〈キングアーサー〉観覧後期(その2)とか色々 | 韓国ミュージカルを 訳しまくるブログ

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近頃はメモ付き写真アルバムとしても使用中。

これは2幕冒頭のモルガンが子守唄を歌うシーン。(眠れモルガン)

 

モルガンが乗っているゴンドラだが、初演時は月のイメージだったような気がする。再演ではデザインが変わった。

 

どこかで見た気がしたらこれだった。

本来は悪夢から身を守るためのドリームキャッチャー。

 

輪の中の網が悪夢を捉え、羽が眠っている人に良い夢を伝える役目を果たすそう。

 

しかし、舞台の上では逆のことが起こっている。羽の下に横たわるアーサーの周囲にはレイアを筆頭に黒い影がうごめいて悪夢が注ぎ込まれ、眠りによる平安が妨げられている。モルガンがいかにアーサーを攻撃し続けているかが良く分かる。

 

再演で追加されたアーサーに悪夢を吹き込むというコンセプトと、こんな皮肉なデザインを考えた人、偉い。

 

フランス版とはかなり異なるシーンだ。

内容はコチラ

 

他の異なる例を挙げるなら、ケイという人物がいる。アーサーの育ての親の息子、つまり義理の兄だ。フランス版では完全な道化役である。

 

韓国の初演ではそれを踏襲していたが、再演版では姿を消した。その決断に賛成。

 

【フランス右矢印韓国】 でそれだけ変わるなら

 

【フランス右矢印日本】 で独自に色々と変わっても不思議ではない。

 

何やらマトモそうなケイのコンセプト写真も出ていたし。

 

日本版にレイアが見当たらないのが気になっている。アンサンブルの1人として登場するんだろうか。

 

 

 

 

さてようやく観劇記録の後半である。

 

5/3 

台湾人のクラスメイトがミュージカル体験してみたいと言うので推薦した回。唯一未見だったリンジ・ギネビア、お似合いだった。ランスロットとのデュエットは完璧に美しかったが、拉致されたあとのメレアガンとの掛け合いは大音響過ぎて疲れた…。

 

観覧後に感想を聞いたら、

「재미 없는…つまらない…」と言い始めたので

えっ?と思ったら

 

「순간이 없었어. …瞬間が無かった」と続いたのでホッ。

 

あっという間に終わった、目が忙しい、照明が豪華だ、ダンスがいい、セットが綺麗、アーサーもメレアガンも素敵だが、モルガンが特にカッコいい、歌詞をちゃんと知りたい、何度も見るのが分かる…と概ね好評。

 

時代背景、登場人物の説明などをPPT3枚にまとめたのを事前にブリーフィングした甲斐があるというもの。喜んでもらえて良かった。

 

 

 

5/11

時間ができたので思い立って急にマチネ。フン・アーサーをもう一度見たかった。今まで脇ブロックの通路席を選んで見ていたので、今日は10列目ど真ん中にしてみた。

 

見にくいと聞いていた弘益大学大学路アートセンターだが、意外と視野が良かった。凄く前方だと逆に見にくいのか?少しでも舞台を見下ろす角度が好きなので、9〜10列あたりの中央はバランスよく見えて満足だった。

 

感想は、と言うと…

 

本当にもう笑い泣き!良かった!

 

妻と部下の背信を知ってからの、フンアーサーの悲しみと苦しみが伝わって胸が痛かった。だから余計に王としての覚悟が悲壮で感動した!

 

ゾクゾクして鳥肌と思えば熱くなって脈拍が速くなるし、息は苦しくなるし、カロリー消費型観覧。何度見ても新鮮さが薄れない。

 

今日はチャノ・メレアガンの調子が凄く良かった!

 

各アーサーを比較すると、フン・アーサーは結構序盤から真面目で王様ぽい。剣の稽古の採点はチュン・アーサーが50点とすると、フン・アーサーは75点?80点?結構できている。逆にウォン・アーサーは20点くらい。この時はへっぴり腰だが成長著しい王でもある。

 

 

 

5/15

帰国日が近く、時間的余裕度が不明で前売りを買っていなかったが、前回に続いて急遽観覧決定。特別セール35%引きに背中を押されたのもある。

 

最後の最後に初めて気づいた情景がある。それはアーサーがエクスカリバーを抜くことになる最初のシーン。

 

今までは岩の上で剣を抜くアーサーしか見ていなかった。私の目は節穴だ。

 

勝者メレアガンがエクスカリバーに向かうのを他の騎士や民衆はワクワクしながら期待を込めて見守っている。これで平和が来るという喜びにあふれている。

 

ところがメレアガンには抜けないと分かると、驚きが広がり失望に変わっていく。 

 

そこにアーサーが登場するが、みな興味無く背中を向けていて、ひたすらがっかりしている。メレアガンはアーサーを見るが、剣を抜けるわけないし、全く気にしていない。

 

そんな人々がふとアーサーに目をやると…

 

なにあれ?剣を抜いてる?!

え、まじ?ドヒャー!

この人が?いったい誰?

はあ?王の息子?何だって!

わーっ!!ヒーローが登場した!

待ち焦がれていた人物が現れた!!

盛り上がる民衆。

 

落ち込んでいたメレアガンは気配を察して振り返り、状況を把握する。

民衆とは対照的に果てしなく盛り下がる。

抜けなかった失望が絶望に急降下するのと同じ勢いで怒りがあふれ出す。

 

こんな様子が無言で繰り広げられ「奪われた時間」につながっていく。


アンサンブルさんたち、いい仕事してる。

 

 

歌声も姿もカッコよいチュンアーサーに比べると、フンアーサーは真面目系だし、ある意味地味なんだけど、見れば見るほど味があって、アーサーに同化していて、とても好きになってしまった。もちろん歌もとても上手いのである。

 

ジヌク・メレアガンが一番好みだ。演技もどんどん良くなったが、声質が私をトリコにする。息子認定されたのは高身長だからではない。

 

ジス・ギネビアもこんなに上手かったかと感心することが多い。〈こんなに普通の〉〈ブラック・メリーポピンズ〉〈サムシングロッテン〉〈キング・アーサー〉〈死の賛美〉と続け様に出演し、様々な色合いを見せている。

 

リュニ・モルガンも、ノユン・ランスロットも大好き。幸福な最後の観覧だった。