近鉄は16日、3月16日に実施するダイヤ変更の概要を発表しました。今回はこれについて分析します。

https://www.kintetsu.co.jp/all_news/news_info/2024daiya.pdf

 

◇一般列車

〇京都線

(1)平日日中の京都~奈良間の急行が、毎時3本から4本に増発されます。2022年のダイヤ変更で毎時3本となっていましたが、元に戻るような形です。

(2)平日に奈良7:18発急行京都行きが新設される一方、橿原神宮前6:47発急行京都行きは大和西大寺止まりとなります。橿原から京都へ直通する列車から、奈良から京都へ向かう列車に変更する形となります。

 

〇奈良線

・大和西大寺5:00発区間準急大阪難波行きが増発され、始発列車が16分早まります。これにより、早朝の移動がさらに便利になります。

 

〇大阪線

(1)平日の大和朝倉7:29発準急大阪上本町行きについて、ダイヤ変更後は大和朝倉~五位堂間各駅停車、五位堂~大阪上本町間は急行として運行されます。(五位堂で種別変更、五位堂7:58発)

 これにあわせ、五位堂始発準急大阪上本町行き(8:00発)が新設されるため、急行通過駅の停車本数に変更はありません。

 

(2)平日の名張6:26発準急大阪上本町行きについて、ダイヤ変更後は名張~五位堂間各駅停車、五位堂~大阪上本町間は急行として運行されます。(五位堂で種別変更、五位堂7:21発)

 こちらについては、準急の新設はないようです。5分前の7:16に、別の準急大阪上本町行きが設定されているため、準急1本は減便されると思われます。

 

(3)平日朝の一部の準急は高安始発となり、6両から8両に変更されます。増車される一方、一部準急の運転区間が短縮される可能性があります。

 

(4)平日・土休日いずれも、10両の快速急行は8両に変更されます。

 

〇南大阪線・吉野線・長野線

(1)大阪阿部野橋発平日21~22時台の準急4本が増車となり、6両もしくは7両となります。

(2)平日朝に、橿原神宮前~六田間で普通列車1往復が増発となります。橿原への通勤通学を見込んでの増発と思われます。

(3)河内長野5:29発準急大阪阿部野橋行きは、5:24発となります。これにより河内長野発の始発列車が5分繰り上がります。

 

〇鈴鹿線

・平日18~19時台の運行本数が、毎時3本から毎時4本へ増発されます。現在は運行間隔が30分弱空いている時間帯がありますが、変更後は14~18分間隔に是正されます。

 

◇特急列車

〇大阪・名古屋~伊勢志摩方面

 

(1)土休日の大阪難波9:45発特急鳥羽行きは、9:40発に変更となり、名張・伊勢中川・松阪・五十鈴川に新たに停車します。その1本前の大阪難波9:20発の特急も、停車駅の少ないタイプの特急であることから、9:45発のほうは停車駅を追加するものと思われます。

 

(2)土休日の大阪上本町9:13発特急賢島行き、名古屋9:10発特急賢島行きは、いずれも鳥羽行きとなり、多客期は鳥羽~賢島間を延長運転するダイヤに変更されます。

 この2本の列車に共通するのは、数分後に別の賢島行き特急が追いかける形で鳥羽駅に到着することです。そのため、鳥羽駅で後続の特急にすぐに乗り換え、賢島へ行くことができるため、利便性低下は抑えられることとなりそうです。

 

〇南大阪線

(1)平日の大阪阿部野橋18:40発特急吉野行きは、橿原神宮前行きに短縮されます。代わりに、1本後の大阪阿倍野橋19:10発特急吉野行きは2両から4両に増車し、吉野線内での混雑対策が図られます。

(2)土休日の吉野5:57発特急大阪阿部野橋行きは、橿原神宮前発に短縮されます。また、吉野9:04発特急大阪阿部野橋行きは、多客期に運転される臨時列車に変更されます。

 

◇まとめ

 一般列車については、増車や増発が目立つダイヤとなり、コロナ禍以前とまではいわずとも、少し元に戻る動きもありました。しかし、本数が半減した路線での復便などはあまりなく、京都・大阪・奈良近郊を強化した感がうかがえます。

 特急列車については、運行区間短縮や臨時化が中心であり、苦しい状況にあることがうかがえます。区間によっては、観光以外の利用が少ないところもあり、そうしたところは臨時列車として、運行経費や労力を軽減させる狙いがあるとみています。

 とはいえ、苦しい中でも底を脱した感じはうかがえるので、これを機に利用がより回復していくのか、注目です。