はーいどーもー。
今回は恒例の今は無きディズニー・トゥーン・スタジオ回です。トゥーン・スタジオについてはこちらの記事を参照。
いっとき巷に溢れた所謂「ディズニーヒット作のひどい続編」の主犯格としても名高いこのスタジオですが、これまでも語ってきたように実はとても素敵な作品も沢山世に送り出しています。
そんな作品の中で、今回はディズニーの看板コンテンツ「リトル・マーメイド」シリーズから、こちらのシリーズ最終作について語っていきたいと思います。
(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
リトル・マーメイドIIIはじまりの物語
(原題:The Little Mermaid: Ariel's Beginning)
2008年
監督
ペギー・ホームズ
データ
2000年の「リトル・マーメイドⅡ」以来約8年ぶりとなったシリーズ最新作。
公開形態はビデオスルー。
「ティンカー・ベル」「プレーンズ」両シリーズを除くとトゥーン・スタジオの単独続編作品の最終作となりました。
監督は「ティンカー・ベル」シリーズのペギー・ホームズ。
脚本はロバート・リースと実写版「美女と野獣」も手掛けたエヴァン・スピリオトポウロス。
音楽はトゥーン作品音楽のエースジャニーン・テソリとジェームズ・ドゥーリー。
余談ですがこの作品の楽曲「歌の力」は、東京ディズニーシーのマーメイドラグーンシアター「キング・トリトンのコンサート」でも使用されています。
邦題ではナンバリングが付いていますが、物語は第一作「リトル・マーメイド」の前日譚。
地上に憧れる前のアリエルが主人公に、これまでの陸と海というプロットではなく、舞台を海底帝国アトランティカのみに絞った、第一作第二作とは全く違ったストーリーが展開されます。
アリエル役はジョディ・ベンソンが続投。
日本語版はお馴染みのすずきまゆみさん。
さらに一作目からセバスチャン役を演じ続けたサミュエル・E・ライトの最後の作品としても知られています。日本語版は山寺宏一さん。
トリトン王役にはプーさんやティガーの専属声優としても知られるディズニーヴォイスレジェンドのジム・カミングス。日本語版は石田太郎さん。
ヴィランのマリーナ役にはアカデミー女優のサリー・フィールド。日本語版は定岡小百合さん。
日本語版ではお笑いコンビ・バナナマンの2人がゲスト声優として参加。
日村勇紀さんはベンジャミン役を、設楽統さんはモリー役をそれぞれ演じています。
ディズニーを代表する大人気作品の待望の続編であったにもかかわらず、その全体クオリティの粗さから批判家陣を中心に低評価を多く受けた8年前の前作「リトル・マーメイドⅡ」でしたが、その作品力を確実に上げていたトゥーン・スタジオの事実上の最終作の一つという事もあり、公開前から大きな注目を集めていました。
ソフト公開後そのセールスは好調な数字を記録し、評価面でも音楽面では批判が多く上がるもののアニメーションクオリティや一作目と巧みに紐付けたストーリープロットの丁寧さが好評を獲得します。
劇場未公開作品の為一般認知度は高くはありませんが、特にこれまでの作品で語られていなかったシリーズを通した世界観の根幹を成すそのストーリーやアリエル等のキャラクター描写はファンから強く支持されており、シリーズのマスターピースとして愛され続けています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あらすじ
かつてアトランティカは音楽と笑顔で満ち溢れた王国だった。
王のトリトンとその妻アテナは互いに愛し合い、幼い娘たちと共に幸せに暮らしていた。
二人の結婚記念日。
音楽が大好きなアテナにトリトンは特別なオルゴールを贈り、音楽と幸せに溢れた時が流れていた。しかし、この結婚記念日に事件は起きる。
入江に突如一隻の海賊船が現れる。
船は岩壁に衝突する事故を起こして座礁し、その混乱の最中アテナは事故に巻き込まれ不幸にも命を落とす。
悲しみに暮れるトリトンは、アトランティからアテナが大好きだった音楽を廃止し法律で固く禁じてしまった。
それから数年が経ち…
成長したアリエルは姉達と共に退屈なプリンセスとしての毎日を送っていた。そんな時ひょんな事からアリエルはフランダーという魚に出会う。
不審な動きをするフランダーの後を尾行すると、そこには驚くべき光景が広がっていた…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
感想
とても良く出来ている作品です。
トゥーン・スタジオの本領発揮って感じで、やっぱり直接的な続編じゃなくてこういうスピンオフ的な作品はこのスタジオほんと上手いですね。
前作の「リトル・マーメイドⅡ」で散々酷評された作画の酷さはしっかり改善してきましたし、何よりストーリープロットが見事でしたね。
思えばずっとリトル・マーメイドという作品と密接に関わりを持っていた「音楽」に焦点を当て、今まで謎だったアリエル達の母親の物語を絡めながら1.2とは全く違うアプローチのストーリーとして新鮮味も持たせつつ、1へ繋がる伏線を所々へ散りばめていて、作品としてしっかりまとまっています。
大傑作!とまではいきませんが「リトル・マーメイド」が好きな方は絶対楽しめる内容になってると思いますね。
陸との絡みやロマンス要素を撤廃した分海底アドベンチャーとしての完成度がアップしていて、アリエルやセバスチャン、フランダー等既存のキャラクター達も新たな一面が見られたりより魅力的にブラッシュアップされています。
ヴィランも大人気のアースラから離れ少し不安でしたが、マリーナという新たなヴィランがちょっと面白い変わったキャラクターで良かったです。
個人的にはトゥーン・スタジオ作品の中でもかなり上位に位置する秀作だと思いますね。
詳しくは↓以下↓で〜
作画とアニメーションの健闘
アンダー・ザー・シーへの壮大な伏線
音楽の力不足
これは結構海外とかでも言われてますが「音楽」が非常に重要な物語の今作に対して、その肝心の音楽が正直イマイチです。
これはもう仕方ないんですが。
色々やってるんですけど、ラストの「歌の力」くらいしか印象に残らないんですよね。
特に秘密のクラブでのシーンとマリーナの歌辺りはもうちょっと力のある楽曲が欲しかったです。
楽曲がもう少しパワーのある物だったら、結構な傑作になっていたと思うだけに…
ここはちょっと残念。
音楽だけは「Ⅱ」の方が良かったですかね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
まとめ【リトル・マーメイド好きな人にはマストな作品】
「Ⅱ」は正直無理にオススメはしませんが「リトル・マーメイド」好きの方、アリエル好きの方には是非この作品はマストでチェックして頂きたいですね。
世界がより広がる素敵な前日譚です。
結構細い所まで一作目とのリンクや小ネタを多分に意識した作りになってるので「あれってこういうワケでこうだったのか!」てのが沢山あって、これを観てから改めて一作目を観るのも本当に楽しいと思います。
(※ちなみにニ作目とのリンクはほとんどありませんのでこちらは観ていなくても充分楽しめます)
あとアリエル達姉妹とトリトン王の親子関係もこれまでよりしっかり描かれているのでそこも見処です。
アニメーションも綺麗にまとまっていて見易いですしね。
リリースされた当時は「どうして今更前日譚?」と少々不思議に思ったものですが、しっかり情熱をかけて作られたトゥーン・スタジオの意地を感じる渾身の一本でしたね。
「Ⅱ」を観てちょっぴりガッカリしちゃった人も、滅気ずに是非ともこちらは一度は観て頂きたい作品です。
「リトル・マーメイドIII はじまりの物語」は現在ディズニープラスで配信中です♪
はい、という事で。今回はこの辺で〜。
今回も長々と失礼致しました。
しーゆーねくすとたいむ。