三菱一号館美術館で開催中の「アール・デコとモード」展へ行ってきた。アールデコが流行していた時代のファッションを主軸に、当時を窺い知れる絵画や置物なども展示されており、、アールデコ好きとしては、とても興味深かった。

 

(開催概要)

1920年代を中心に世界を席巻した装飾様式「アール・デコ」。生活デザイン全般におよんだその様式は、「モード」すなわち流行の服飾にも現れました。ポワレやランバン、シャネルなどパリ屈指のメゾンが生み出すドレスには、アール・デコ特有の幾何学的で直線的なデザインや細やかな装飾が散りばめられています。それは古い慣習から解放され、活動的で自由な女性たちが好む新しく現代的なスタイルでした。
2025年は、パリで開催され、「モード」が中心的な主題のひとつであった装飾芸術の博覧会、通称アール・デコ博覧会から100年目にあたります。この記念の年に、世界的な服飾コレクションを誇る京都服飾文化研究財団(KCI)が収集してきたアール・デコ期の服飾作品と資料類約200点に、国内外の美術館・博物館や個人所蔵の絵画、版画、工芸品などを加え合計約310点により、現代にも影響を与え続ける100年前の「モード」を紐解きます。

公式HP

 

ポワレ、ランバン、シャネル、パトゥなどパリ屈指のメゾンのオートクチュールなどは非常に貴重で興味深かった。デザインという観点でみても面白いが、女性を拘束していたコルセットが廃れ、女性の活動領域が広がっという”女性解放”という視点で鑑賞しても面白かった。ベル・エポック期のS字型シルエットからポール・ポワレがデザインした円筒型のドレスへの移行はファッション史としては大きな変化だった。ゆったりとしたシルエット、過剰装飾の排除は、シャネルで全盛を迎えた。第二次世界大戦後は華やかさを求めてディオールの細く絞ったウエストのシルエットが流行したが、トレンドは揺れ戻す好例である。

 

アールヌーボーは有名だと思うが、アールデコは少し知名度が低い。これはアールデコが流行した1920年代終盤に世界恐慌が発生して、デザインや流行なんて言っている場合ではなくなったせいだろう。その後、バウハウス的な機能主義のモダニズムが流行して、アールヌーボーとモダニズムの橋渡し的な位置付けになってしまったように思われる。

 

本展示会はオートクチュールのデザインや技術の観点で観ても興味深いし、フェミニズム的な女性解放の視点でみても面白いし、当時のアッパーミドル以上の優雅な社会文化に思いを馳せても面白いだろう。私はやはりファッションそれ自体よりも、ファッションの社会的位置づけや、ファッションを通してみえてくる社会階層文化や経済活動に興味がある。こういう美術展等の訪問は、自分を見つめなおすという点でも意義があるなと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

年末年始は時間があるので、気になるドラマを一気見。

 

19世紀のアイルランドのダブリンを舞台にしたギネス家の物語。もともとギネスビールで財を成したが、現在では政治・金融等でも活躍があり、財閥のようになっている。ギネスブックもギネス家が創刊したことから、ギネスの名を冠している。

ギネスビールは、1759年に休業状態の醸造所をアーサー・ギネス(初代)が賃借し、ビール醸造会社ギネスを創業し、彼の次男アーサー・ギネス2世が継承するが、銀行頭取でもあり金融業に集中するため、醸造業は三男のベンジャミン・ギネスに承継される。このベンジャミン・ギネスが政治家にもなり、准男爵(世襲爵位だが貴族ではない。准男爵ゆえに敬称が「Sir」になっている)に叙せられている。このベンジャミン・ギネスの子供たちのお話が、本ドラマで描かれているのだ。

なかなか当時の社会情勢の勉強にもなるし、テンポも良く面白い。アイルランドとイングランドの軋轢、カトリックとプロテスタントとの抗争などは背景知識としてもっていないとよくわからないかもしれない。

ただ最初のほうは傑作だと思っていたが、中盤から創作の人物との色恋沙汰やら腹違いの従弟、過剰な演出など、余計な脚色が残念だった。もう少し経営や当時の社会情勢などにフォーカスして格調高い作品だったほうがよかったのではないかと思う。

それにしても本作がきっかけでギネス家について調べてみたが、ここまで大きな財閥になっているとは思わなかった。ただの黒ビールの製造メーカーと思っていたが(←失礼)、家業を継承しているアイヴァー伯爵(ドラマの三男エドワード)は富豪で有名で、アイヴァー伯爵の総資産は現在2000億円規模で英国王より裕福だそうだ。日本も華族制が温存され、財閥解体されてなければ、イギリスみたいな上流階級が牛耳る社会だっただろう。

長男アーサーは史実としても政治家になっており、アーディローン男爵になっているが、子供がおらず男爵位は廃絶している。ちなみに、奥さんはバントリー伯爵令嬢として描かれているが、史実である(ただバントリー伯爵位は廃絶している)。次男は近衛騎兵連隊の軍人として活躍。本作でもメインキャラクターの一人として描かれ、主に醸造所の経営に携わっている三男のエドワード・セシル・ギネスは、初代アイヴァー伯爵に叙せられる。このエドワードの三男も政治家になりモイン男爵となっている。長女のアンの結婚相手がドラマだとよくわからなかったが、旦那は高位の聖職者であり、第4代プランケット男爵ウィリアム・プランケットらしい(プランケット男爵位は現存)。

ちなみに、劇中に出てくるアッシュフォード城も実在しており、実際にギネス家が所有していたが、1939年に売却され、現在はホテルになっているそうだ。長男アーサーの奥さんのバントリー伯爵の居城のBantry Houseもホテルになっているようだ。ギネス家が住んでいる邸宅Iveagh Houseは、現在、アイルランド政府の省庁が入っている。

 

※Bantry House(画像出典:LINK


※アッシュフォード城(画像出典:LINK

 

※Iveagh House(画像出典:LINK


8話完結だと思ったら、ラストはクリフハンガーだったので、第2シーズンが楽しみである(正式に発表はないが製作予定で動いているようだ)。

 

★ 4.0 / 5.0

 
2026年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 
毎年恒例の明治神宮に初詣に行ってきました。いつも原宿駅から向かうのですが、空いていると噂の小田急の参宮橋駅のほうから今回は向かいましたが、確かに並ばずに入れて良いですね。今年も良い一年になりますように。それにしても箱根駅伝では、青学大が史上初2度目の3連覇のようですね。
 
今年の目標は次の通り。
・医療脱毛コースを完了させる(やろうと思っていたが、いよいよ契約 ( ´艸`))
・投資を頑張る(暗号資産と投資信託以外にも個別株も購入予定)
・日本酒の勉強をする(最近、ワインから日本酒派に浮気気味)
・読書(めっきり本を読まなくなったので、読書週間を復活させたいですね)
・教養を深めるために継続的に映画鑑賞を続ける。
 
あと、ピアノとジム通いもしたいのですが、仕事が忙しいので、なかなか手が出ないでここまで来ていますが、来年になりそうです(;^ω^)
 

2023年から個人的なその年のベスト映画をランキングにしている。2023年の視聴本数が86本で2024年は56本と激減したが、2025年は84本とに回復した。なお、視聴本数は映画批評サイトのFilmarksのレビューをベースにしている。1年に観た、今年日本で劇場公開された映画からベスト映画のランキングを決定した。

 

〔個人的ベスト映画 2025〕

第01位 ANORA アノーラ(4.8点)

第02位 国宝(4.8点)

第03位 KNEECAP/ニーキャップ(4.5点)
第04位 ワン・バトル・アフター・アナザー(4.2点)
第05位 フランケンシュタイン(4.3点)

第06位 アイム・スティル・ヒア(4.2点)

第07位 ドマーニ! 愛のことづて/まだ明日がある(4.2点)

第08位 ザ・ルーム・ネクスト・ドア(4.1点)
第09位 愛を耕すひと(4.2点)
第10位 アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方(4.1点)・スイート・イースト 不思議の国のリリアン(3.9点)

 

[ノミネート:モンテ・クリスト伯(4.5点)、ウィキッド ふたりの魔女(4.2点)、ノーバディーズ・ヒーロー(4.2点)、ベテラン 凶悪犯罪捜査班(4.0点)、湖の見知らぬ男(4.0点)、アマチュア(3.9点)、遠い山なみの光(3.9点)、ベイビーガール(3.9点)、マリア・モンテッソーリ 愛と創造のメソッド(3.9点)、TATAMI(3.9点)、ノー・アザー・ランド 故郷は他にない(3.9点)、満ち足りた家族(3.9点)、名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN(3.9点)、満江紅(3.9点)、ブラックドッグ(3.9点)]

 

独断と偏見による順位付けである。ブログ主のFilmarksでのレビュー記録からランキングを決定。3.9点以上の作品をラインナップして個人的趣味、斬新さ、新規性、内容の重みなどを考慮してランキングを決定しており、点数と順位は必ずしも一致しない。今年は豊作だったのか採点が甘かったのか、3.9点以上の作品が多かった。

 

1位は正直悩んだが、内容の斬新さと鮮烈さにおいて、刺激的なアンチ・シンデレラストーリー「ANORA アノーラ」を第1位とした。次点は「国宝」だが、芸の道を究める究極の美を体感できる圧倒的な映画だった。第3位はアイルランドのベルファストを舞台に活動するアイルランド語のラップ音楽グループのKNEECAPを描いた映画である。上映館数は少ないが、情熱とムーブが鮮烈だった。第4位が「ワン・バトル・アフター・アナザー」だが、ブラックユーモアが秀逸だったのに加えて、中年の元テロリストを演じるディカプリオが名演だった。第5位はNetflix製作の「フランケンシュタイン」。素晴らしくモダンにアレンジしてリメイクしており、秀逸な作品だった。

 

第6位と第7位は、テイストは異なるが、昔を舞台にした社会派の「アイム・スティル・ヒア」「ドマーニ! 愛のことづて/まだ明日がある」をランクさせた。第8位「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」は、尊厳死を扱ったヒューマンドラマだが、洒落た調度品等の映像美が素晴らしかった。第9位は北欧の至宝マッツ・ミケルセンの演技が光る「愛を耕す人」。第10位には現代アメリカを象徴するトランプ大統領を描いた「アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方」と、そうした混迷する不思議なアメリカをファンタジックに描く「スイート・イースト 不思議の国のリリアン」をランクさせた。

 

2025年に観た映画を振り返って思うのは、なんだかんだと人類にとって民族・地域などは重要だということだ(「ニーキャップ」「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」)。思想などは変容しても、それは一部の人だけのムーブメントで、社会全体が変わるには相当な年月がかかる。先進的な思想はなかなか受け入れられない(「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」)。かつて暴力に変容させようとした集団もあったが焼け石に水だった(「ワン・バトル・アフター・アナザー」)。そして、国内でも格差が広がっており、各地でのデモ等につながっている。こうした格差は人の心と尊厳を傷つける(それをビビットに描写したのが「アノーラ」だ)。しかし、現代の自由と平等な社会は先人の苦労の産物だと忘れてはいけない(「アイム・スティル・ヒア」「ドマーニ! 愛のことづて/まだ明日がある」)。社会は善き方に発展していくと思っていたが、社会の変化は緩慢だし、負の歴史も繰り返すのだなと感じる。それが人間の性なんだと思う。

 

過去のランキング

 

 


「ギルデッド・エイジ ー ニューヨーク黄金時代」に最近ハマっている。アメリカ版「ダウントンアビー」。1880年代の金ぴか時代のニューヨークを舞台に、大富豪の邸宅での人間模様や恋愛等が描かれている群像劇。ギルデッドは金ぴかの意味で、時代区分として、1865年の南北戦争終結から1893年恐慌までの28年間を指す言葉で、資本主義が発展し、また、西部開拓が進んだ時期である。

アメリカは自由平等の国という人もいるが、上流階級はおり、メイフラワー号に乗ってきた人々の血筋などの歴史ある一族で、かつ、経済的に成功した一族が名家とされる。逆にジャガイモ飢饉で移民でやってきたアイルランド系等は逆に下層にみなされがちである。米国は人種差別が激しいが、白人同士でも階層があるのだ。

それにしても、欧州文化に憧れるアメリカの上流階級の描かれ方が面白い。経済的には裕福になっても文化的にはまだまだだった。本作は当時の社会の様子が面白のだが、その中で、裕福な黒人が出てくるが、実際にそうした黒人はいたようで、勉強になった。

ちなみに、本作は全くの創作というわけではなく、鉄道事業に成功した新興富裕層の成金ラッセル家は、ヴァンダービルト家がモデルである(ヴァンダービルト家の豪邸は一部現存している)。旧勢力のキャロライン・アスターなどは実在の人物(アスター家のウィリアムは英国に帰化し子爵になり、その三男は男爵を受爵し英国貴族となっている;二家とも現存)である。アメリカ赤十字創立者のクララ・バートン 、ラッセル家の設計者スタンフォード・ホワイト、社交界で顔が広かったウォード・マカリスターなども実在する。

 

下記がニューヨークに実際にあったヴァンダービルト家の豪邸であるプチシャトーである。こちらは現存しないが、巨大な別荘等は残っており、観光地化されているので、いつか訪れてみたい。

(出典)LINK


「ダウントンアビー」よりは内容が軽いが、その分、気軽に観れる。当時のニューヨークの上流階級の生活模様などが面白い。ただ建物や風景が明らかにセットだったり合成で、服装も派手な色遣いが逆に安っぽいのが残念。第3シーズンに更新されているので、続きが気になる。なお、視聴者数がシーズンを重ねるごとに増え、第4シーズンも決定している。

ちなみに、本作の脚本は「ダウントンアビー」と同じジュリアン・フェロウズ作だが、彼自身が一代男爵の英国貴族だったりする。彼の奥さんはキッチナー伯爵の姪にあたり、マイケル王子妃のマリー=クリスティーヌ夫人の女官だった。なお、彼の実父は妻と死別し、その後、ゲインズバラ伯爵の令嬢と再婚しているため、義母が伯爵令嬢にあたる。貴族社会・上流社会への造詣の深さが作品に深みを持たせている。

 

なお、ニューヨークの上流階級が、英国貴族とのつながりのために、莫大な持参金と引き換えに英国貴族に嫁に出すことはあったようで、本作でも描かれている。ダラー・プリンセスという。「ダウントンアビー」のほうのコーラもまさにそれである。なお、本作のヴァンダービルト家のコンスエロ・ヴァンダービルトも、実際に、第9代マールバラ公チャールズ・スペンサー=チャーチルと結婚している(後に離婚)。

 

いまは第3シーズンの途中だが、第4シーズンが楽しみである。