こんにちは。
地方在住の主婦が、高校卒業いらい久しぶりの英語で、
英検1級にぎりぎり合格するまでを紹介しています。
前回、二次の面接会場で出番待ちをするところまでをお話しました。
続きは面接室に入るところから…。
☆ ☆ ☆
メイ アイ カムイン?
のお決まりのセリフでドアを開けると、
背の高い金髪ネイティブの男性と、
柔道風のがっしりした日本人男性が対になって座っていました。
両方ともでかいので、
二体のスフィンクスに見降ろされてるみたいになって、びびりました。
スフィンクスって、なぞなぞ出すんですよ。
答えられなかった旅人を、食べるんですよ。
席について名前を言いあうとすぐ、
金のスフィンクスが明るく尋ねました。
なんで英検受けたの?
ネット情報では、最初に言われるのは「自己紹介してください」だというストーリーだったので、
会場につくまでの長い電車の中でひたすら、
家族は何人でー、主婦やっててー、とかを練習していました。
準備したことが、粉々に砕け散りました。
スタートは肝心!
私はネイティブに負けないくらいニコニコになって、表情や手の動きもつけて、
全力でテンションをあげました。
オゥ!英検を受けた理由!?
えーとー。仕事やめたんだけど、そしたらいきなりすっごいヒマになって!
ナニやろう、なんでもできるって気がついたんです!
それで、一番やりたいと思ったことというのが、英語!
やってみたら、ほんとにすっごく楽しくて、夢中になったんです。
だって、その、なんての?
英語って日本語とは全然違うでしょ?
日本語はもやっとぼやかす言葉で、
相手も察しなきゃいけない感じでやりとりするけど、
英語はすごくはっきり。
だから英語を使うときは、
モノを考えるところから、違う道具で考えてる気がする。
だから自分が別の人になったみたいにも思って…
というような弾丸トークの途中で、
タイムキーパーさんのアラームがさえぎりました。
しゃべりすぎましたか?続けた方がいいですか?
とうろたえると、
身を乗り出してうなずいてくれていた金のスフィンクスが、
オーケー、オーケー♪
君のトーク、すっごいいい!
と大満足の笑顔で言ってくれました!
やったー🎵
すっごく安心しました。
なにしろ毎日ぬいぐるみと木の人形の2体に向かって練習し、
実践経験はほとんどなかったので、
自分が生身の人間としゃべることすら、想像できませんでした。
何でもいいからしゃべることが私の目標だったので、
自分的には自己ベスト✨
金のスフィンクスが真剣に聞いてくれたので、
実力以上に言葉が出たんだと思います。
つづき聞きたいけど、試験に移ろうよ♪
と、金のスフィンクスがカードを渡してくれました。
そわそわして、タイマーが鳴ると同時に必死にカードを読みましたが、
苦手な政治経済は、文字が視界をすべって入ってきません。
Can the consumption of maet be morally justified?
(肉を消費することはモラル上正当化されうるか)
しか、目に留まらない。
でも、タンパク質がどう体に作用するとか、英語で説明するのは怖すぎ。
ためらっていると、無情にシンキングタイム終了のアラームが鳴りました。
イチかバチかで、
Are scientific efforts to bring back extinct species a waste of time?
(絶滅した種を科学でよみがえらせようとすることは時間の無駄か)
について話します。
と、面接官に報告。
ファンタジーの可能性に賭けました。
シンキングタイム中に、何を話すかを頭の中で整理しておく余裕は当然なく、
当たって砕けろなスピーチがスタート。
アラームが鳴るまで話し続けたのは、こんな内容。
絶滅した種を科学でよみがえらせようとするのは、
私は時間の無駄だと思います。
理由はふたつあります。
まず、生態系が壊れます。
狼を減らしたら、狼のエサのうさぎが増えます。
でもうさぎが増えると、うさぎのエサの草も減ります。
つまり結局、狼もうさぎも草も、みんな減ってしまいます。
だから、いまある食物連鎖に、恐竜を追加することは、
生態系に悪い影響をあたえます。
次に、悪い科学者が、恐竜を使って実験したがるはずです。
やめろと言っても科学者は興味を持つでしょう。
(つづき忘れました)
ハイ。
陳腐な内容で、しかもお題からズレてますよね。
でも、黙らないことが、私の実力では最大目標だったので、
自分的には見事にクリア。
イェイ♪
私のスピーチへの最初の質問をしたのは、金のスフィンクスの方でした。
悪い科学者は、どうやって取り締まったらいいの?
は!?
そんなん、わかるわけないですろ。
と、凍り付きました。
取り締まりの専門家でも困る問題なんじゃないですか?
合格した先輩方は、とにかく沈黙厳禁とアドバイスされていたので、
えーと、
えーと、
えーと、
いい考えが浮かばないんですけどー、
と、最大限ひっぱりました。
あー!
いい科学者が取り締まったらいいんじゃないですか?!
おんなじ知識ありますし♪
バカですね、私。
ここではじめて、黒スフィンクスが登場してきました。
真面目なオーラが濃厚にただよっていたので、
ずっとお怒りではないか気になってました。
生態系が壊れることは、どう防ぎますか?
は!?
それも知らんって。環境大臣に聞けし。
と思いましたが、難しい表情をしていたのに、
私のへたれなスピーチに、なんとか合わせようとしてくれた優しさを感じました。
えーとー。
それも難しい質問ですねー。
ふーむ、どうしたらいいんだろう…?
こまったなーあ。
あー!!
人間と動物は、住む場所をわけたらどうかな!
バカですね、仕方ないです。
こんなどうしようもないやりとりが続きましたが、
面接官のお人柄のおかげで、なんの会場?というくらい、和気あいあいとして盛り上がりました。
心が通い合った感は150パーセント。
ネット情報では、受かる人は面接を楽しめる人、とのことでした。
わたしはすっごく楽しかったし、
もちろん留学生さんなどのようにペラペラだなんて思ってませんが、
自分のマックスのイメージ以上に上手くやれたので喜んでいました。
面接後、今までの勉強道具をかたづけてしまって、
余裕で結果発表を待ちました。
結果。
一点たらずに、落ちてました。
ガクゼン。
合格点は毎回変動するので、
違う回だったら受かってたのにー、と恨みました。
でもま。
冷静に考えたら、
このスカスカな中身のないトークに、ここまで点数をくださったなんて、
なんとかしてやりたいという面接官のお慈悲だと思います。
肉のお題を選んで、
・身体にいい
・おいしかったら心も元気
・生き物って、お互い食べてる関係だもん
くらいのことでいいので、組み立てられたらよかったんです。
その時は、思いつく力がありませんでした。
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つづく起死回生の2回目は、次のブログで♪