[インタビュー]ミュージカル音楽監督 キム・ムンジョン 2 | 韓国ミュージカルを 訳しまくるブログ

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自分の予習復習用につき、かなりの偏りあり
(注意: 目標はネタバレ100%)
メモ付き写真アルバムとしても使用中。

インタビュー1はこちら



(6:10から)

: さて、音楽監督だけでなく、「西便制」や「砂時計」のような作品では音楽スーパーバイザーとしてお名前が上がっています。


: そうですね


: 私もその作品は全部見ました


: さすがヌンヌンさん!何回見ましたか?

たくさんご覧になったんでしょう?


: 西便制は3回ほど。1シーズンに。


: 3回しかご覧になっていないんですか?


: 1シーズンですから。

音楽スーパーバイザーという肩書きは私にも馴染みがありません。どんな仕事をするんですか?音楽監督との違いは何ですか?


: どう説明したらいいでしょうね。家を建てるとした場合、デザイナーが作曲家だと考えればいいです。


そしてそのデザインされた家をどう設計したらいいか、その設計者がスーパーバイザーです。


設計されたものをどう現実化させるか、具体化させるか考えるのが現場監督の役割、音楽監督だと考えればいいです。


: あー、凄くよく解ります。


: 作曲家がある作品/デザインを描いたとき、その曲がこういう方向へ向かうべきだ、こういう??しなければいけないし、曲1曲があるかたちでリプライズされ表現されるとしたら、より効果的に印象に残るメロディーに作り上げられます。


こうしたことが完成して音楽監督がこれで良しとなったら、これはこういう俳優さんに歌って欲しい、こういう演奏者が必要だ、公演をどう進めていくか、練習期間はどれほど必要なのか。その先公演が続いていくときにどうやって維持していくか、そうしたことを提示する必要があります。


スーパーバイザーが特にいないミュージカルをご覧になる時など、作曲家がスーパーバイザーの役割まで果たせる場合はスーパーバイザーの役割が特に必要がないわけです。


: 音楽監督や音楽スーパーバイザー、こうした話をする時に、実のところ監督の場合はMCオーケストラに触れずに済ますことはできませんね。


: できないですね。(溢れる愛情❤️)


: MCオーケストラを率いていらっしゃいますがミュージカル専門オーケストラと、私たちが知っているクラシックのオーケストラでは違いがありますか?


: まず大きな違いと言うと、私たちは穴の中にいるってこと。ご存知でしょうけど。クラシックのオーケストラのように華やかな舞台ではなくて。ピットと言う言葉が穴と言う意味じゃないですか。

ですから私たちは、そこにいる


この公演はライブなの?オーケストラがいたの?と、ご存じない方は知らずに終わるかもしれません。穴の中に隠れていますから。でも、それはある見方をすれば、良い褒め言葉でもあります。それだけ演奏にミスがなかった、公演の流れが非常に自然だった、という事でもあります。それが一番大きな違いだと思います。


しかしもう一つ、クラシックオーケストラと違う点は、ご存知のようにミュージカルは多様な音楽を扱います。多様な音楽を瞬間的にセンスよく演奏できる資質とセンスを持った演奏者たちがミュージカルの演奏を選好するのかもしれません。


: 瞬発力とか、そういった


: そうです。ダイナミックで生き生きとした穴の中にいますが、その日その日の観客の反応と俳優のエネルギーも受け取って、そこに自分のエネルギーも重ね合わせたい演奏者たちが、ミュージカルの演奏を好んで、一緒に??したいことが多いようです。


: おっしゃる通りミュージカルの音楽は多様なジャンルを含みますね。すると作品によって必要な楽器が変わってくると思うのですが、不足する人員の補充はどのように?


: 不足する人員はですね、戦います。


: ええっ!!!


: いつも制作者側と戦います。どんな作品をするのでも、私も製作者だったらそうするとは思うんですが、最小人数で最大効果を求めるでしょう。社会のどこでも競争理論はあるので。


ある作品をする時、人が多ければ多いほど、演奏者が多いほど??な演奏をお聞かせできるので、常に初期セッティング段階でお互いにせめぎ合うわけです。

私はこの程度が必要だ、そちらが求める音楽、私が求める音楽、ここまでできる。製作者を説得するんですね。戦うと言いましたが、実際は説得をたくさんして、哀願もし、表現がちょっとアレですけど物乞いのように「あと一人だけください」なんて事もして。最初にそれをやります。


でもやむを得ず、環境的にとか制作の都合で人数を減らさなければならない場合には、近頃は電子楽器でカバーできる状況がありますね。例を挙げると、??が必要だ、でも??を買うことはできない、そういう楽器はシンセサイザーとか電子ピアノで代替できるんですけど、正直なところ個人的にはあまり好きではありません。


: 心残りでしょう


: それもありますが、ミュージカルの本質がライブなので、アコースティックな響きの強い楽器がその日その日の呼吸を代弁してくれることによってリアリティーが生まれると思うからです。なので出来る限り少ない人数でもその瞬間の呼吸を一緒に合わせられる、実質的なアコースティックの楽器を好みます。


多分うちのオーケストラが公演をするとき、他のオーケストラより数名人員が多いのは、そういった理由があるんだなと思って頂いてもいいです。そうして演奏者が1人2人集まって紡ぎ出すサウンドが観客の皆さんへの贈り物として届くことが私の願いです。


: 私の方がありがたいですね。


: これからも戦って、哀願して、すがりついていきます!


: 今お話を聞いていて、視聴者の中にMCオーケストラに入団希望の方がいそうです。


: そういう方は、ご連絡ください。電話番号は(笑)


: では、ミュージカル専門オーケストラの団員が特別に持っているべき資質などは?


: まず、音楽に対する好き嫌いが無いといいですね。音楽に対する開かれた思考回路が必要ですし、複数の楽器に対する関心もあるといいです。


演奏者たちから聞いた外国の場合には、あまり仕事がないので演奏力を持ち合わせていても出られる公演が少なくて、演奏者が多いから、複数の楽器を使いこなすそうです。バイオリン、ビオラも習って、ギターも習って。先ほど申し上げたように、製作者側がいくつかの楽器の演奏者を探すときに、いつでも準備ができている心構えでいらっしゃる方が多いそうです。


もしもミュージカルの演奏者に興味がおありなら、メインの楽器のほかにもう一つ、完成度は下がるでしょうけれども、他の楽器にも関心を持つといいかもしれません。


少し前に、うちのチームに個人活動を立派にされている演奏者がいらっしゃるんですが、その人が印象深い言葉を聞かせてくれました。うまくできる演奏者はどこへ行ったとしてもうまくできる演奏者だ。そう言ってたんです。その言葉の意味は、どんな雰囲気でも、どの指揮者にも全て合わせられるのが、よくできる演奏者だ。自分の技術だけが良ければいいのではない。合奏するというのはそういう概念ではない、そんな話をしてくれたんです。


それは正しい考えだと思います。どこへ行っても、どんな音楽をしても、その雰囲気に合わせて、その指揮者に合わせて、一緒にやる演奏者たちと呼吸を合わせられる、そういう気持ちを持っていれば演奏も楽しいと思います。


もしそういう方がいらっしゃるなら連絡してください。