すきなものしか語れない

すきなものしか語れない

ディズニー映画を自己満で語るつまらないブログを粛々と書いています。一投稿の文章が兎に角長いです。ごめんなさい。


はいどうも。


さて…時代は長かった暗黒期を終え【ディズニー第3の黄金期】と言われる2010年代突入中です


2004年フルCG映画制作への完全移行を実施してから徐々にその評価と成績を上げてきたディズニーはついにアナと雪の女王で社会現象級の特大メガヒットを達成。


2000年代から10年以上続いた暗黒期をようやく名実ともに完全に吹き飛ばしました。


続くアメコミ+ディズニーな意欲作ベイマックスも評価・収益共に見事な大成功をおさめ…待望のディズニー第3黄金期が名実ともに到来


そんな中次に公開されたのは…またしても前2作とは趣向や方向性のガラッと異なる作品黄金期の勢いに乗り…振り幅の広さを徹底的にアピールします。


錚々たる実力者たちが集結し作られた、、チキン・リトル以来約11年ぶりとなる【ディズニー伝統の完全アニマル・ムービー】をついにここで持ってきました。。


(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)


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ズートピア 

(原題:Zootopia)

2016年

監督

リッチ・ムーア

バイロン・ハワード

ジャレド・ブッシュ


データ

ウォルトディズニーアニメーションスタジオ55作目の長編アニメーション。

 

シュガー・ラッシュ以来となる原作の無いディズニーオリジナルストーリーであり…もともとはロビン・フッドのような[人間社会を動物の擬人化で描く物語]をもう一度作りたい、、という発想から生まれた作品です。

やがてそれは[動物たちが動物のために動物によって設計した現代世界で暮らす]という構想と[動物コンビによる刑事ドラマ]という趣向が組み合わさった独自の作風へと発展。。

様々な動物達が暮らす大都会ズートピアを舞台にウサギ初の警察官ジュディと詐欺師ニックのコンビが社会問題にも繋がる大事件に挑む様子を描いたミステリーアドベンチャーとなりました。

前述通り…実に約11年ぶり人間が一切登場しないディズニー動物アニメ映画としても有名です。

〈製作スタッフ〉

監督はザ・シンプソンズシリーズ…そして「シュガー・ラッシュ」成功を収めたリッチ・ムーア「ボルト」「塔の上のラプンツェル」を手掛けたバイロン・ハワード「ミラベルと魔法だらけの家」ジャレッド・ブッシュも共同監督として参加しています。

脚本はジャレッド・ブッシュが監督と兼務で務め「シュガー・ラッシュ」フィル・ジョンストンも参加。

音楽は数々のディズニー・ピクサー作品を手掛け、テレビドラマ「LOST」でエミー賞…「カールじいさんの空飛ぶ家」でアカデミー賞を受賞しているマイケル・ジアッチーノ担当。

〈キャスト〉
主人公ジュディを演じたのは「ワンス・アポン・ア・タイム」の白雪姫役でも有名なジニファー・グッドウィン日本語版は上戸彩さん。「ピーター・パン2」のジェーン役に続く二度目のディズニー映画出演です。

狐のニック役は「オザークへようこそ」等でも知られる人気俳優ジェイソン・ベイトマン日本語版は森川智之さん。数々のキャラクターをこなしてきた言わずと知れたベテラン声優さんです。

また…ズートピアのスターであるガゼル役を人気アーティスト シャキーラが務めており…主題歌「Try Everything」も歌唱。日本語版はDream Amiさんが務め…同様に主題歌を担当しています。

〈世評〉
久々の完全なアニマルムービー、、そして大ヒットを飾ったアナ雪やベイマックス全く異なる作風である事から…公開前は少なからず不安の声も多く上がっていた本作ですが、、

世界各地で行った徹底取材で研究し尽くされた動物モーションや最新技術を用い進化した映像表現、、現代社会風刺とエンタメが絶妙に内包されたストーリー、、魅力的なキャラ造形などが人々から広く支持され…

蓋を開ければ世界興行収入で前作ベイマックスを上回るメガヒットを達成。(日本の収益はベイマックスが上回っています)。

アカデミー賞も受賞するなど評価面でも多方面で絶賛される大成功作品となりました。

日本でも、、特に近年その強いキャラクターカリスマ力もあって急速にカルト的人気が上昇。。

パーク登場やグッズ化も増加し続けていて、、いまや「アナと雪の女王」「ベイマックス」と並ぶ新世代ディズニースタンダードとして圧倒的な人気を獲得しています。

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あらすじ



田舎町で育ったジュディは[世界をより良い方向に変えたい]との信念と警察官になる事を夢見るウサギの女の子。

両親をはじめ周りからは「ウサギが警察官になれるわけない」と冷やかな視線を受けながらも必死の努力で警察学校を首席で卒業し、ついに大都市「ズートピア」でのウサギ初警察官としての勤務が決定する。

初日から現実の厳しさを目の当たりにするジュディは…多発する肉食動物の行方不明事件の捜査を願い出る。

そんな過程で出会ったのは詐欺師のキツネ・ニック。

この出会いが、、やがてズートピア全体を揺るがす大事件に発展していく事を二人はまだ知る由もなかった…。

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感想



良い意味でも悪い意味でも新世代ディズニーアニメーション映画象徴するような作品です。


黄金期を代表する実力者達が集まり制作された作品なのでトータルクオリティ恐ろしく高く、、全てが総じて非常に良くできています。


なんていうか、、ここ数年では一番作り手の狙い通りに観てもらえて狙い通りの評価を獲られた作品なんじゃないでしょうか。


見た目は可愛らしい動物達による見るからに子供やファミリー向けの定番アニメーションですが、、実際は社会派映画の要素が非常に強く、かなり大胆な大人向けに振った内容になっていますね。


所謂「アニメーションに意味を求める人達」からはノートルダムの鐘等と並んで圧倒的な人気を誇るカリスマ性の強い作品


しかしそれだけではなくエンターテイメント映画として音楽、映像、ギャグ、アクション、全てがかなりのハイレベルでまとまっているので間口は広く敷居は低く…その人気も頷けます。


やはりロビン・フッド方式の擬人化アニマルの手法がとても効いているのと、ただの擬人化ではなく徹底的にその動きや習性を研究し落とし込んだギミックギャグ逸品です。


決して一部の人しか楽しめないような作品なっていない所が流石


ただ、、個人的にはやはりディズニーは「メッセージ性」や「社会性」を考え過ぎた映画はどうしても似合わない&得意ではないっていうのは間違いないと思ってて、、今作も本当にその部分は顕著に出ていたなと。。


こういう映画を否定してる訳ではなくて…単純にディズニーが評価されてきたエンターテインメンって絶対そこじゃないじゃないですか。もっと言うとディズニーの本質ってわりと真逆だと思うんですよね。


だからハッキリ言うと、、社会性やメッセージ性に傾倒しすぎると、、粗が出ちゃうんですよ。。


まぁでもそれを差し引いても間違いなく完成度のべらぼうに高い素晴らしいアニメーション映画ではあるんですが。


エンタメ映画として隙のないクオリティ



これは本当に感服しました。


コレまでに無い程の強いメッセージ性と程よいミステリー要素の内包されたぶ厚い脚本頼り切らない、、キャラ力の追求や音楽と演出、、シリアスな本線と非常にバランスのとれた軽妙なコメディ要素。そして街や設定等の細部のギミック


どれをとっても隙のない一級のエンターテイメントです。スマホやipod、冷凍食品など、、細かい所も現代の人間社会を投影させているので軽い気持ちで映画を観る若者世代からの共感度が高いのもポイント。


各動物達の特性上手に落とし込んだアクションシーンも本当に素晴らしいです。


脇を固めるキャラ達個性とその使い所もとても良くて、、それぞれがキッチリと役割を果たしています。


特に、、



公開当時から話題沸騰だったナマケモノのフラッシュ

ゴッドファーザーの見事なディズニー流オマージュであるミスター・ビッグ

警察署の受付係であるクロウハウザー

主題歌の名曲「Try Everything」と作中でのその絶妙な扱い方。。

この辺りが本当に抜群にうまくて、、この映画をただの社会派映画ではなく一級のディズニーコメディエンターテイメントとしてしっかり成立させている大きな要素です。

フラッシュのような誰もが思わず笑ってしまう攻撃力の高い王道ギャグからミスター・ビッグのようなパロディを使った狭い笑いまで。

それぞれ種類の異なる笑いバリエーション豊かにしっかり抑えていて、、この辺は本当に舌を巻く素晴らしさでした。
 

鋭い社会風刺からこぼれ落ちるもの




ここらは少しネガティブな話題。。


前述の通りこの映画は現代の人間社会を擬人化した動物達で表現し、、その問題をあぶり出す事物語の核となっています。


具体的に言ってしまえば大きく扱っているのは、、【人種問題】


もっと具体的に言ってしまえば1960年代アメリカの公民権運動を物語のベースとしています。


あらゆる動物が集まる大都会【ズートピア】


あらゆる動物が平等で「何にでもなれる街」とされながらも、、【ウサギの警官】というだけでまともに扱われないジュディ【キツネだから】というだけで酷い扱いを受けて夢を失ったニック、、種類ごとに別けられた居住エリア、、そして人々の根底に引かれている【肉食動物】と【草食動物】の境界線。


人々深層心理にある差別感情



擬人化動物で表現しているという事もありここにかなり遠慮なしに切り込んでいます


もちろん重たくならないようにユーモアエンタメを織り交ぜながらうまくやっていて、これ自体は成功していると思います。


観客の反応も概ね期待通りだったのではないでしょうか。


後述しますがこのズートピアでの【社会性を強く内包させたアニメーション】大成功は今後のディズニー全体の作品の方向性大きな影響を与えていくことになります。


しかしその一方で。。


前述しましたが、、ディズニーはこういう事をやると所謂ファミリーエンタメ映画では隠れていた他のストーリー上の粗浮き彫りにしてしまう傾向があります。


今回自分がどうしても気になってしまったのは作品全体に見え隠れする【職業差別傾向】です。


主人公ジュディは田舎育ちですが、、大都会ズートピアで警官をする事になります。


着任初日の仕事が交通違反係な事を【差別的なひどい仕打ち】と描いていますが、、新人警官の初日に複雑な捜査ではなく交通違反係をやらせるのはそんなにおかしな事でしょうか?


「そんな仕事じゃなく警察官らしい仕事がしたい!」と抗議するジュディですが、、交通違反係警察官らしい仕事じゃないのでしょうか?


田舎で農業をして生活している両親を終始【どこか間の抜けた存在】として描いてるのは何故でしょうか?田舎での農業を【冴えない生活という前提で描いてるのは何故でしょうか。


きっとそこに他意はなく、描きたい所が違うだけというのが正解でしょう。


ただ、、これだけ露骨に【差別】をテーマとして押し出されると逆にどうしても気になってしまうのが正直なところです。


魅せたい【差別批判】の為にまったく【別の差別】を無意識に描いちゃってませんか?


と。


ディズニーが社会性作品をやるとどうしてもこういう事端々で起こってしまうんです



そしてそれの最たるものが次のトピック、、↓↓


今一度問われるディズニーの倫理観



この作品は、、ザックリ言うと【種族や偏見ではなくその人を見よう】という大きなメッセージと共に締めくくられます。


これを言われてしまうとどうしても気になってしまうのは、、ニックの存在です。


彼は良いヤツです。キツネというだけで迫害を受けて育った可哀想な良いヤツです。


でも、、どうしても犯罪者です。


直近でバリバリ詐欺を働いていた人間がなんのお咎めも受けずにすんなりと警察官になっています。


【ファンタジーなんだし過去ではなく今のその人が大事なんだから…】というのも分かります。


というかだからこそ今まであまり気にしないようにしてました。アラジンユージーンも。。


昔々のおとぎ話の世界だから、、と。


だけどこの作品はここまで大体的に人間社会のリアルさを掲げています。


しかも現代社会を。


となるとこの辺の違和感というのが否応無くどうしても目立ってきちゃうんですよね。


もともとディズニーは犯罪、、特に詐欺や窃盗を少々軽んじる作風が昔からあります。


ただ社会的な強いメッセージ性や複雑な深いストーリー等に重点を置かず、、あくまでファンタジーエンターテイメントを追求してきたからこそ、、言い方は悪いですが今まである意味誤魔化せてきました。


これが、、【ディズニーには社会派作品が合わない】と感じる個人的な一番の理由ですね。。



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まとめ



本当に一本のエンタメ映画として間違いなく素晴らしい傑作だと思います。

トータルクオリティに関しては言うことなしです。

ディズニーの培ってきた伝統現代映画におけるトレンド奇跡的に良い塩梅で最高の融合をしているんですよね。

そりゃ人気も出る筈です。

間違いなく、、現代ディズニーを代表する一本

と同時に…この後訪れる暗黒期の始まりを静かに告げた作品である事も間違いありません。

ディズニーにおけるこの路線のギリギリ最高到達点はこの「ズートピア」だったんじゃないかな…と。。


それが個人的に一番思う事ですね。。。


黄金期を代表する傑作であると同時に、、静かな迷走のはじまりというか、、、。


続編公開が控えている今作ですが、、果たしてどんな作品になるのか…

そちらも非常に気になるところです!


「ズートピア」は現在ディズニー+で配信中


一本のアニメーション映画として、、そしてディズニー映画としても、、近年ではトップクラススーパークオリティ作品なのは本当に間違いないので…

続編公開前に、、是非とも一度ご覧くださいね♪

はい。


というわけで!今回はこの辺で!


しーゆーねくすとたぁーいむ〜。


はいどうも。


今回は【ディズニーの実写映画作品】群の中から…


ディズニーが1970年代から何度もリブートを繰り返してきた隠れた傑作シリーズの三作目のリメイクであり、、


2025年ついにシリーズ初の劇場用続編が公開される事となったこちらの作品について語っていきたいと思います。



(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)




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  フォーチューン・クッキー

(原題:Freaky Friday)

2003年

監督

マーク・ウォーターズ


データ


ウォルト・ディズニー・ピクチャーズガン・フィルムズにより制作され2003年に公開された実写映画

普段からソリの合わない母娘の体がひょんなことから入れ替わった事から巻き起こるドタバタ騒動を描いたハートフルコメディです。

原作はメアリー・ロジャースによる1972年の児童小説「Freaky Friday」

1974年ジョディ・フォスター主演によりヒットを記録した映画化第一作目を封切りに、、ディズニーが何度も映像化を行ってきたフランチャイズシリーズ三作目リブート作品となっています。

〈製作スタッフ〉
監督を務めたのは実写ヒューマン・コメディ作品に定評のあるマーク・ウォーターズ

脚本は…原作者と共に原作小説の続編も執筆したヘザー・ハッチ[ヘアスプレー][ゴーン・ガール]等でも知られるレスリー・ディクソン

音楽はイギリスの映画作曲家ロルフ・ケント

プロデューサーは[ホーンテッドマンション(2003)][クルエラ]等で知られるアンドリュー・ガンが務めました。

〈キャスト〉
主役の【娘】アンナ役を務めたのは当時役17歳だったリンジー・ローハン。今作をキッカケに一役売れっ子ティーン・スターの道を駆け上がることになりました。

もう一人の主役【母】テス役をホーンテッドマンション(2023)等にも出演するベテランのオスカー女優ジェイミー・リー・カーティスが演じています。

テスの婚約者ライアン役に人気ドラマNCISシリーズのマーク・ハーモン

アンナのボーイフレンド・ジェイクを数々のドラマや映画でマルチな活躍をみせるチャド・マイケル・マレーが演じました。

〈世評〉
1974年の初作以来、、テレビドラマ等でリブートされ続けながらもなかなかスカッとした評価や人気を獲る事ができずにいた同シリーズ

そんな背景があったにも関わらず再びのこの劇場版リブート製作にゴーが出たのは…当時[プリティ・プリンセス]等の女性が主役を張るファミリーコメディ好成績を納めていたという周辺状況が大きく影響していました。

世間の注目度も当初はそれ程高くありませんでしたが…結果的には収益面・評価面共に予想を越える成功を収めます。

コメディの軽快な面白さや基本ティーン向けな内容にも関わらず[子供も大人も楽しめる]そのストーリー多方面から支持され…

主演二人の演技好評を獲得し、、特にリンジー・ローハンは今作の成功がキャリアアップの大きなキッカケとなりました。

その後同シリーズはミュージカル化テレビリメイク等断続的に続いていき、、2025年には今作の正統続編である[シャッフル・フライデー]も公開されるなど、、

長きに渡り愛されるディズニーの人気コンテンツの一つとなっています。


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あらすじ




とあるシングルマザーの家庭。

几帳面な性格の精神科医である母親テスは最愛の恋人との再婚を二日後に控えていた。

ロックバンドに夢中の問題児な娘・アンナは…そんな母親と婚約者に複雑な想いを抱いており、、母娘間の関係は決してうまくいってはいなかった。

そんなある日、、家族で行ったチャイニーズレストランで両者の鬱憤がついに爆発。

そして…一つの家族の運命を変える、、前代未聞の大事件が巻き起こる。。

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感想



もうね…こんなの面白いに決まってるでしょってね。

古くから使い古されてきたボディスワップ系映画の…コメディとしての一つの完成形がフリーキー・フライデー

そんな中でも最も世代社会情勢価値観などが世の中とマッチしたのがこの[フォーチューン・クッキー]だと思います。

決して莫大ヒットではないにも関わらずディズニーがこの題材をり続ける理由が、、今作に詰まっているような気がしますね。

ハマれば絶対面白い題材、、、それの…正にバッチリハマった好例と言えます。

余談ですけど…だいぶ昔初めてミラコスタに泊まった時にたまたま深夜これがディズニーチャンネルでやってたんですよね。

なんとなく流してただけだったんですけどいつの間にか夢中になって最後まで観てしまい、、寝坊して翌日のアーリーエントリーに遅れてしまったという良き思い出があったりしますw

落ちストーリーは大体予想がつくのに、、コメディハートフルどちらも押し付けがましさがなくバランスが絶妙なので観てて心地よいんですよね。

気付くと夢中になってしまう…。


そんな魅力を持った楽しいヒューマンコメディです。


時代に合わせた魅力的なキャラ造形



やっぱりこういうボディスワップ系しかもコメディ映画だと、、大筋自体は自然と形にハマっちゃうぶん…対象となるキャラクターが持つ個性や魅力が何より肝になってくるじゃないですか。

入れ替わって面白くなるかどうか

一番大事なとこにどうしてもなっちゃうと思うんですよね。

それを見事にクリアしてる事が、、この作品の大きな成功の要因の一つだったのかなと思います。

ズボラでだらしなくてロック好きで擦れまくりの娘と言うのはテンプレ的ではありながらも、、そのロックにかける情熱や母親に対する遺恨の理由というような細部までしっかりディテールが組まれているので違和感や無理がなく…いかにも2000年代当時の学生らしい雰囲気も時代にとてもマッチしていました。

そして自分が最も巧みだなと思ったのが母親のキャラクター像です。

娘とは正反対の性格であるという事だけではなく、、几帳面すぎるという部分をしっかり欠点として描いていたのが素晴らしいなと思いました。

ただ娘に振り回されるだけの母親とどまっていない所が。

これにより、、どちらにも人としての個性欠点があり…入れ替わる事でそれがどのように変化していくか、、というのがとても分かりやすく、そして面白くなっていたと思います。

それとやはり二人の遺恨の大きな源として父親の他界と母の再婚がある…というのもベタではありながら素敵な味付けでしたよね。

このキャラのしっかりした造形という…ヒューマンコメディとして抑えるべき部分をキッチリ抑えているので、、

共感性もしっかりあり、、違和感なく笑う事ができ、、終盤ではホロッと感動もさせてくれる、、

非常にソツなく完成度の高い内容になっています。


役者陣の貢献



これはもう…本当に。

ジェイミー・リー・カーティスリンジー・ローハン、、この二人だったからこそここまで面白い作品になったという事は素人目に観ても間違いないと思います。

上手いとか下手とか、、そういう事はよくわかりませんが…端的にいうと二人ともとんでもないハマり役ですし、、


二人の放つ正反対の空気感が確かな化学反応を起こしてて、、それが作品を何倍にも面白く魅せている気がするんですよね。


入れ替わった後の演技も非常に自然で…本当にお互いの性格が乗り移ったような立ち振舞はお見事でした。


特にジェイミー・リー・カーティスティーンな演技圧巻の一言。


今作を彼女のベストアクトに推す声が多いのも非常に頷けます。


 テスの婚約者ライアンのマーク・ハーモンるからに人が良いのが伝わってきますし…祖父アラン役のハロルド・グールドオーバーなコミカルアクトが良いアクセントになっています。


これらの役者陣の好演&ハマり具合が抜群だった事もこの作品の魅力を大いに増加させているよなぁ…と観る度に思いますね。


渾身のバンドシーン



もう一つ今作の大きな特長はキーポイントの一つであるバンド演奏シーンクオリティの高さです。

実際の音は勿論プロのスタジオミュージシャン達による演奏なのですが、、その仕草振舞魅せ方臨場感が非常に良くできていて…作品通しての大きな見所の一つとなっているんですよね。

特にリンジー・ローハンは今作の為に(実際に自分で弾くつもりで)一年間ギターの猛特訓をしたとの事で…その成果が確実に画面に出てます。

ギターソロなんかまるで実際に弾いているかのような渾身のプレイでした。

楽曲も非常に良くて…特にエンディングでバンドが演奏する「Uitimate」という楽曲はギターの音が気持ちの良い非常に良質なポップ・ロックになっていて、、この作品の締め括りにピッタリな一曲だったと思います。

コメディにおけるキャラの扱い



一つ個人的に少しだけ残念だった所を挙げておくと、、アンナのボーイフレンド・ジェイクくだり全般でしょうか。


彼を演じるチャド・マイケル・マレーも他のキャスト陣同様非常に個性的で素晴らしかったのですが…


扱い方的には今ひとつこの物語においてバシッとハマりきってはいなかった気がします。


まぁコメディ映画なので…そういう意味ではこれくらいで十分役割は果たしているとも言えるんですけどね。


本当、、敢えて挙げるなら、、です。


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まとめ




決して大掛かりな予算がかけられた超大作ではないですが…ディズニーにはこういうヒューマンコメディ系の映画にも良いものがたくさんあるんですよね。


その代表的な作品の一つが…この「フォーチューン・クッキー」だったと思います。


重厚な物語やド派手なエンタメ、、若者を惹きつけるようなセンスなくとも、、


ありきたりな定番設定ストーリーであったとしても、、


何年も前の自分のように…誰もがいつでも気軽に観れて一定値以上堅実に楽しめるコメディというのは実はとっても凄い事なんですよね。


20年以上の時を経て続編が制作された事も心から頷けます。



映画って、、やっぱり言っても商品なので…制作してる側からすればそれぞれにある程度の用途や役割があると思うんです。


当たるかコケるか、、0か100かのような超大作ばかりではスタジオも業界も絶対に回っていかない。



この作品のように地味ながらも堅実に人を楽しませ手堅く収益も生み出せるような作品は映画会社にとってある意味大作以上の宝と言えるかもしれませんね。


「お互いの目線に立ってみなければお互いの事を本当には理解できない。」


そんな事を爽やかな笑いと温かな感動で届けてくれる…沢山の人に観てほしい素敵なファンタジーヒューマンコメディでございます♪


新作続編公開この機会に是非ご覧になってみて下さいませ〜♪


「フォーチューン・クッキー」は現在ディズニー+で配信中です♪



という事で今回はこの辺で。


今回もお付き合い頂きありがとうございました!

ではまた次回。

しーゆーねくすとたいむ〜。



 

 



はぁいどうもぉ。


今回は恒例のディズニー・トゥーン・スタジオ回です。トゥーン・スタジオについて詳しくはこちらの記事を参照。 


いっとき巷に溢れた所謂「ディズニーヒット作のひどい続編」の主犯格としても名高いこのスタジオですが、これまでも語ってきたように実は素敵な作品もいくつも世に送り出しています。


圧倒的低予算短期間人気作品の続編を制作するという無理難題を命じられながらも、限られた武器の中でしっかりと観ている人の心に残る続編も何本も残してきました。


もちろん中には文字通り厳しい物もありますが…。


今回はそんなトゥーン・スタジオ制作の記念すべき第一号作品であり…ディズニーのテレビ産業の礎を作ったあの名作初の劇場版となったこちらの作品について語っていきます。



(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)


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  ダックテイル・ザ・ムービー/失われた魔法のランプ

(原題:DuckTales the Movie: Treasure of the Lost Lamp)
1990年
監督
ボブ・ハスコック

データ


1987年〜1990年に制作・放送されTVカートゥーン史

に残る特大ヒットを記録したディズニーの伝説的アニメーションシリーズ初の劇場用作品


ディズニーがテレビアニメ作品を劇場映画化したの作品であり…今後様々なディズニー作品を手掛けていくトゥーン・スタジオ(当時)ディズニー・ムービートゥーンズ)が初めて制作した長編劇場映画でもあります。


[ミッキーのクリスマスキャロル]で大きな人気を獲得したスクルージ・マクダックとし…ダックシリーズ第一人者と言えるカール・バークスのコミックから多くのキャラクターや設定を引用して新しい世界観と物語を付与したTVシリーズの世界観をそのまま引き継ぎつつ…


千夜一夜物語[アラジンの魔法のランプ]をベースとした新作のオリジナルストーリーが展開さるアドベンチャーコメディとなっています。


元々はTVスペシャルとして創案された物でしたが…同シリーズのあまりの人気ぶりに劇場映画化の企画が持ち上がった事からこのエピソードを基に映画用のストーリーが時間をかけて練り込まれていきました。


制作のほぼ全てがディズニーのフランススタジオで行われたの作品でもあり…クリエイター達は今作を[我々にとっての白雪姫]と発言しています。


〈制作スタッフ〉

監督を務めたのはTVシリーズ制作の中枢メンバーでもあったボブ・ハスコック


脚本はバットマンスーパーマンなど様々なカートゥーンシリーズを手掛けるアラン・バーネット


他にも…当時のテレビアニメーション草創期を支え礎を築いた面々が多数携わっています。


音楽に関してはランディ・ニューマントーマス・ニューマンの親族であるデビッド・ニューマン。様々な映画音楽で功績を残している他…誰もが一度は聴いたことのあるであろう20世紀フォックスのファンファーレを作曲した事でも有名です。


シンガーソングライターのマーク・ミューラー制作しジェフ・ペシェット歌い社会現象になるほどの人気を博したTVシリーズのメインテーマEDソングとして使用されています。


〈キャスト〉

主人公のスクルージ・マクダックを演じたのは…実に40年以上に渡って彼の声を専属で務めたアラン・ヤング日本語版は北村弘一さん。2007年に他界されるまで、、実に20年近く同役を専属で演じ続けました。


甥っ子のヒューイデューイルーイ、、さらにレギュラーキャラクターのウェビーという四役を全シーズンに渡り務めあげたのは…ミニー・マウスの専属声優として世界的に有名なルシー・テイラー。日本語は甥っ子三人を坂本千夏さん。ウェビーは遠藤勝代さん。


今作のヴィラン・マーロック役にはバック・トゥ・ザ・フューチャーでお馴染みの名優クリストファー・ロイド。日本語版をこれまた名優の内海賢二さんが演じています。余談ですが内海さんはシリーズのテレビ東京版でスクルージ務めており…新旧スクルージの共演も話題を呼びました。


〈世評〉


[ディズニーで最もヒットしたTVアニメ]とも言われる伝説の番組「ダックテイル」。。

まさに異例づくしの様々な対応を経て、、まさに満を持しての映画化となったのがこの作品。

潤沢な製作費と期間も投入され、、ディズニーの期待力の入れようも相当な物でした。

しかしながら…興行収入面ではその期待を大きく下回りほぼ赤字という結果に終わってしまいます。

評価面では[TVシリーズと同等の面白さ]という一定の好評を獲るものの[映画にした意味が見えない]といった批判も上がり…

この予想外の失敗によりディズニーは予定していたダックテイルチップとデールの大作戦などのさらなる映画化全て取りやめるという対応をとりました。

沸騰していたダックテイル人気に完全に水を差す形になってしまったんですよね。

しかしながら…公開から35年以上経過した現在でも尚この伝説のTVシリーズ評価と人気は色褪せることなく…この映画版もまたそんなTVアニメの精神を純度100%で受け継いだ傑作として数多くのファン達から長きに渡り愛され続ける一本となっています。


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あらすじ





ダックバーグいちの大金持ち・スクルージ。


冒険とビジネス…何より金を愛する彼が次に目をつけたのは伝説の盗賊・コリババが遺したと言われる大財宝。


甥のヒューイ、デューイ、ルーイらと共に古代ピラミッドに向かったスクルージは幾つもの罠やピンチを乗り越えついに財宝を手に入れる。


しかし…その行く手にとある一人の魔法使いが立ちはだかりみすみす財宝を横取りされてしまう。。


そんな混乱の中一行が偶然手にしたのは…[願いを叶える]魔法のランプ…。


スクルージ史上最大の冒険と闘いが今始まろうとしていた。。



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感想



こういうテレビ作品の映画化というと変に肩に力の入った内容になってしまうものも多いのですが、、

音楽アニメーションが映画用にブラッシュアップされている以外は…本当に良くも悪くもテレビシリーズそのままノリ世界観クオリティに仕上がっています。

いやほんと、、テレビのいちエピソードと言われてもそのまま違和感なく信じてしまいそうな程の純度120%なダックテイルです。

あまりにもテレビのまんま過ぎて公開当時は「映画にする必要あった?」と、、逆に賛否もあったようですが、、

個人的にはこれはとても嬉しい一本でした。


ダックテイルというのは最早テレビカートゥーンの一つの金字塔です。

映画用アニメとは違う…カートゥーンならではの良さや醍醐味がたっぷりと詰め込まれたシリーズなんです。

それをそのまんま劇場で…しかも力のこもったアニメーションと音楽、、そして新作エピソードで堪能できるというのは、、ある種この上ない贅沢だったと思うんですよね。

わかりやすい比較対象として「パパはグーフィー」を映画化した「ホリデーは最高!!」があります。

あれはそもそもこのダックテイル映画化収益的失敗を受けて上層部がテコ入れし、、テレビシリーズと設定や内容に落差のあるリブート的内容変更されたという経緯があります。

1本の映画としてこちらは大成功を収め、、実際に本当にいい作品なのですが…やはりテレビシリーズのファンからすると少々複雑な部分はどうしてもありました。

タイトルまで変更となっている為…この二作品シリーズだということを知らない人も未だに沢山いますからね。

それに比べるとこの劇場版ダックテイルのその堂々とした態度たるや…w

自分達のこれまでしてきた事に絶対的な自信を持ち…それをそのままお出ししたという潔さがアッパレです。

しかも決してあぐらをかいている訳ではなく…テレビシリーズ観ていない人初見で観ても楽しめるような様々な細かい配慮もなされています。

「これだったらテレビで良いじゃん」…と言いたくなる気持ちも分からなくもないですが…

当時最高峰のテレビカートゥーンそのまま一つの劇場用映画にしたという貴重な一本として、、個人的には大好きですし…もっと評価されても良いんじゃないかなぁと思ったりするんですよね。

ダックテイルという作品が沢山の人から愛される理由が…この一本にもちゃんと詰まっています


[いつも通り]に含められた配慮



前述通り…いつも通りのダックテイルではあるのですがその中には[ダックテイルを知らない人でも楽しめるような工夫]というのが随所に散りばめられています。

例えばその登場人物…。個性的なキャラクターやヴィラン達が次々に登場毎話飽きさせない工夫というのもこのシリーズの大きな魅力の一つなのですが、、、

今作では敢えて初期メンバーのみ非常にシンプルなメンツに抑えられています。

バッパロボダック、、マジカフリントハートビーグルボーイズ等シリーズの人気キャラクター達出演はおろか言及もされません

これはこの映画ではじめてこのシリーズに触れる人混乱しない為の配慮だと言うことが制作陣から公言されているんですよね。

さらに…ストーリー展開にも工夫が成されています。

このダックテイルというテレビ作品長期シリーズである為様々なマンネリ化対策が施された事でも有名で…その一つがシリーズ通しての内容構成でした。

シリーズ前半は所謂世界の様々な場所を舞台とした[アドベンチャーコメディ]となっていますが…シリーズが進んでいくに連れてダックバーグ内を舞台に限定した[シティコメディ]にその内容をシフトさせています。

この構成の工夫が今作にもそっくりそのまま採用されているんですよね。二部構成となっており…前半は冒険、、後半は町内での騒動が展開されるという。。

言わばダックテイルの[良いとこどり]のような内容になっていると言えます。

いつも通りではあるけども…決してファンの人しか楽しめないような敷居の高い物になっているのではなく、、

むしろシリーズの入門編のような…誰が観ても楽しめるファミリーエンタメとなっているのが素晴らしいです。


一本のカートゥーン作品として



いやこれも本当に良く出来ているんですよ。

流石ダックテイル…といったところです。

例によって深みや泣き要素など微塵もなく誰がどう観ても一発で内容が理解できるようなシンプルな物語ながら、、散りばめたユーモアアクション、、細かく積み重ねられる山場、、転換と起伏、、その全てが正に職人技です。

魔法のランプ争奪戦というただそれ以上でも以下でもないありふれたストーリー見事な展開構成と演出一級のエンタメカートゥーンに仕上げてるのが本当に見事すぎますね。

後半のスクルージ逮捕からの怒涛の展開なんて本当惚れ惚れする程秀逸ですよ。


又…前述した通り登場人物がかなり限定されているのですが、、その分各キャラクターの個性や見せ場がしっかりと用意されているのでファンも納得の満足度

人気キャラランチパッドウェビービークリー夫人なども大活躍します。

新キャラクターであるヴィラン・マーロックやその手下ディジョンランプの精等もそれぞれが流石のキャラクター力ですね。

そして何よりダックテイルの精神的全体テーマである【お金や欲よりも大切なもの】…というのが今作でもしっかりと描かれている事も大きなポイントですね。

ハラハラドキドキの冒険に沢山のギャグ…そしてそっと添えられた教訓、、、。

キッズカートゥーンとしては正に教科書のような非の打ち所のない一本だと個人的には思っています。



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まとめ




という事で…

日本では劇場未公開ですし、、「ダックテイルって映画になってたんだ!」という人も多いですが…このまま時代と共に忘れ去られるにはあまりにも惜しい傑作カートゥーン映画です。

何よりもダックテイルというオバケシリーズ良さ約90分の一本しっかりと閉じ込めた贅沢な一本となっています。

ファンは安心して観ることが出来ますし、、逆にシリーズ未見の方には入門編として名刺代わりになるような映画なんですよね。

それと…この後数々のディズニーの続編達を世に送り出すことになるトゥーンスタジオ最初の一本として、、アニメ史的な面でも大きな意味を持つ一本でもあります。

個人的には「ダックテイルはリブート版しかしらない」…という現代の若い方々に、、【これがオリジナルのダックテイルだ!】というのを知って頂く意味でも是非一度はご覧になって頂きたい作品ですね。

シリーズ未見でも全く問題なく楽しめますので♪



機会があればぜひ〜。



「ダックテイル・ザ・ムービー/失われた魔法のランプ」は現在ディズニープラスで配信中です♪






はい!

というわけで今回はこの辺で!


今回も長文駄文にお付き合い頂きありがとうございました♪



また次回。



しーゆーねくすとたぁいむー。