運命の人は誰ですか? 4 |  ZEPHYR

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― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

<運命の人は誰ですか? 1>
<運命の人は誰ですか? 2>
<運命の人は誰ですか? 3>
の続編です。

動き速い星の関連を重視する、というのが前回の主旨でした。

より分かりやすく補強しておくと、こういう理屈です。

二人の太陽と月の合などは非常にわかりやすい例なのですが、要するにA夫さんの射手座10度の太陽に対してB子さんの月が同じ射手座10度になるというのは、それだけ起きにくい一致だということ。
たとえば一年間通じても、月が射手座に巡ってくるのは13回程度。
その13回の内、それぞれ2時間程度しか月が射手座10度になることはないのですから、論理的に考えてみてください。

1年間を通じても、たったの26時間しか、A夫さんの太陽に対して月が完全な合になる女性は生まれ得ないわけです。
1年間というと、何時間でしょうか?
単純に365日としても、8760時間もあるのです!

その中の、たった26時間なのです。

これをレアな関係といわずして、どういうのでしょうか?

まあ、正確には許容角があって、本当に1度以内の誤差のないものでなくても良いので、もう少し可能性は広がります。

しかし、たとえばA夫さんの射手座10度の太陽に対して、他の女性の土星が正確なトラインになる日数は何日であるでしょうか?
その年の土星の運行状況にもよりますが、順行や逆行を繰り返したりすれば、それこそ何十日間も正確なトラインが発生することがあります。許容角をゆるく取れば、その何倍も!

冥王星なんかになると、その度数でじっと固まっているように見えますから、一年間の何ヶ月分もA夫さんの太陽に対して、トラインになっている可能性があるわけです。

つまり動きの速い星の一致、正確なアスペクトを確認できることのほうが希少なのです。

一年、あるいは十年という期間で考えても良いのですが(婚姻関係が通常生じそうな年齢域)、ある一定期間の間に両者の星と星の間にできるなんらかのアスペクト。
この発生時間が短いもののほうが、当然巡り会いにくいわけで、それが巡り会っていることにこそ意味がある!

逆になが~い期間、そのアスペクトが生じているようなケースでは、これはとても運命の人だなどとは言えないわけです。

極論。
10年の間に、たった1時間しか発生しないアスペクト関係があるとします。
これを持つ女性が、今自分の目の前にいる。
そういうことがあれば、これはかなり有力な「運命の女性」と言えるでしょう。

しかし、確かにそれは良好なアスペクトだが、10年の間にトータル時間にして、なんと3年間もそのアスペクトを生じしていた。
ということになると、そのアスペクトの候補者は何千人、何万人といることになります。

どちらがレアで、運命の人でありそうなのか?
いうまでもないですよね。

ご理解頂けたでしょうか?

この考えは、きわめて論理的なものなのです。
普通に理性的に考えれば、皆さん、確かにそうだと首肯されるでしょう。


ところが。

では、太陽と月、アセンダント。
そういった動きの速いものとの間にだけ生じるものが有効なのか?

違います。

人の縁というのは、とくに親子のホロスコープ、兄弟姉妹のホロスコープなどを確認すると、こういった奇跡的な関係性が生じていることを、よく見つけます。

たとえば父親の太陽に対して、娘の出生の月が完全に合、とか。
母親のアセンダントと息子の太陽が合、とか。

そういうポイントを突いて生まれてくるところがすごい、奇跡だ、と私は思います。
人の誕生とは奇跡です、本当に。
こういったことが確認されることにこそ、占星術が荒唐無稽なまじないのようなものではなく、何らかの宇宙法則的なものを背景にしているのだという、強い傍証になるのですが。

たとえば我が家。

私は土星を水瓶座8度、5ハウス(子どもの部屋)に持ちますが、二人の子どもはそれぞれ出生太陽が水瓶座11度と13度です。
つまり私の水瓶座・土星に対して、だいたい合になるポイントで生まれているわけです。
私の土星は非常に強力で、冥王星と同じくこの世の宿命的なものを表示する星ですが、まさに私の子どもとして生まれそうなポイントだったわけです。
息子は他に私の月に対して、ほとんど正確なトラインの月で生まれています(母親の月ともトライン。つまり親子三人でグランドトラインができる配置)。

笑ってしまいます。

結構、ジョークみたいに符合しているのです。

この関係では子どもたちの太陽と、私の土星の間には親子関係を証明するような繋がりが生じているわけですが、これはたぶん私の立場から見たときには、チャート上、次のような解釈が可能だったのです。

「あなたの子どもは、ざっくりこの水瓶座あたりの生まれになる可能性が高く、結構、宿命的な子どもたちかもよ」

というような。

土星は動きが遅いので、完全な合にならず、多少ポイントにぶれが生じたか、という気もします。
太陽と土星が完全な合の親子関係だと、それはそれで心配なことも生じてきますし。

しかし、動きが遅い星と、相手の太陽や月、アセンダントなどとの間にも、なんらかの関係を見出すことはできるのです。
ただ、これはあくまでも総合的なチャートの解読の上に立っての話です。

運命的に結ばれる男女なら、同様になんらかの関係性を持つチャートになっていておかしくありません。
たとえばB子さんの7ハウス、蟹座6度に火星があるとしましょう。
そうするとこの火星に対して合になる太陽を持つ人。
これは蟹座6度付近の生まれなら、みんな、持っているので、これだけで「運命の人」とは断定できません。
が、一つの補強材料にはなります。

同程度のもう一つ別な材料があれば、また補強材料になります。

たとえば何千分の一の確率でなくても、十分の一程度の確率のアスペクトだとしても、同じ程度の確率のものが二個重なれば、それは10×10=100で、百分の一の確率に跳ね上がります。
このようにしてチャートのいくつかの側面を切り取って検証し、それが有意なものであればこの確率論に加えていく。

このような総合的な判断が、最終的には必要になってきます。

この関係でいえば、A夫さんの太陽とB子さんの冥王星がトラインになっている、ということも、一応、補強材料として考慮されます。
つまり全否定されるわけではない。
ただ、このアスペクト一つを取り上げた段階では、とても「運命の人」などとは言えないわけです。
ほかのいくつもの要素が積み重なって、初めて言えるでしょう。

それも「その可能性が高い」「その可能性が感じられる」という表現で。

最初に申し上げましたが、占星術師は神などではないし、過ちも犯します。
100%正しい解読など、あり得ない。

でも、ある程度、熟達した占星術師なら、ここまではできるというのが今日の記事です。

その中には動きの遅い星と速い星との関係も含まれる。

さて、いよいよ次回は最終章かな?



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