大殺界の真実 part.1 |  ZEPHYR

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 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

よく占っている人の口から聞かれる言葉に、「大殺界」という言葉があります。
その年、大殺界だったから良くなかったとか、今年大殺界なんですけど大丈夫でしょうかとか。
前にもちょっと書いたことがあるのですが、この問題についてやはりはっきりと突き詰めたことを書いておいた方が良いかと思います。
それほどこの大殺界なるものを公言されておられる方は、TVの露出も多く、出版物も多く出回っており、広まっているわけですね。

まずこの大殺界の元になっている六星占術なるものについて考えてみましょう。
これは人間を全部で6種類の人間に分けてしまおうという考えです。
6です。
いいですか。ここをしっかりと考えてみて下さい。
血液型は4種類です。
それに2つ足しただけの数でしかないのです。

これはかなり乱暴な考え方です。
しかし、この誰にでも取っつきやすい、わかりやすい部分が支持されている要因でもあります。

六星占術は人間を土星人、金星人、火星人、天王星人、木星人、水星人の6つにわけ、さらに生まれた年のエトの陰陽で、+と-に分けます。つまり土星人+、土星人-が存在すると言います。
6種類をさらに2つに分けるので、12種類です(さらにこれに霊合星というのが加わりますが、ここでは割愛します)。
「六星占術だって12種類なんだ。つまり12星座占いと同じじゃないか」
たしかにそうです。

しかし、12星座占い。
みなさん、当たっていますか?
当たっている人もいれば、あまり当たっていない人もいるでしょう。
12星座占いは、西洋占星術という高度な占術の、ごく一部にしかすぎないからです。
生まれ星座というのは、生まれたときの太陽がどの星座に位置していたのかということを言います。
つまり4月1日生まれの人は、太陽が牡羊座に入っているので、情熱的な牡羊座なのです。
けれど、太陽系には他にも注目すべき天体がいくつもあります。
月はとくにその人の性格を大きく左右する星で、これが魚座に入っていれば、生まれが牡羊座でも、意外にやさしい情緒的な面が加わります。情熱ばかりではなくなってくるわけです。
金星や火星、他のすべての天体の位置関係を調べ、相関関係も見るのが西洋占星術です。

こうして作られたホロスコープは、出生時間までわかっていれば、まさにその人そのものに近いものが出来上がります(双子や同じ生年月日時の人については、現在もさまざまな研究が進められている)。
たとえば数字でこれを証明すれば、動きの比較的速い木星以内の太陽系天体だけを取っても、それぞれの天体が属する星座が12個あるのですから、月、太陽、水星、金星、火星、木星の6個がまったく同一星座に入る確率は、

12×12×12×12×12×12=2985984

となります。なんと、あなたと同じ上記の条件を満たす人は、約300万人に1人ということになります!

もちろんたとえば同い年で誕生日も非常に近ければ、動きの速い月(2~3日で一つの星座を移動する)以外は、同じ星座に入っているということは十分にあり得ます。だから学校などでは、そういう人に遭遇しやすいのです。
誕生日が同じ人もいるでしょう。
しかし、そんな場合でも出生時間は異なっているのが普通で、それによってそれぞれの天体がどのハウスに属するか、まったく違ってきます。
先日からよく書いているASCも違ってきます。

また、そうした初期の社会枠(同一年代の人間が半ば強制的に集められている場所)がなくなったら、あなたと似た人間は激減してしまうのです。

それに、まだこの計算には土星以遠の星が入っていません。
あなたの活動範囲が拡大し、出会う人が増えれば増えるほど、多様な天体配置(動きの遅い星の属する星座も違っている)の人との出会いも増えます。
土星以遠の天体も入れて計算し、さらにそれぞれの星が12個のハウスに配置されるというようなことまで考慮すると、まさに天文学的な数値となるのです(さすがアストロロジーです)。

たかが12分1にする占術との比較は、するまでもないでしょう。
西洋占星術はそうした分割だけでなく、それぞれの天体の角度まで考慮しますから、もう数字では表せないほどの確率で、個人化が可能なのです(専門の数学者に頼まないと、私なんかでは割り出せません)。

西洋占星術で調べると、たとえ大殺界に入っている人でも、その年が非常によい年回りになっている方もいらっしゃいます。
大殺界が当たる人、当たらない人がいらっしゃるのも当然でしょう。
もとがおおざっぱなのですから。
もちろん、当たったとお感じになる方もいて当然です。

では、大殺界とはなんなのか。
part.2に続きます。