数日前、シリアから周辺諸国に逃れた難民の数が44万人を超えたと報道されました。トルコが多いようですが、ヨルダンにも数万人規模で難民が逃れてきており、その多くは北東部マフラック県のザアタリに設置されたキャンプに避難しているようです。
マフラックはパレスチナから続く地中海側の緑豊かな丘陵地帯が終わり、イラクへと続く沙漠へと変わるところ。ホコリっぽい土の沙漠が地平線まで広がっています。これからの冬の季節の冷え込みは相当厳しい。シリア南部はダラアもボスラもスウェイダーも、わりと水に恵まれた街ですので、そこから来た人々には沙漠の避難生活は大変でしょう。
ザアタリには上から見るところがあまりないので、北に6kmほど離れたウンム・アルジマール遺跡からみた周りのようすが上の写真です。ボスラ遺跡と同様、ハウラン山脈産出の黒玄武岩が使われている遺跡です。写真奥がザアタリの方向ですね。
現地の状況は
特定非営利活動法人ジェン
などをご覧になられるといいかと思います。
マフラックのムジャンマ
さて、ヨルダンにいた時はあちこち出張やら散歩やらしていましたので、ヨルダン国内ほぼ全てのムジャンマ(バスターミナル)に行ったことがあるのですが、シリア国境に接し、東西と南北の道路が交差する交通の要衝マフラックのムジャンマにも、もちろん何度も行ったことがあります。
マフラックには街のど真ん中にあるヒジャーズ鉄道駅の前に、古いムジャンマ(ムジャンマ・ガディーム)があって、シリアへのセルビスや、イルビッドやラムサといった西側丘陵地帯へのバスはそっちに発着しているのですが、アンマンやザルカへの長距離バスや、東側の沙漠地帯に点在する集落へは、郊外のバイパス沿いにある新しいムジャンマ(ムジャンマ・ジャディード)に発着します。ムジャンマ・アンマンでも通用したように記憶しています
新しいムジャンマなのですが、イルビッドのように建物や乗降ホームがあるわけではなく、軽食やお土産、食材店が並ぶ門前町を抜けると、裏の広場に窮屈そうにマイクロバスが並ぶ、こじんまりとしたところです。
ザアタリ行きバスの行き先表示
ヨルダンのマイクロバスには、側面に行き先表示が書かれていることはこれまでにもご紹介していますが、こうやって後ろを向いて止まっている数々の沙漠の小邑バスには、ザアタリ行きもあるわけです。アラビア語表示で
左側 右側
ザアタリ الزعتري マフラック المفرق
ですね。
ただし、幼稚園やら3階建て住宅やらが集まっている村の方へ行ってしまいますので、あしからず。キャンプは村の奥、東側2kmに位置しています。
ワゴン車もある
そうはいっても所詮は村。マイクロバスがいっぱいになる20人もの客がそうそう集まる訳ではありません(アーディは満席発車が原則) そこで活躍するのが、ワゴン車を改造した写真のミニバス。白タク? いえいえ違います。ちゃんと前面窓下左右に行き先表示があります。よく見るとナンバープレートも営業用の緑色になっていますね。なお、現在はユーロっぽいデザインに変更されたので、遠目からはわかりにくくなりました。
これを撮影した日は3月初めの非常に気候の良いときでしたので、運転手のみなさんも機嫌がよく、あちこちから写真を撮ってくれと声がかかってたいへん仕事?がしやすかったです。
撮影を終えて、さてアンマンに帰ろうとすると、「アンマン? ハラス!(終わった)」
なんとアンマン行きの大型のアーディバスは、マフラック発15時頃で終車となってしまうようです。
あわてないあわてない。写真のザルカ行きマイクロバスは出るということなので、ザルカのムジャンマ・ガディーム→ムジャンマ・ジャディード→アンマンのムジャンマ・ラガダン→自宅と、乗り継いで帰りました。