ディズニー映画語り わんわん物語Ⅱ | すきなものしか語れない

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元ディズニーシー長年単パサー。今はおもにディズニー映画中心に好きなものだけ勝手に語るつまらないブログです。Dヲタだった頃の記事は思い出として残してます。




はーいどーもー。



今回は恒例のディズニー・トゥーン・スタジオ回です。トゥーン・スタジオについてはこちらの記事を参照。 



いっとき巷に溢れた所謂「ディズニーヒット作のひどい続編」の主犯格としても名高いこのスタジオですが、これまでも語ってきたように実はとても素敵な作品もいくつも世に送り出しています。


今回はそんなトゥーンスタジオの作品の中から、あのディズニーの名作クラシック作品約半世紀ぶりの続編作品ついて語っていきたいと思います。


(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)


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わんわん物語Ⅱ 

(原題:Lady and the Tramp II: Scamp's Adventure)

2001年

監督

ダレル・ルーニー

ジャニーヌ・ルーセ


データ

前作「わんわん物語」から実に46年ぶりに公開された新作続編作品


ディズニー・トゥーン・スタジオ系列、そしてディズニー・アニメーション・オーストラリアを中心によって制作され2001年ソフトダイレクトにて公開リリースされました。

※厳密に言うと今作はトゥーン・スタジオ名義の作品ではありませんが、この時期のトゥーンとテレビジョンアニメーションは密接な関係でありクリエイター等も含めて垣根が曖昧な状況だった為【トゥーン・スタジオ】一纏めで紹介させて頂いています。



クレジットはありませんが「わんわん物語」原作者であるウォード・グリーン1995年〜執筆したスピンオフ作品「スキャンプ」が原作となっています。



監督は「ライオン・キング2」「ムーラン2」を手掛けたダレル・ルーニー「ティンカー・ベル」も手掛けたジャニーン・ルーセル


脚本は人気テレビシリーズ「キム・ポッシブル」作品を手掛けた事でも知られるビル・モッツボブ・ロス


音楽はライオン・キング」「アラジン」「塔の上のラプンツェル」等錚々たるディズニー作品のスコアを手掛けているダニー・トルーブ


オリジナル楽曲は「オリビアちゃんの大冒険」の楽曲を手掛けた事でも知られるメリサ・マンチェスターノーマン・ギンベル



前作の主人公レディトランプの息子スキャンプを新たな主役とし新たなストーリーを描くアニマルアドベンチャー


レディトランプをはじめ二人のご主人ダーリング夫妻やお隣犬ジョックトラスティセイラおばさんやイタリアンレストランのトニージョー等、前作のキャラクターも軒並み再登場しています。


主人公スキャンプ役は俳優のスコット・ウルフ。歌は「ヘラクレス」等でも歌を担当しているロジャー・バート

日本語版は元ジャニーズの秋山純さん。

歌は岡崎昌幸さん。


ヒロインのエンジェル役にはアリッサ・ミラノ

歌はミュージカル版の美女と野獣ヘラクレスでも知られるスーザン・イーガン

日本語版はタレントの山田まりやさん。

歌は日野しおんさん。



トランプ役にベテラン声優のジェフ・ベネット

日本語版は前作に引き続き中尾隆聖さんが続投。

歌は小西教之さん。



レディ役には「リトル・マーメイド」アリエルでも有名なジョディ・ベンソン。日本語版は藤田淑子さんが続投。歌は前田引美さん。



質の良さに定評のあるオーストラリアスタジオ中心に制作され、オリジリティと前作へのリスペクトのバランスが良く大きな破綻とそつの無い丁寧な作り一定の評価を獲得しました。


しかしながら当時のディズニー名作続編への世間の悪評は非常に強く、その中で埋もれてしまった作品の一つとも言われています。


現在においても大好評とまではいきませんが、原作の味を引き継いだ安心して観れるサブストーリーとして一定の支持を獲得し続けています。



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あらすじ



ニューイングランド。

とある年の独立記念日。
ディア家では、以前大冒険の末に結ばれたレディとトランプ、そしてそこ子ども達は幸せに暮らしていた。

しかし、トランプに良く似た男の子スキャンプは飼い犬の暮らしに不満を抱き、かつてのトランプのように野良犬の自由な生活に憧れを抱いていた。

その夜、ダーリング家をついに抜け出したスキャンプはエンジェルという雌の子犬とその仲間たちである廃品置き場の野良犬達と出会う。

その自由な暮らしに惹かれるスキャンプは彼らの仲間に入ろうと奮闘するが、そんな様子を過去に人間から何度も捨てられた経験のあるエンジェルは複雑な心境で見つめていた…

一方、突如スキャンプが居なくなったディア家は一家総動員での捜索が続けられていた。

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感想



ディズニー名作のソフト用続編の中では、特に質の高い作品の一つと言えると思います。

プロット、構成、音楽、アニメーション、全てにおいて及第点はクリアしていて、前作の空気感もそれなりに引き継いでいます。

ただ、目に見えて新しいもの特筆すべきものがあるかと言われればそれは無く「悪くはないが、特筆するほど良くもない」続編作品に落ち着いてしまっていると言えるでしょう。

とはいえ一つのディズニー作品としてきっちり楽しめる物にはなっていますので、前作が好きな人にとっては1度見ておいて損は無いと思いますね。



お決まりのストーリープロット



ストーリー自体はこの時代のディズニー続編物にありがちだった【二世モノ】であり、新しさや驚きは全くありません

外の世界に憧れる主人公というのもド定番の展開であり、構成は「リトル・マーメイド2」等と良く似ています。

そこに「わんわん物語」ならではの【野良犬と飼い犬】というテーマが絡んできます。

シンプルな王道をしっかり抑えたストーリー展開ですが、その中に【独立記念日】【エンジェルの過去】【前作からの小ネタ】といった隠し味もそれなりに加味されていて十分楽しめる事ができます。

しかし、やはり今ひとつ観ている人の心を掴んでこない淡白さは否めません。

個人的にはこの「わんわん物語」という作品は、レディとトランプによる立場の違う二人のロマンスという要素と同じくらい【飼い犬と野良犬の間で揺れるわんちゃんの葛藤】というのが大きな見処の一つで、その点で言うと今回の主人公スキャンプの言動は少々短絡的過ぎて感情移入できませんでしたね。

前作のレディとトランプのように【互いの暮らしに羨ましさを感じながらも現在の自分の生活をなかなか捨てきれない…】というような葛藤はほとんど描かれず、ただ短絡的に野良の暮らしに憧れるばかりで、最後も身に危険が迫ってなし崩し的に自由より安全をとって家に戻ったようにしか見えないんですよね…。


要因の一つは前作でさり気なく描かれていた【飼い主とペットの絆】というのがほとんど描かれていなかったこと。
前作ではレディとディア家の絆というのが大きな物語のポイントとなっていました。


そしてもう一つは【野良犬=自由気ままで素敵な暮らし】単純に描き過ぎていること。

この2点はかなり気になりました。


リトル・マーメイドの海と陸…とは違いますからね。

動物の野良問題というのは大きな社会問題の一つです。

一作目公開当時以上に、今作がリリースされた2000年代はその問題は本格化していた筈です。

【家族】をテーマに描くのであればもう少しこの二点を上手く描写して欲しかったですね。
そのほうが物語的にも深みが出たと思います。

トランプ達やディア家の人々が居なくなったスキャンプを懸命に探す姿は描かれていますが…やはり当のスキャンプの言動がちょっと…。

【家族】や飼い主との絆を表すシーンもう少し欲しかったです。

折角悲しい過去を持つ【エンジェル】という良い素材もいたのですが上手く活かしきれて無かったです。

それとヴィランのバスター含む廃品置き場の野良犬達も同様に素材がとても良かったので、もっと上手く活かしてあげて欲しかったですね。

それとレディの活躍がほとんど無かったのも一作目のファンとしては残念でした。



スパゲッティ



わんわん物語といえばやはり欠かすことのできないのがあの有名な【スパゲッティ】のシーンですよね。

今作でもしっかりオマージュシーンが用意されているのですが、ただのコピーではなくてしっかりエンジェルとスキャンプ子犬というキャラクター性を活かした独自のシーンになっているのは見事でした。


世界的に有名なシーンだけに、制作陣の気合いが伝わるシークエンスに仕上がっています。


音楽とアニメーションの健闘





一作目にはもちろん及びませんが、作画アニメーションはこの時期の作品の中ではかなり健闘していると言って良い出来です。

わんちゃん達の表情も柔らかく豊かですし、ニューイングランドの町並み前作の雰囲気も可能な限りうまく再現していたと思いますね。

そして音楽に関しては前作とは少々毛色は違いますが、堅実な良曲が揃っています。
メリサ・マンチェスター流石ですね。
オープニングの独立記念日の曲から始まる流れも、往年のディズニークラシックを思わせる雰囲気でとても良かったですし、その他の楽曲も粒ぞろいです。

ただ、英語版日本語版共に若干歌に難があるのは残念でしたかね。

折角の良曲が活かしきれていない気はしました。


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まとめ



前作の雰囲気を残しつつ上手く新しい物語も展開させていて、小ネタやオマージュも楽しく、作画・音楽共にそつ無く丁寧に仕上がっています。

ストーリーはパンチ不足で大味なところは否めませんし、前作のような味わい深さや感動ほとんどありません

ただ少なくとも約半世紀前「わんわん物語」という沢山の人々を感動させた名作のその先をしっかりと具現化してくれていますし、制作陣のそこに対する情熱をしっかり感じる作品であることは間違いありません。



言うまでもない事ですが【名作映画の低予算での続編乱発】というこの時期のディズニーのやり方はもちろんクリエイター達が決めたことではなく、上層部の明確な方針です。

ただ、そんな限られた状況の中でも可能な限り良い作品にしようと魂を込めて制作に向き合い生み出されたトゥーンの素敵な続編もいっぱいあるんですよね。

そのクリエイター達の努力もっと認められても良いのにな、と、個人的にはいつも思うんですよね。

この「わんわん物語も、作品への愛をしっかりと感じることの出来るそんなトゥーン作品の代表作の一つだと思います。

何十年も前の作品時代に埋もれ忘れられかけていた作品、、そういう作品にもう一度光を当その先を魅せてくれたトゥーンスタジオのクリエイター達には、遅れ馳せながら改めて感謝と拍手を送りたいですね。


そして「ディズニーの続編はどうせ酷い」食わず嫌いで避けている人達にも、、前作が好きなら1度はその続編も是非とも試してみて頂きたいですね。

なにせ昔はソフトでしか楽しむことが出来なかった作品達も、今はディズニープラスで軒並み観ることができますから。


この「わんわん物語Ⅱ」もしっかりディズニープラスで配信されています。


前作がお好きな方は是非1度ご覧になってみて下さい♪




はい。


というわけで今回はこの辺で!



今回も長文駄文にお付き合い頂きありがとうございました♪



また次回。



しーゆーねくすとたぁいむー。