出経路としても使える」
堺「凄いぞ父上 !」
タモリ「真田として認定」


上田城の西側を見て歩く。
タモリ「堀の跡を利用した球場みたい」
その通り、堀の底は野球のグラウンドに、土手は観客席になっている。

タモリ「これはいい利用方法。真田は後の世の利用まで考えているね」

当時(1582年頃)の真田は、北を上杉、東を北条、南を徳川という巨大勢力に囲まれ、敵方は迫って来ていた。
和根崎「四方に山城があったため防御策が必要だった」
堺「上杉の虚空蔵山城(こくぞうさんじょう)っていうのがドラマに出ていたけど・・・」、和根崎「まさにあそこです」、堺「あれーっ!!」 
直ぐ傍に上杉。タモリ「なんでこんなに広い堀が必要なのかな? と不思議に思っていたが、これじゃビビル」。


その他に、横長の堀の跡も何かの施設に利用されている。
堺「陸上競技場?」、やられたと思って透かさずチャチを入れるタモリ「弓道かアーチェリー」、堺も乗って「ボーリング場とか」。
見に行くとやはり陸上競技場になっている。和根崎「うまい具合に400mトラックが入る」
更に痕跡を探す。タモリ「あっち側の石垣に残っていそう」と鋭い眼。堺も鋭い「排水溝か引き込み溝がないと」
タモリ「雪山が !」、和根崎「あの山が3回白くなると、この辺の里も雪が降ると言い伝えられています」、堺「アドリブで入れようかな !」

堀に水を通すために造られた石の樋(とい)の跡。
堺さんはここまで !のカンペが入ってしまう。この後は鶴瓶と合流すると指示され「地質学者の先生に会いたかった」。
以下、中略。


*


長野県環境保全研究所の専門研究員・富樫均さんが登場。
上田市の地質について解説。
タモリ「(下の層は)丸っこいから河原の石」、富樫「そうですね、千曲川の河原の石、上の方が『上田泥流』と呼んでいる、訳有りの地層」
「上田泥流層」は城造りに持って来い。2万数千年前に現在の浅間山付近で大崩壊し周囲の地層を巻き込んでゴチャ混ぜ==不揃いな礫(れき)の間を細かな火山灰の砂・粘土が埋め尽くしている==の泥流となって上田盆地を覆い尽くした。
そのため非常に水を通し難い。
タモリ「これ脆(もろ)いですよね」、富樫「というよりも、①軟らかいので掘り易い②軟らかいのに垂直の壁を造れる程、意外と崩れ難い」。急角度の斜面を造り易い、水を貯め易い。
タモリ「工事はし易い、崩れ難いという相反するものを持っている」
富樫「水の流れをデザインできる特長を持った地質だったんです」、水に囲まれた天然の要塞を構築できた。地形・地質ともに城造りに最適な場所だったのだ !!
富樫「真田は、この地形と地質を見てピーンと来たんだと思います」、タモリ「凄いマニアですね」


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真田が造った城下町を流れる川。城の外堀になっていて、川のに沿って街道が設けられ町家を隙間なく配置し、防御を強めた。
その時、民家のワンチャンが盛んに吠える。真田城下の防御機能の表れ?
そこでタモリさんが自分のお尻を向けて服従の姿勢を見せると、ピタリと吠え止む。

最後は究極の防御策。
当時既に暗渠にしていた。
和根崎「真田が防御のために造った可能性がある」
敵が攻めて来ると、橋のみならず暗渠の上の民家諸共ガサッと壊して遮断(しゃだん)する。奇想天外の策。
桑子「ここに住んでた人たちは家が無くなっちゃう」、タモリ「しょうがない、そういう約束で住んでいるから」、桑子「そんなのイヤです」


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スタジオトーク

堺「(農園の)西村さんはピンチをチャンスに変えた。まさに真田のよう」

タモリ「辻褄(つじつま)を合わせてません?(鶴瓶は)何もやってないよね?」

堺「(2人について) 同じことをおっしゃってるのかなと。
昔の石垣にも人の息吹があり、知恵と生活と体温が感じられる。
鶴瓶さんが大事にしてらっしゃるのは、生の人と触れ合うこと。
実は同じこと、LIFEのことを言ってるんじゃないのかな」

堺さんは、苦しいながら落とし所を鶴瓶さんのTシャツ"LIFE"に持って行って、劣勢の鶴瓶軍を防御したのだった。