仕事帰りに渋谷のユーロスペースで「みんなのための資本論」を観てきた。ユーロスペースの1階のカフェはいつのまにか閉店していたのが残念なところ。こちらで映画鑑賞するのは院の友人と観に来て以来、1年ぶりほど。
本作は、米国クリントン政権下で労働長官を務め、現在カリフォルニア大学バークレー校教授の経済学者のロバート・ライシュのドキュメンタリー。アメリカの格差社会の問題点を非常に分かりやすく説明している。「暴走する資本主義」「余震」などの本の名前の著者といえば知っている人も多いだろう。そしれにしても、ライシュ教授、こんなに小柄だとは知らなかった。珍しい遺伝的な疾患で身長が大きくならないのだという。ライシュ教授は格差に苦しむ労働者の立場に立ち、また公共政策的な観点から米国の現状を批判する。そんな彼の正義感の理由は、彼の身長に求められる。彼は身長が理由で苛められた経験があり、それゆえにエリート街道を進みながらも、弱者に対する視点を持ちえたのである。それにしても、興味深かったのが、iPhoneが1台売れた場合、どこの国が最も利益を享受するかという話である。授業に出ている学生に質問すると、多くは中国と答える。ドイツだという学生は1%に過ぎない。しかし、最も利益を得ているのは実は日本で、次にドイツで、中国は微々たるものである。経済のグローバル化でiPhoneの高度な部品を提供しているのは、日本やドイツのような高品質の製品作りに長けた国であり、実はそうした国が最も利益を得ているのだという。これは正直、意外だった - もう少し日本の利益は少ないだろうと。あと、格差自体は悪ではないと私は思っていたが、格差が大きいほど、政治的な意見が極端化しやすい傾向があるという。これはひいては社会分断を引き起こし、社会混乱を引き起こすという。この視点は私に欠けていたので勉強になった。ただ、正直、こうした格差に立ち向かおう!行動しよう!という映画のメッセ―ジはかなり弱いと思われる。映画中、富裕層が持つ影響力と政治との癒着を描きながら、その解決策が行動しよう!というのはあまりにも解決策としては弱い。
こうした映画に類するものとしては、マイケル・ムーアの「キャピタリズム」「シッコ」がある。「みんなのための資本論」は大人しく知的だが、ムーアの作品はコメディ的要素もあり内容も過激であるが面白い。ちなみに、リーマンショックの裏事情を描いた映画としては「インサイドジョブ」も面白い。どれも面白いので、オススメである。






