「発がん性物質」が、がんを抑えるという事実 | Cの憂鬱

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先の無い高齢者のつぶやきです。Cは、お隣の怖い国、お金、職業などなどの頭文字?、かな。

「発がん性物質」が、がんを抑えるという事実 ただしこの問題には難しいところもあって、それは民族によってタバコによる被害の度合いが違うということです。禁煙運動というのはノルマン民族(スカンジナビア半島やバルト海沿岸に先住した北方系ゲルマン人)とアングロサクソンから始まっています。 これら民族はタバコの煙に対して敏感なところがあります。ですから、ノルマンの国やアングロサクソンの国へ行ったらやはりタバコは少し控えたほうがいいかもしれません。 ところがヨーロッパでも南のほうのラテン民族ぐらいになると、その影響はグンと減ります。アジアにはあまり北の国というのはなくて、北に住む民族となると中国人や日本人ということになるのですが、緯度でいうとこれはだいたいフランス人などラテン民族と同じくらいです。そして、さらに南のほうへ行くとタバコの影響というのは非常に少なくなっていきます。 これは気管のつくりであるとか、生活習慣、食べているものなど全体的な影響によるものだと思われます。ところが日本人の多くはどこかアングロサクソンやノルマンにコンプレックスがあって、彼らの言うことはすべて正しいと思っています。タバコの問題はそうしたことにも大きな影響を受けました(世界的な民族による違いなどは、拙著『早死にしたくなければ、タバコはやめないほうがいい』竹書房新書を参照)。 さらには、少なくない医師が少しアホだということもあります。 人間はがんを何によって防いでいるのかというと、発がん性物質が少なくなればがんも少なくなるということではなくて、実は発がん性物質が多いほうががんの発生は減るのです。その典型的なものがラジウム温泉やラド ン温泉で「温泉に浸かると健康になる」といってラジウムやラドンから放射線を受けているわけです。 また、毎日太陽の光を浴びると皮膚がんができます。ではそれが悪いことなのかというとそうではなくて、皮膚がんができることによって体内でがんの防御機能が働いてがんにならないようになるのです。そしてそうすることで食品に発がん物質が入っていても、ストレスでがんになる因子にスイッチが入っても、それを体内にある制がん物質が抑えてくれるわけです。 ところがアホな医師がいるので、自分の担当しているところにしか目が行きません。人間のトータルでの幸福とか全般的な健康ということを考えることがない。 その結果として、発がん物質を除こうとするわけです。今でも栄養学においては発がん物質がいけないというような考えを持っているヘンテコな人がいるのですが、発がん物質は適切な分量が要るのです。 簡単に言うと、身体の中の制がん物質は日々の太陽から受ける紫外線から発生する皮膚がんの倍ぐらいは必要かと思われますが、そのくらいの発がん物質があったほうが人間のがんは起こらないのです。だからタバコの煙とかご飯のオコゲとか魚を焼いたコゲなどのわずかな発がん性を持っているものをむしろそれを日常的に摂っているほうががんになりにくいということになります。 これは無理やりな理屈ではありません。細菌やウイルスも同じで、たとえば無菌室で生活していたらすぐに風邪をひくというのはみんな知っていることでしょう。 ばい菌のいっぱいいるインドの河に日本人が入るとすぐに下痢をしますが、インド人は下痢をしません。人間というのは薬によって病気から逃れているのではなく、それぞれの環境によって抵抗力がつくからです。 『フェイクニュースを見破る 武器としての理系思考』武田邦彦 (ビジネス社刊) R060617 P129