ディズニー映画語り ブラザー・ベア2 | すきなものしか語れない

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ディズニー映画を自己満で語るつまらないブログを粛々と書いています。一投稿の文章が兎に角長いです。ごめんなさい。



はぁいどうもぉ。



今回は恒例のディズニー・トゥーン・スタジオ回です。トゥーン・スタジオについて詳しくはこちらの記事を参照。 


いっとき巷に溢れた所謂「ディズニーヒット作のひどい続編」の主犯格としても名高いこのスタジオですが、これまでも語ってきたように実は素敵な作品もいくつも世に送り出しています。


圧倒的低予算短期間人気作品の続編を制作するという無理難題を命じられながらも、限られた武器の中でしっかりと観ている人の心に残る続編も何本も残してきました。


もちろん中には文字通り厳しい物もありますが…。



今回はそんなトゥーン・スタジオ制作作品の中から【隠れた良作】との呼び声も高いこちらの作品を語っていきたいと思います。



(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)


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  ブラザー・ベア2

(原題:Brother Bear 2)

2006年

監督

ベンジャミン・グラック


データ


2003年に公開されたヒット映画「ブラザー・ベア」OVA用続編作品


前作の後日談を描いた直接的な続編であり、引き続き人間から熊になったキナイと子熊のコーダ…そして新キャラクターであるニータの冒険を描くネイチャーファンタジーアドベンチャーです。


監督は「ホーム・オン・ザ・レンジ」「バンビ2」等のディズニー作品に携わっているベンジャミン・グラック


脚本は「きつねと猟犬2」等も手掛けたリッチ・バーンズ


音楽はマシュー・ジェラードデイブ・メッツガーロビー・ネビルの3人が担当。

オリジナル楽曲をグラミー賞アーティストであるメリッサ・エスリッジが担当。3曲の楽曲制作・提供を行いました。



主人公キナイ役は前作のホアキン・フェニックスから「魔法にかけられて」のロバート役でお馴染みのパトリック・デンプシーへ変更。

日本語版も東山紀之さんから田中一成さんへ変更となっています。


コーダ役は前作に続いてジェレミー・スアレス、日本語版も池田恭祐さんが続投。


今作で新たに登場する女性ニータ役をラプンツェルの専属声優であり人気ドラマ「THIS IS US」で有名なマンディー・ムーアが演じています。日本語版は甲斐田裕子さん。


良作ながら低調に終わった「ブラザー・ベア」OVA続編という事であまり大きな話題にはなりませんでしたが…その作り込みの丁寧さや音楽作画良質さは多方面から 好評価を獲得しており、トゥーン・スタジオによる続編群の中でも特に【地味ながら上質な作品】としてファンから愛され続けている一本です。



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あらすじ





遥か昔。

この世は魔法で出来ていると教えられていた。


狩猟民族イヌイットはこの世の全ての出来事は自然を司る精霊グレイト・スピリットの力によるものだと信じ、暮らしていた。

そんなイヌイットの三兄弟の末っ子・キナイはある事件をキッカケにグレイト・スピリットにより熊へと姿を変えられる。


それを受け入れたキナイは子熊のコーダと共に熊としての生活を送っていた。


ある日キナイは人間であった頃の思い出を突然夢に見る。それは幼い頃からの友人ニータの夢だった。


一方ニータは自身の結婚式を目前に控えていた。

しかしその直前、災害が発生し式は中止となる。

それは、グレイトスピリットの意思であった。


ニータが過去にキナイから貰ったお守りが深く二人を結びつけており、キナイと共にお守りをホカニの滝で燃やさなければニータは他の人と結ばれる事はできないという。


ニータは共にホカニの滝でお守りを燃やすため、キナイとコーダのもとへ出向く。

複雑な想いを抱きながらも…ニータへの協力を承諾するキナイ。


こうして、キナイとコーダ、そしてニータの新たな冒険が始まった…。


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感想



派手さは無いですし蛇足感も強いストーリーではありますが…非常に堅実な作りになっていてオリジナルの世界観テーマを引き継ぎ上手に再現しています。

毎度の事ながらもちろんトータルクオリティは前作には及びませんが…作画アニメーション音楽等はとても健闘していると感じました。

テーマはしっかりありながら前作よりもわかりやすさコメディタッチ感が増していて、子供も大人も安心して観れる充分に良質なディズニーアニメーションです。

何よりも…多少大味ながらしっかりと「ブラザー・ベア」精神性を受け継いだ続編になっているので、前作が少しでも好きな人は安心して一度観てほしいですね。



突飛ながら丁寧なプロット





特に何か大きな捻りあるわけでもなく兄弟愛男女愛になっただけで結局やってる事は前作とあまり変わらないんですけどね。

「折角だからコーダとキナイに女性の家族が増えたらもっと幸せだよね。じゃあもう一人人間をクマにしちゃえ。」くらいなノリの、、
普通に考えるとワリと安直アイデアプロットだとは思います。

ただそんなプロットながら、、ブラザー・ベアの世界観をしっかりと再現し丁寧にリンクもさせている(グレイト・スピリットの導きに根付いた人々の生活など)ので違和感なくしっかりと【続き】として観る事が出来ます。
これって結構大きいです。

キャラクターの行動原理(ニータの心情変化やキナイの夢、コーダの想いなど)や細部をわりとを抜かずに細かく描写しているのでスッと抵抗なくストーリーが入ってくるんですよね。


グレイトスピリットの意思もようは【元彼(しかも幼少期)とのけじめをつけないと結婚させないぞ】という何とも理不尽と言うか余計なお世話と言うか…なかなかミニマムすぎる気もしないでもないですが「過去に結んだ絆」を大切にしろというこの導きと【愛する人はいつまでも心の中にいる】というテーマがうまく物語を繋いでいるこの構成はなかなか考えられていたと思います。

お互いの気づかない深層心理のレベルで、キナイとニータの心にはずっとお互いが居たという事なんですが…その表現あざと過ぎず上手い塩梅でした。コーダやニータの母親の存在引き合いに出したのが凄く上手かったですよね。


そして前作と同じ【広い視野を持ち、動物や人間といった種別ではなく生命として誰かを愛し側に居ること】というこのシリーズの根幹もしっかりと踏襲しています。

子供も楽しめるエンターテイメントとしてヘラジカ兄弟のコメディリリーフぶりも増してますし、単調にならないように途中でアライグマ窃盗団達との小競り合い等の小山がしっかり作られているのも良かったです。

ヘラジカ兄弟扱い方も前作程ではないですが上手だったと思います。

主題はニータとキナイの物語ながら、、コーダにも忘れずにフォーカスを当てていて、キナイとコーダの絆もちゃんと引き続き描かれていたのも前作のファンとしては大事なポイントです。

ただ、、キナイの人間時代の部族まったく登場しなかったのはちょっと寂しかったですね。
特に前作の主要キャラであった兄のデナヒとかは、、セリフ無くても良いのでラストくらいには居てほしかった…もしくは言及が欲しかったです。

あとニータの婚約者アトカ
彼の扱いだけはなかなかで、、ちょっと気の毒でした。この辺はやっぱりトゥーンクオリティかなぁと。。


作画と音楽の健闘



毎度の事なんですが、、やはりトゥーンスタジオ演出と画角構成・背景の描き込みが基本的に上手くないです。

ただ2000年代中半辺りの作品は特に作画と音楽関して非常に注力はしていて、今回もトゥーン作品の中で見るとかなり良い出来になってます。

特にキナイとコーダモーションや表情等は前作の物を良く再現できている思います。



新キャラクターのニータも、どこか親しみやすい表情や作画魅力的造形されていると感じました。

そして、、音楽は今作凄く良かったですね。

特にメリッサ・エスリッジによる書き下ろしの三曲はいずれも素晴らしかったです。

前作が何といってもフィル・コリンズによる名曲オンパレードだったのでなかなかハードルが高かったと思いますが、全く見劣りしていません

中でも終盤に流れるIt Will Be Me」という曲は情緒溢れる名曲でした。

ミュージカルシーンは無いですが、この確かな音楽達がしっかり作品全体を押し上げくれています。


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まとめ




前述しましたが意地悪な見方をすれば【この続編必要あった?】という蛇足感は確かにあります。



しかしそれでも、低予算クオリティの中でしっかりと手を抜かず細部を作り込む確かな仕事で、前作のテーマと世界をしっかり【繋いでいる】事がこの続編の一番の意義かなと思います。



単純にコーダキナイ【もっと幸せになる】という誰も損をしない(ニータの婚約者は気の毒でしたがw)単純明快なプロットなのも良かったです。


「シュガー・ラッシュ オンライン」を観て感じた事でもあるんですけど、、続編って…そりゃ作品としては一作目に劣らないような物語仕掛けを…となるのも当然だとは思う一方で…


こういうミニマムな物もやっぱり必要だよなぁとも思うんですよ。リロ&スティッチ2 の記事でも書きましたけど。

続編は個人的には「前作を観た人の為にあるべき物」だと思ってるので、決して新たな目玉がなかったとしても…その世界を繋ぐだけで充分意味があると思うんです。


前作を好きな人【その先】を少しだけ除くことが出来る。それだけでも良いんじゃないかなと。


それが本来一番の【続編】の意義なんじゃないかなぁと。


トゥーン・スタジオの作品を観てるとそんな事を考えますね。


逆に最近のディズニーの続編【前作を越えるような壮大な事】をしようとし過ぎて【世界を繋げていない】気がするんですよね。


そう考えると…今作はとても良い続編だと思いました。




「ブラザー・ベア2」は現在ディズニープラスで配信中です♪





はい。


というわけで今回はこの辺で!



今回も長文駄文にお付き合い頂きありがとうございました♪



また次回。



しーゆーねくすとたぁいむー。