「05」いちぜん!「特に変わり映え無し」13:10~13:30「07」

最終参戦:2021/12/18:『開熱納年:アイドルへの熱量以てこそ現場は応える

初手からなかなか厳しい書き始めにはなるが、まあ、率直に感じた次第である。

ダンスの難易度はさほど変わってないし、完成度、つまりはキレとか細部に渡るしなやかさ、さらには躍動感など、正直言語化や要素化が難しいほどに、ダンスの良し悪しを説明するのは難しいのだが、ここで取り急ぎ挙げた要素だけでも成長が見られなかったと感じたのは間違い無いし、かといって、どう攻めるのが正しいのかが見えてこないのもキツイ。

Twitterのプロフ欄にも、特にコンセプトが何だとかは書いてないし、特に設けてないのだと思う。だからこそ、手数の多いダンスの割にはフリフリの衣装だし、全体的に小柄なメンバーが多い中で躍動感を求められるダンスが多い。と書くように、プロデュースに一貫性が無いために、どこか物足りなさを感じてしまったのかもしれない。

ただ、それでも応援してくれるファンはおり、それは動員レベルでも言える。フレオの中では古参グループではあるし、古参メンバーも少なくない。故に、長く支えてくれるファンがいる証であり、その愛の深さを考えれば、おそらく、もし続けて議論したところで、破られ難き関係性を前に、何も意味を為さない議論と化すに違いない。

 

 

 

「06」テラス×テラス「最後にして最大の歌唱ギャップ」13:30~13:50「08」

最終参戦:2022/4/30:『輝祝新宿:グループ存続に欠かせない功労者:昼

ツキアトと比べて、コンセプト的に、それほど高い実力を求めてはいない。さすがに筆者もそこまで馬鹿じゃない。ただ、だとしても、最低限こなすべき、アイドル以前に音楽の提供者、歌い手として達成しておくべきレベルというのが、トリ曲で破られたように感じた。

正直、これは観賞レベルで深く対峙しなければ見えてこないポイントである。そのため、専ヲタはまず気にならないだろうし、運営や他メンバーにとってもあー少し音外れてたねぐらいで片付けられる件だとは思う。しかし、同事務所ではニジマスが卒業を控え、行く行くは先輩グループとして目指される立場になると予想される以上、まだこの変化が訪れていない段階で、基本的なヌケモレは改善しておくべきだろう。

とはいえ、こうした細かなところを突き詰めすぎると、テラテラが一番に有しておくべき要素、笑顔が似合う明るく元気な雰囲気、というのが喪われかねない。そのため、ここは慎重にバランス維持してうまく教育していかねばならない。と考えると、その困難性に直面するので、むしろ、自然な実力派アイドルが多い今日、逆張りで釣りとかレスで固めて攻めるアイドルがいてもいいんじゃないか。アイドル界とは、確かに、自由であるべき世界だ。

 

 

 

「07」メイビーME「地道な積み重ねあってこその活気」13:50~14:10「06」

最終参戦:2022/5/4:『輝祝新宿:グループ存続に欠かせない功労者:夕

物販1「緑」新庄愛「サインなし2shot」0円 (新規特典)

筆者の認識が正しければ、現存するライブアイドルの中でも、経歴の長いアイドルグループである。コロナなど含め、苦楽を共にしてきた仲間だからこそ、ライブ中に自然と為し得る「阿吽の呼吸」でパフォーマンスの完成度を飛躍的に上げられるのだ。

Twitterではコンスタントに可愛いし、グループの雰囲気なども加味して、確かに推され得るアイドルだとは認識していたが、まさか今回の対バンであの動員の多さを実現させてくるとは想像以上であった。もっとも、dot yell fesがアイドル対バンイベントの中でも知名度が高い故なのかもしれないが、対バン全体考えても、正直それほど動員プラスに繋がる要素も見つからないため、普段の何気無い対バンでも動員できている、と捉えたい。要は、今回の動員の多さは偶然ではないはずだというのが、希望的観測も含めた見解になる。

最近のメイビーMEは、かなり高く評価できるアイドルグループというのもあって、今回、満を持して物販開拓を行った。対象は、グループを牽引し先陣を切る者として欠かせないと考えている新庄を選定した。筆者の直前で、お渡しですーで粘っていてスタッフが困った様子だったのが印象的だったので、むしろ早めに剥がれてやろう()ぐらいに撮影を終えてすぐに口数少なく離れようとした。ただ、さすがにアイドル、以前に一人の人間、えっせっかく来てくれたのに何も話そうとしないって何?ぐらいに思ったのだろうが、若干慌てた様子で、どこメインで応援されているんですか?と訊かれた。おいおい、筆者に対してそれは沼じゃないか、と思い乍ら、特に決めてないです、と答えて、その場を去った。

今回の対バン全体を振り返っても、決して、物販が繁盛しているとは言い難かったし、いくらライブが大好き、既存ファンが大好き、そしてメンバーが大好き、だろうと、新規特典のシステム上、せっかく来てくれたのに全然相手のことを知れず、かつ手持無沙汰な時間が多い、というのは、正直、アイドルにとってはかなり堪えるものだと思う。とはいえ、多々経験してきたアイドルたちだ。慣れているに違いない。杞憂に終わってくれると信じて、今後も特典を活かした「種蒔き」が続いてくれると期待しようじゃないか。

 

 

 

「08」ベンジャス!「真面目に向き合う姿勢の伝播」14:10~14:30「06」

最終参戦:2022/3/6:『多讃新宿:語り多きドラマこそアイドルの真髄:超称賛編

結局、今回の対バン、予定外の物販開拓は行わなかった。メイビーMEの新庄にしろ、(これは後述だが)セツスタの佐藤栞にしろ、「ライブが良くてタイミングが合えば回収しよう」と、頭の片隅にしろ思っていたアイドルであった。合わせて五名、物販回収したために総数的には十分だったのだが、もし、ベンジャスで誰かを予定外物販開拓していたら、今どんな気持ちで参戦レポを執筆していただろうかと、若干の後悔に駆られている。

今回も安定の歌唱力の高さであった。特に凄いのが、悪目立ちしてしまうメンバーが一人もいなかったことだ。数多くアイドルグループを見ていると、誰か一人は歌で足を引っ張るメンバーがいる、というグループ構成になってしまっているケースが少なくないことに気付く。そのため、そもそもアイドルグループをプロデュースする時点で基本的なことなのかもしれないが、この「当たり前」がちゃんと「当たり前」として、安定してライブ提供できているところが、ベンジャスの一番に素晴らしいところだと考えている。

じゃあその実現にあたって必要なのは、と考えると、一言コメントの内容に辿り着くのである。彼女たちは、至って真面目なのだ。今の時代、様々な要素が「邪」として入ることなど容易なはずなのに、うまくシャットアウトして、ステージングの質向上を実現させている。

この真面目さというのが、ただ歌が上手いだけではなく、安定して歌唱力高くステージングすること、に繋がっていると考えているが、それだけではなく、どの楽曲に対して、音楽を信じて取り組む姿勢にも繋がっているのではと、筆者は考える。歌詞やメロディー、世界観など、もはや今の時代、たかがアイドル音楽、と軽視するのが錯誤なのは言わずもがなだろうが、仮にプロデュース側でこれを叶えたとして、演者自身が台無しにしてしまっては意味が無いのだ。もっとも、現存するライブアイドル、大半は(少なくとも売れているアイドルに限っては総じて)この音楽表現という要素を見事にクリアしているのだが、もはや今日、それがベースラインになってしまっているのでは、と思うほどに、どのライブアイドルも非常にレベルが上がっている。ある意味、アイドルを始めにくい時代になった、とも思ってしまうのだが、話を戻して、その基準点クリアに限らず、より深く対峙しライブで表現する、というところもまた、ベンジャスの素晴らしいところで、長くなってしまったが、これもまた、アイドルという職業に対する真面目さの証だと、筆者は考えている。

その真面目な姿勢、というのは、ファンはアイドルを映す鏡だと言われるように、ファンもまた真面目にライブに向き合っているのが、現場を見てもすぐに解る。もちろん、ベンジャスが好き、推しがいる事務所が好き、たまたま対バンで被ってた、など理由は多岐に渡るだろうが、やはり根底として、ライブという瞬間的、刹那的な造形物への愛が深いこと、そして演者の表現に対して応えたいという想いが強いこと、などがあって、あのスタンディング量、そして活気に繋がったのだと考えたい。もはや自明に近いが、筆者もまた強く同意できるスタンスのために、次回参戦時までには推しを決めておきたいものだ。

そういえば、今回のライブ観て思ったのは、ライブに全力な姿、自然な表現力の高さ、そして担当カラーを前面に押し出した衣装、など踏まえて、Appare!とかなり相性が良いんじゃないかと思った。もっとも、AppareはAppareで企画プロデュースが自発的なので、ツイートという形態でも、提案などはしない方がいいだろう。おそらくだが、両者が出逢い、ソウルメイトに近い関係になるのは、自然と起きるものなのではと予感している。

 

 

 

「09」ハニースパイスRe.「振りコピで誤魔化すスタイル」14:30~14:50「07」

最終参戦:2022/4/3:『創演届陽:新芽に継承されるライブイズム

という一言コメントにしてみたが、ちゃんと説明すれば、

・過去参戦で、観賞では称賛に至らなかった(複数回)

・ハニスパのライブは基本的に振りコピで楽しむのが筋

ということで、アイドル議論する筆者らしからぬ、かもしれないが、スタンディングで振りコピで堪能するのであった。ただ、理由としてはこれに限らず、筆者の前方、そして後方の客がスタンディングな立ち回りだったためもある。

まあ、振りコピにしても、たとえば前述のベンジャスなど、迷い無く称賛できるライブであればその素晴らしさは直感的に気付くものであり、逆に今回そうでなかった以上、やはりいちぜん同様に、ハニスパも前回参戦から特に成長は無かったと見做すべきだろう。

もっとも、この両グループは事務所は違うが、もはや今日、事務所内でマネジメントは分業化されていると見做すべきで、故に、グループ全体での実力や姿勢など、事務所内で画一的だと考えるのがもはやナンセンスなのである。だからこそ、如何に個々人が主体性を持って、意識を変えてアイドルと向き合うかが求められるのである。

 

 

 

「10」さよならステイチューン「対内輪な詰めの甘さ」15:00~15:20「05」NEW!!

本人たちがそれを望んでいるかは関係無く、対バン形式というのは、他のアイドルが目当てでライブを観に来る客に対しても、ライブをするということになる。つまりは、たとえば拠点とする劇場やカフェなどでの対内輪のそれとは別のものとして扱うべきなのだ。

今回のライブ、果たして彼女たちには、その根本を理解していたのか、と考えると、正直、詰めが甘かったように感じるのである。この「詰め」とは、対バン出演にあたってボイトレやダンスレッスン、リハーサルなど、何かしらの準備をしてライブに臨むのはどのアイドルも同じだが、その準備をどこまでやるのか、を指したもので、もはや今日、ライブアイドルとは昔ほどに知名度が低い世界ではないこと、そして最近の若者は昔と比べて一層と直感的に実力や魅力如何を察知してしまうために、この準備というのも、そう軽視できるものではなくなってきた。時代の変化をちゃんと認知しているか。未知だったためだろう。

まあ、ライブアイドルの対バンに出る機会が、事務所単位で少なければ、そんな時代の変化も察知し得ないために致し方ないのかもしれないが、ネット検索すればヲタクの議論は普通に見つかるし、「そもそも調べようとしなかった」ぐらいに、外部イベント出演そのものを軽視していたのではないだろうか。なんだか虚しくなってくる。(5039字)

 

 

 

日時:2022年5月14日(土)、11時40分~20時10分

会場:有楽町オルタナティブシアター

タイトル:dot yell fes vol.16

出演組数:23組

出演者数:120名