(14:30から)
ヌ: 何でも完璧に見える監督なんですが、これまでの数多くの舞台の中には可愛いミスが一度か二度はおありでしょうか
ム: 可愛くは無いですよ。ミスはすべてむごたらしいです。公演中に起きるすべての失敗は、本当に、心臓が一度にここまで上がって下がるみたいに、すごくクラクラする瞬間です。
ヌ: 実際にありましたか?
ム: 無いと思います? ものすごくありますよ!
ヌ: 私たちが感じる限りでは、それほど大きな…
ム: 気が付かなかったとしたら、うまく取り繕ったんですね。私たちがうまく取り繕って乗り越えたんでしょう。実際はとてもたくさんあります。
望むと望まざるとにかかわらず、ある種の舞台事故は、機械が本当に憎らしいです。
ヌ: 機械の事故
ム: 機械の事故は舞台スタッフたちと、ほんとに憎たらしいこの機械め!こんな風にするんですけど、予告もなくただポンとだめになる場合がありますから。エラー???があるじゃないですか。電子楽器もそうだし。そういう場合は可愛いどころかゾッとします。
一度公演中に、序盤でしたが、公演が始まってから10分ぐらい過ぎた頃でしょうか、突然パジジッと変だったんです。すると突然、演奏者の譜面灯が全部消えてしまいました。
ヌ: パッと?
ム: パッと。暗黒世界になりました。
[想像するだけでもクラっとする状況]

ム: 演奏者たちと私は段差があるので、私を画面で見ている演奏者がいるんです。別の部屋にいる演奏者もいるし。
ヌ: 他の部屋にもいるんですか?
ム: ???とか、音が大きくて同じ空間でできない場合など、他の部屋で私を画面だけで見ていますが、それが消えてしまいました。
舞台の上で歌っているその瞬間でした。みんな慌てふためきますよね。この状況を誰も知らないわけです。舞台の上でも知らないし、客席も知らないし、舞台監督には…消えちゃいましたーと言いましたけど、私に直せないから。
その状況では私の声だけがどうやら聞こえていました。別の部屋もそうでした。すぐ下にいる人はじっと見上げて、他の人は??? ???状況の中で、節やコードを口で言いながら…
ヌ: 監督が?
ム: そんな感じで進めました。その瞬間には本当に、なんであろうととにかく伝えること、私もそうだし演奏者もそうだし、その瞬間には、何かしなければいけない、その状況に、??? ???しばらくしてなんとかなりましたが、灯がつきましたが、おそらく内部的に、私と演奏者が??になれた…
ヌ:うまくまとまったのですね?
ム: うまく終わりました。外にはあまり分からなかったと思います。私たちはその公演が、本当に長い間気が重くなる公演で、慌てましたし。同時に、ああ、今はこんな状況だから、全員が集中してやろう、自分のできる部分はなんとかしようという、無言の約束がありました。多少サウンドが劣っても、気づかれなかった事がとても救いだった事件です。本当にゾッとする出来事でした。
[舞台も客席も知らない]
[暗黒に包まれたピット]
[節やコードを口で伝えながら]
[冷静沈着に公演を終えることができたのは]
[数しれず合わせてきた お互いに対する信頼]
[信頼]
ヌ: お話を伺っていると、誰よりもメンタルが強くないといけませんね。
ム: ああ、そういうことがありますね。
ヌ: その時々に計算して収拾されるというのは…
ム: 私はそういうのが得意なようです。(笑笑)
私が、自分でもわからないんですが。私がこんなことを言うのは何故かと言うと、自分でもそういう瞬間にどうしたのか分からないんですよ。でも通り過ぎてみると、ああ、こんなふうにして上出来だったと。もちろん何故あんな事をしたのかと後悔することもありますけど、んー、瞬間的な判断が多分、私と演奏者との信頼があるからなのか、こうして何回かの大変な時を乗り越えて来られたんだと思います。
だから自分で、私はこういうのが得意だから、今後どんな状況になっても、ただ、してきたようにしよう!
ヌ: きっとうまくできる!
ム: 私にはできる!という気持ちでやっています。