はいどぅむぉ。
今回は恒例の?ディズニー・トゥーン・スタジオ回です。トゥーン・スタジオについてはこちらの記事を参照。
いっとき巷に溢れた所謂「ディズニーヒット作のひどい続編」の主犯格としても名高いこのスタジオですが、これまでも語ってきたように実はとても素敵な作品もいくつも世に送り出しています。
特にシーズンイベントモノのソフト用長編作品もとても沢山あって、そんな中でもやはりクリスマスムービーに関しては一日の長があると個人的には思っているんですよね。
というのも、形だけ取り入れるスタイルの日本人はあまり意識しないことですが、他国が大切にしている【クリスマスの精神】という部分を大人にと子供にもわかりやすく伝えてくれる作品がとても多いんですよね。
以前語らせていただいたこの作品 なんかもまさにそうです。
(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)
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くまのプーさん/みんなのクリスマス
(原題:Winnie the Pooh: A Very Merry Pooh Year)
2002年
監督
ジェイミー・ミッチェル
ゲイリー・カトナ
エド・ウェクスラー
ケン・ケッセル
データ
1977年の「完全保存版」23年ぶりの劇場長編作品「ティガー・ムービー」、さらにソフト作品用の「クリストファー・ロビンを探せ!」「冬の贈り物」に続く、くまのプーさん5作目の長編アニメーション作品。
2002年にソフト用作品としてリリースされました。
今作は新作の中編アニメーションと以前語ったテレビシリーズ「新くまのプーさん」のスペシャルエピソードを組み合わせた内容になっている為、スタッフクレジットにも両作品の制作陣の名前が共に記されています。
監督は「ちいさなプリンセス ソフィア」シリーズでも知られるジェイミー・ミッチェル、「新くまのプーさん」を指揮したケン・ケッセル等の4名。
脚本には同じく「新くまのプーさん」の製作総指揮カール・ゲールズをはじめ、テッド・ヘニング、マーク・ザスラヴ、ブライアン・ホールフェルトという、テレビ作品に留まらず以後の劇場作品「ピグレットムービー」や「はじめましてランピー!」も手掛けている、正にディズニートゥーンプーさんを知り尽くした面々が一同に会しています。
音楽はマーク・ワッターズ。数々のプーシリーズをはじめ、アラジンシリーズやリトル・マーメイドシリーズなど様々なディズニーテレビ作品の音楽を手掛けています。
オリジナル楽曲はマイケル・シルバーシャーとパトリシア・シルバーシャー。「リトル・マーメイド2」や「アラジン ジャファーの逆襲」の楽曲等を手掛けているソングライティングコンビです。
「クリスマス」と「新年」をテーマとしたプーと仲間たちのオリジナルストーリー。
100エーカーの森で起こるウィンターシーズンの騒動をミュージカルと共に描いています。
キャストにはお馴染みのメンバーが勢揃い。
プーさんのジム・カミングス。
日本語版は八代駿さん。
ピグレット役のジョン・フィドラー。
日本語版は小宮山清さん。
ティガー役には初代のポール・ウィンチェルと2代目のジム・カミングスがそれぞれ別パート出演。
日本語版は共に玄田哲章さん。
ラビットにケン・サンソム。
日本語版・龍田直樹さん。
イーヨーはピーター・カレン。
日本語版・石田太郎さん。
など、日米ともに最も長くキャラクターを演じてきた所謂定番のキャスト陣が揃い踏みしています。
「新年」を題材とした新エピソードに、人気の高い1991年の新くまのプーさんスペシャル【プーさんのメリークリスマス】を組み合わせた内容になっていて、現在でもウィンターシーズンに最適なプーさんのファミリーエンターテイメントムービーとして根強い人気を誇っている作品です。
プー作品としても、キャラクターのこれまで見られなかった面を押し出したプロットやギャグとハートウォーミングをバランス良く綺麗にまとめあげられた構成等が好評を獲ました。
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あらすじ
プーはクリスマスパーティーの準備に大忙し。
ツリーの準備をしていると、友人たちがやってきて早速パーティーが始まった。
しかし、プーはそのどさくさで大切な親友ピグレットへのクリスマスプレゼントを無くしてしまう。
結局プレゼントは最後まで見つからなかった。
そんな中プーたちは過去のクリスマスの事件について振り返る。その事件を知らないルーに、ラビットは懐かしむように当時の事を語り始めた…
それはとある冬。
クリストファー・ロビンとプー達はサンタへ送る手紙を書いていた。それは欲しいものをお願いする手紙。
次々に欲しいものを口にする仲間たちとそれを手紙にしたためるロビン。書き終わるとロビンはそれを風に乗せて空へ放り投げ、手紙は勢いよく遠くへ消えていった。
無事に手紙がサンタに届いたと信じ、思い思いのプレゼントを楽しみにする一行。
しかし、その翌日プーは重大な事に気がついてしまう。
仲間のプレゼントを気にしすぎて自分の欲しいものをお願いするの忘れてしまっていたのだ。
慌てて手紙を追いかけなんとか確保したプーだったが、この行為がやがて皆のクリスマスを脅かす 大事件を巻き起こすことになるのであった…
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感想
かなりかっ飛ばしたギャグもあり、テンポも良く、それでいて大人も子供も心が温かくなるような「クリスマスの精神」と「新年の誓い」をテーマとした優しいストーリーになっている他、日本の子どもたちも間違いなく知っている定番のクリスマスソングやニューイヤーソングなどもしっかり楽しいミュージカルとして収録されており、あらゆる面で家族で安心して楽しめるウィンタームービーです。
それだけでなくプー作品としても、カオスなギャグが魅力の「新くまのプーさん」、そして「ティガー・ムービー」以降の【泣かせる系プーさん】の両制作陣が携わっている貴重な作品で、この2シリーズのちょうど中間をいく良いとこどりな作風になっていて、見応えたっぷりです。
さらにプーの最大の特徴の一つでもある各キャラクターの突出した個性を「人格交換」するという非常に興味深い試みも行われていたり、ポール・ウィンチェルとジム・カミングスの2つのティガーを同作品で見ることができたり、オウルの登場しない初めての長編作品だったり、何よりも現在でも語り継がれる「新くまのプーさん」の名エピソード【プーさんのメリークリスマス】が現在の日本で観れるほぼ唯一の作品だったり…プーファンとしても絶対に見逃せない作品でもあります。
ただ、作画アニメーション的には(主に新作のニューイヤーエピソード)プーさん長編で1、2を争う粗さだったり、楽曲に既存の物が圧倒的に多かったり、少々残念な部分があるのも事実です。
名作[プーさんのメリークリスマス]
まずはなんと言っても特筆すべきは「新くまのプーさん」シリーズの中でも屈指の人気を誇るスペシャルエピソード「プーさんのメリークリスマス」が完全収録されている点。
このエピソードを現在観ることができるのはほぼこの作品のみとなります。
この時期のトゥーンスタジオはこういう過去制作の作品と新規作品を一つのパッケージにまとめたオムニバス方式を多様する傾向にありましたが、その中でもこの作品は特に質が良い混合作品です。
ただのオムニバスでなくしっかり一つの物語にまとめていますし、単純な再録ではなく、なんと新規パートに合わせる形でキャラクターのカラーリングの塗り直し、英語版日本語版共に声優を統一させる為の全編にわたる再アフレコまで行われているという拘りよう。(英語版のティガーのみ初代のポール・ウィンチェルの声をそのまま使用してますがこれは敢えてだと思われます。)
それでも10年程前の作品と新規アニメーションを繋ぎ合わせてるので画質の質感の違いによる違和感等はありますが、何よりもこの名作にこういう形で再び光を当ててくれた事にプーファンとしては感謝ですね。
シンプルながらプー達の純粋さと愛らしさ、クリスマスの大切な精神を丁寧なアニメーションで魅力的に表現した素晴らしい作品です。