Part.1からの続き。<関連記事>
では、大殺界の正体とはなんなのでしょう。
じつは四柱推命にはこの大殺界と似たものが存在します。
空亡です。
空亡は読んで字の如し、空しく亡ぶ、つまりその時期に何かしようとしても達成されず、また運気が空虚なので悪いことが起きたり、健康を害したり、ひどいときには死ぬこともあるというものです。
この空亡が大殺界の元になっていると考えられます。
空亡がどういったものか、ここで具体的に解説しましょう。
四柱推命は木、火、土、金、水の五行のそれぞれ固有の表れとして、十干と十二支があると考えます。
十干が甲乙丙丁……です。
十二支が子丑寅卯……です。
そしてたとえば丙午とか、庚子とか、そういう干支(エト)を60種類想定します。
これを並べてみましょう。
甲乙丙丁戊己庚辛壬癸
子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥
おや? 当然ですが、十干に対して十二支が2つ余ってしまいました。
この余ったものが空亡なのです。
つまり生まれ日のエトが、甲子、乙丑、丙寅……癸酉までに相当する人の空亡は、戌亥となるという思想があるのです。
この戌亥空亡に該当する人が、六星占星術では「土星人」に分類されているのです。
嘘ではないです。
間違っているかどうか、お調べになって下さい。
六星占術の本では、たいてい巻末の暦に何年の何月はいくらだと、数字が記されています。その数字に自分の誕生日を足した数字(61以上になったら、60をマイナスする)が、1~10は土星人、11~20は金星人、21~30は火星人……という決まりになっていますが、この1~10の土星人というのが、四柱推命でいう甲子、乙丑、丙寅、丁卯、戊辰、己巳、庚午、辛未、壬申、癸酉までのグループで、その空亡は戌亥です。
そして六星占術では、土星人は「戌亥」の二年間に前後のどちらか一年を加えた三年間が大殺界であるという理屈になっています。
四柱推命では、次のサイクルはあまった戌亥から始まりますから、
甲乙丙丁戊己庚辛壬癸
戌亥子丑寅卯辰巳午未申酉
ということになり、今度は申酉が余ります。
甲戌から癸未までの10個の生まれエトの人は、空亡が申酉ということになるのですが、これが六星占術でいう「金星人」です。
同じ繰り返しで、「火星人」は午未空亡、「天王星人」は辰巳空亡、「木星人」は寅卯空亡、「水星人」は子丑空亡の人がそれぞれ配当されているのです。
つまり六星占術の大殺界とは、四柱推命でいう空亡に前後のどちらか一年を加えただけという見方ができます。
じつはこの空亡、私が高校生の頃、「天中殺」という名称で、大流行したことがあります。
内容は今の大殺界とまったく同じです。
その時期に何かすると死ぬとか、計画が倒れるとか、病気になるとか、受験に失敗するとか。
ナンセンスです。
なぜなら四柱推命では、たしかにその空亡なるもの、そうした作用があることを認めていますが、空亡はいつもいつも本来の力を発揮しないという、きちんとしたルールがあるからなのです。
天中殺の本を書いた人は、後にそれが間違っていることを自ら認めました。
Part.3に続く。