四柱推命でいう空亡、それはかつて天中殺と呼ばれ、今ちょっと装いを新たにして「大殺界」という名称で呼ばれている。
その時期の運気は良くなく、愛情も仕事も財も健康も、すべての運気が下降線。
大殺界の時期に転職なんてとんでもない。なにもせず我慢していた方がよい。
失恋したら大殺界のせい、健康が悪くなったら大殺界のせい、受験に失敗したら大殺界のせい。
こんな理屈がまかり通っています。
本当にそうなのでしょうか?
Part.1の最後で述べたように、四柱推命では空亡がその「空しく亡ぶ」機能を発揮させるには、いくつかの条件があり、それを満たしていないときにのみ、強い力を発揮すると言っています。
そのおおまかなものをいくつか述べましょう。
1.四柱推命は生まれの年月日時の四つにそれぞれ干支(エト)を出しますが、自分の空亡に当たる支を四柱のどこかに持っている人は、その支の空亡は生涯影響を受けない(たとえば戌亥が空亡の人でも、戌の年、亥の月生まれだったりしたら、その両方の支の空亡の影響を受けない)。六星占術の「霊合星」というのが、これに近い理論です。
2.生まれ日の支に対して、冲、害、破、刑、三刑、合に当たる支の空亡は取らない(影響力があると見ない)。たとえば戊辰日生まれの人は戌亥空亡(土星人)ですが、生まれ日の辰は戌に対して冲です。そのため戌の年の空亡は取りません。
3.四柱推命では10年ごとにその人の運気が変化する大運というものがあると見ますが、その10年ごとの干支というものがやはりあります。その年巡ってきた空亡の支に対して、その大運から冲、害、破、刑、三刑、合に当たる場合、その年の空亡は取らない(たとえば大運が乙卯だった場合、本人が戌亥空亡でも、卯と戌は合に該当するので、戌の空亡は機能しません。次の10年サイクルの中では働く可能性があります)。
4.生まれ日が陽の日だった場合、陽の年の空亡を本空といい、作用が強力だと見る。陰の年の空亡は半空といい、作用は半分と見る。逆に陰の干支に生まれている人は、陰の空亡は本空、陽の空亡は半空となる。たとえば甲子の生まれの人(戌亥空亡=土星人)は陽の干支なので、戌の年の作用は強力、亥の年はその半分と見る。しかし、上記の1.2.3のどれかに該当していれば、作用しない。
5.空亡になる年の干支に、天乙貴人や天徳貴人などの強力な吉星が入っていれば、凶意は和らぐ。ただし吉星の効果も失われる。
6.強旺格(運気が究極的に強い人)などの特殊な格に入っている場合、生涯、空亡を取らない。
ざっと挙げただけでも、これだけの条件があるのです。
つまり、どういうことかというと……。
実際に空亡(大殺界)の影響をもろに受ける人というのは、1~6までの条件に該当しなかった人だということなのです。
そして、このもろに受ける人間に自分がなっている確率は、じつはそんなに高くないのです。むしろ低い確率なのです。
とはいえ、本当にもろに受ける人もいます。
そういう方にとっては、六星占術はすごい、大殺界は当たる、ということになるのです。
またもろに受けないまでも、多少作用する場合もあります。その人が大殺界のことを知っていれば、何か悪いことがあったときに「これは大殺界のせいだ」と思い込んでしまう可能性があります。
もう一つ重要なのに、四柱推命も非常に高度な占いで、空亡は機能していないが、空亡の該当年、別な理由でたまたま運気が悪いだけという場合もあります。そんなときでも、人は勘違いして「大殺界だ」と思い込むということもあります。
じつは空亡には良い作用もあると言われます。
自分にとって凶星、悪い作用をする運気が来ているときに、空亡が重なるとその凶作用も「空しく」してしまうのです。つまり毒をもって毒を制するという機能ですね。
また上記のような条件に該当していれば、空亡、大殺界は起こらない人、当たらない人も世の中にはたくさんいるということです。
私がこれを書いているのは、六星占術を非難するためではありません。ただ大殺界という言葉が一人歩きして、本当はよい運気なのに大殺界だから何もしないとかいう人がいたら、その人は人生上の大きな不利益を被ることになります。
でも、ご本人たちには空亡や大殺界が我が身に作用するのかしないのか、判断がつきにくいことは確かです。
専門家の四柱推命師に依頼すれば教えてくれるでしょうが、ここで私は、素人の方でもかんたんにできる方法をお教えしようと思います。
それは、日記を付けることです。
「はあ?」と思われるかもしれません。が、まあ、続きを読んで下さい。
べつに大げさなものでなくて良いのです。
まず、カレンダーを用意して下さい。毎日の干支が入っているものが望ましいです。
カレンダーの毎日のマス目に、「いぬ」とか「い」とか平仮名でも漢字でも良いですが、入っているやつです。詳しいやつなら「戊戌」(つちのえいぬ)とかいう表記になっていると思います。
なにがいいたいかわかります?
そう! 空亡(大殺界)には年回りだけではなく、月回りや日回りのものも、実はあるんです!
もしご自分が戌亥空亡の土星人だった場合、カレンダーを見て、その日が「戌亥」になっているかいないか注意して下さい。
そしてその日が終わったら、カレンダーのマス目に○×△といった簡単な評価で良いです、書き込んで下さい。
今日は「○」だったとか、ついてない悪い日だったら今日は「×」とか、書き込んでいって下さい。
そうやってまずふた月くらい、統計を取ってみて下さい。
十二支はいうまでもなく12周期ですから、ふた月、60日もすれば5巡します。
つまり5回分の大殺界のデータが取れることになるのです。
データは多い方が良いです。なぜならその月、たまたまほかの干支の影響で空亡が働かないということがあるので、実際は半年くらいはほしいところです。
そうして自分の大殺界に該当する日に、○が多かったか、×が多かったか、見てみて下さい。
×が多ければ、その人は大殺界の影響を受けやすい人かもしれません。
○が多い人は、まずだいじょうぶ。気にしないで行動してかまわないと思います。
というわけで、「大殺界の真実」シリーズを終了します。
あ~あ、こんなこと書いちゃったよ。
お叱りを受けるかしら?
