こんにちは。

冷房が効いた部屋でもセミの鳴き声で暑さにやられています。どうもゆーやです。


今回は、タイトルにもある通り遠征する方向けの鉄道の切符の買い方の解説です。

少々長くなりそうなので、目次を載せておきます。
自分に関係がありそうだと思った部分をつまみ読みでもしていただければと思います。
(もちろん全部読んでくれたらめっちゃ嬉しいよ!)

 

 

目次

0. まえがき

1. 切符の意味
 1.1 乗車券の意味
 1.2 特急券の意味
 1.3 指定席券の意味
 1.4 結局、どんな切符を買えばいいの?

2. 切符の買い方
 2.1 みどりの窓口で発行してもらう
 2.2 券売機で発行する
 2.3 インターネットで購入する
  2.3.0 スマートEX
  2.3.1 えきねっと
  2.3.2 e5489
 2.4 切符購入の際の駅の設備の調べ方
 2.5 ICカードの利用は要注意!エリアまたぎの罠
 2.6 切符の払い戻しについて
 2.7 切符の変更について

3. 特例・割引
 3.1 特定都市区内特例
 3.2 大都市近郊区間特例
 3.3 往復割引
 3.4 乗継割引(2024/3/15まで)
 3.5 学割乗車券

4. その他
 4.1 途中下車ができる切符
 4.2 列車遅延・運休における対応

5. あとがき



 

0. まえがき

先日、大学の研究室でゼミ合宿なるものがありました。

場所は都内から100km~150km程で、殆どの人は都内から特急列車を使って行ったんです。
そこで行くまでの切符を取るわけですが、鉄道ファンの自分はいろんな人から切符の買い方を聞かれました。例えば、


「なんの切符をどこで買えばいいの?」


「乗車券と特急券って何が違うの?」

 

「いつも電車に乗るときみたいにSuica(PASMO)は使えないの?」


普段あまり遠出しない人も多かった研究室仲間。
そりゃ普段から遠出しなければ、自分みたいな鉄オタでもない限り買い方分かりませんよね。


んで、ふと思ったことがありまして。


「これ、ライブで遠征する時とか同じ悩みの人たくさんいるんじゃないか...?」


実際ライブツアーの期間になると、切符が分からない!といったツイートもちょくちょく見かけます。
そこで、鉄道ファン歴20年程の自分が少しでも役に立てばと、筆を取った次第です。


この記事が、遠征する方の役に少しでも立ち、良き思い出ができれば幸いです!

 

1. 切符の意味

切符の買い方を理解するためにはまず、切符の意味を理解する必要があります。そこで、ここでは乗車券、特急券の意味を説明します。

 

1.1 乗車券の意味

乗車券の意味とは、ズバリ

「出発地から目的地まで連れていくことを約束する切符」です。

 

これを見て「え?電車の切符なんだから、そんなの当たり前でしょ?」と思った方もいると思います。

実際その通りです。電車に乗る目的は、出発地から目的地まで移動すること。つまり、乗車券は電車に乗る上で絶対必要となります。逆に他の切符があっても、乗車券が無いとその切符は意味を持ちません。このことは常に覚えておいてください。

 

遠征に限らず、「ちょっと電車で買い物しに行こ~」と言って買っている切符は、全て乗車券の扱いです。SuicaやPASMO、西ならICOCAなどのICカードを使う方はこの意識をほとんど持たないと思いますが、改札にタッチして引かれている金額は、全て乗車券の料金です。

 

また、JRではこの乗車券で乗れる列車は普通列車と快速列車のみと決められています。

(普通列車には各駅停車も含まれます。特別快速や新快速など、「〇〇快速」と名の付く列車は全て快速列車の扱いなので、乗車券のみで乗れます。)

 

ただし、特急列車や新幹線は、この乗車券だけでは乗れません。これらに乗るためには、乗車券に加えて「特急券」という切符が必要になります。次にそれを説明します。
 

 

1.2 特急券の意味

特急券の意味とは、ズバリ

「出発地から目的地まで速く連れて行くことを約束する切符」です。

 

乗車券の意味との違いは赤字の部分です。特急券は、出発地から目的地まで行く際に、速い列車に乗っていいよということを約束しています。

 

郵便に例えるならば速達が分かりやすいでしょう。日本郵便によると、速達では基本料金にさらに料金が加算されます。このとき、基本料金が乗車券に対応し(郵便を送る⇔目的地まで運ぶ)、加算料金が特急券に対応します(郵便を速く送る⇔目的地まで速く運ぶ)。

 

まとめると、

  • 乗車券・・・目的地へ運ぶ切符
  • 特急券・・・目的地までの移動を速く行うオプション切符

となります。

特急券という名前から、「特急列車に乗るのに必要な切符」とも推測されます。
その通りです。が、それに加えて、新幹線に乗る場合も特急券が必要です
つまり、全ての新幹線は特急列車の一種であると考えてもよいでしょう。
(厳密には違いも存在しますが、切符の購入の際には問題にならないためここでは説明を割愛します)

また、特急券を購入する区間は、出発駅から目的地の全区間ではなく、あくまで特急・新幹線に乗車する区間のみである点もご注意ください。そのため、実際の目的地と異なる駅が切符に表示される、といったことも十分あり得ます。

 

なお、実際に特急券を購入する際は、指定席特急券あるいは自由席特急券のいずれかの購入となります。これは、次に説明する指定席券が特急券に付くか否かの違いです。次にこの指定席券について説明します。

 

1.3 指定席券の意味

指定席券とは、着席が保証される券です
お盆や年末年始など、列車が混む時期の移動の際は座席に座れないことを心配される方も多いと思います。
指定席券を購入しておくと、そのような心配をする必要が無くなります。

なお、この切符は座席を指定するため、当然ながら乗る列車を切符購入の段階で確定させる必要があります
実際に新幹線や特急列車に乗車する際は、特急券と指定席券が1枚の切符として出てくる(これを指定席特急券といいます)ため、この切符の存在を意識することは薄いと思います。
これに対し、指定席券無しの特急券のことを、特に自由席特急券といいます。


なお、列車によっては自由席が存在せず、指定席券を購入することが必須となる列車も存在します。(例:東北新幹線のはやぶさ号など)
このような列車は、全車指定席と案内がありますので、よく注意して切符を購入してください。
普通・快速列車にも指定席が存在する列車が稀に存在します(例:岡山~高松を結ぶ快速マリンライナー、名古屋~鳥羽を結ぶ快速みえ等)。
この場合、乗る列車が特急列車ではないため特急券は必要なく、乗車券と指定席券のみ購入すればOKです。

 

1.4 結局、どんな切符を買えばいいの?

ここまで、乗車券および特急券の意味について解説しました。それでは、これに基づいて買う切符の選び方を考えてみましょう(指定席券は必要に応じて購入してください)。
なお、ここではJR(新幹線含む)の切符の買い方について説明します。それ以外の鉄道会社の切符については、別途その鉄道会社の券売機で購入してください。

例として、埼玉住みの人が兵庫県のワールド記念ホールで行われるライブに参加することを考えます。
自宅の最寄駅を大宮駅として、在来線の三ノ宮駅、あるいは新幹線の新神戸駅までの切符を買うこととなります(*)。その際乗る列車・区間によって買う切符が異なりますが、以下に3パターン示します。
(*)ワールド記念ホールの会場の最寄駅は、正確にはポートライナーの市民広場駅です。しかし、ポートライナーはJRではないため、JRからポートライナーに乗り換えられる三ノ宮駅、あるいは新神戸駅から三ノ宮駅までは地下鉄で移動するとして、新神戸駅までの切符を考えることとなります。
 

1.4.1 大宮駅→(在来線)→東京駅→(新幹線)→新大阪駅→(在来線)→三ノ宮駅

まずは乗車券を購入します。電車に乗る全区間を購入する必要があるため、この場合は大宮駅から三ノ宮駅まで購入します。
次に特急券です。先述したように、特急券を購入する区間は、特急・新幹線に乗車する区間のみでした。この経路では、東京駅から新大阪駅まで新幹線に乗車します。そのため、特急券を購入する区間は、東京駅から新大阪駅までとなります。

 

ここまでの説明を図に示します。

 

それぞれの切符が効力を持つ区間を矢印で示しました。
実線と破線は途中下車の可否を表しています(このルールについては後述します)が、この図より、区間に破線のみが存在する大宮駅~東京駅、新大阪駅~三ノ宮駅が途中下車可能となります。
(ここで言う途中下車とは、改札を出ることを表しています。)

 

1.4.2 大宮駅→(在来線)→東京駅→(新幹線)→新神戸駅

まずは乗車券を購入します。やはり乗車する全区間なので、大宮駅から新神戸駅まで購入します。
次に特急券ですが、今回は新幹線を新神戸駅まで乗車するため、特急券はこの区間、つまり東京駅から新神戸駅まで購入します。

図にすると以下のようになり、途中下車は大宮駅から東京駅間でのみ可能です。

 

1.4.3 大宮駅→(在来線)→三ノ宮駅

これまで通り、乗車券は大宮駅から三ノ宮駅まで購入します。

一方特急券ですが、区間内全てで在来線を利用し、新幹線・特急列車の利用がないため、この場合特急券の購入は必要ありません

図にすると以下のようになり、全区間で途中下車が可能です。

(ただこれだとずっと普通・快速列車にしか乗れず、恐らく所要時間は10時間程かかります...果たして挑戦する猛者はいるのでしょうか...)

 

2. 切符の買い方

ここまで、切符の意味について解説してきました。次に、実際に切符を購入する方法について説明します。いくつか方法がありますので順を追って説明し、購入時の注意点や切符の変更・払い戻しの方法についても説明します。

前提として、切符を購入できるようになるのは「乗車日の1ヶ月前、午前10:00から」です。
(例:乗車日が10月1日⇒購入は、9月1日10:00から可能)

また、切符の有効期間については乗車券と特急券で異なり、特急券は自由席・指定席問わず1日です。乗車券は距離によって異なり、以下の計算式で出せます(往復であれば距離を2倍してから計算することをお忘れなく!)。

有効期間=乗車距離÷200+1日
(小数点以下切り上げ)


なお、特例が適用された場合はこの限りではありません。

 

2.1 みどりの窓口で発行してもらう

切符を買う方法、1つ目はみどりの窓口(JR東海の場合はJR全線きっぷ売り場)で発行してもらうことです。
この方法は、実際に駅員さんに切符をその場で発行してもらうため、購入ミスのリスクは最小限に抑えられるほか、その場で分からないことを質問できるというメリットがあります。
駅員さんがすぐに分かるよう、購入する切符や区間、片道or往復や乗車日を紙に書いてそれを見せることを強く推奨します
実際にみどりの窓口に行くと、購入申込書なる紙がおいてあると思いますので、それに記入することが確実です。

しかし、駅員さんが乗客1人1人に対応するため、長時間並ぶことを強いられることがデメリットです。
また、現在は人員削減のためか、みどりの窓口の閉鎖が相次いでおり、切符を購入するために電車に乗って出かける必要があるということも大いにあり得ます。

(駅によっては、みどりの窓口の利用のために電車を利用する際の運賃は、後から払い戻してもらえたり、それ専用の切符を発券してもらえる場合もあります。この辺は駅ごとに対応が異なるため、詳しくは駅員さんにお尋ねください。)

どの駅にみどりの窓口があるかはこちらの項目をご参照ください。

 

2.2 券売機で購入する

先述したように、みどりの窓口での購入には、長時間並ばされるデメリットがあります。
この列を回避する方法の1つは、駅にある指定席券売機で購入するという方法です。実際、みどりの窓口のに長蛇の列がある中で指定席券売機が空いているという状況はよく見かけます(少なくとも自分は)。

具体的な使い方は説明するとキリがないのでここでは省略します。

券売機の前に立ったらまずは、「購入する特急券が指定席か自由席か」を選択します(ここが最初に使用する際に少々戸惑う部分かと思います)。乗車券を購入するボタンも同時に表示されるため、乗車券の購入の際はこちらを押してください。
(先に特急券を購入すると、乗車券を同時に購入するかの選択画面が表示されるため、乗車券と特急券の区間が同じの場合はこれを使うと便利です。)

ここさえ分かれば、あとは券売機の指示に従ってボタンを押していくと購入できると思います。

どの駅に指定席券売機があるかはこちらの項目をご参照ください。

 

2.3 インターネットで購入する

地域によっては切符をインターネットで購入することもできます。指定席券を購入する際、駅に赴くことなく座席の確保をできるという点が最大のメリットです。

次の手順で切符を購入することができます。

  1. 切符購入のインターネットサイトにアクセスし、乗車する列車・席を確保する
  2. 切符の料金をクレジットカード or コンビニ等で支払う
  3. 切符の受け取りに必要なQRコード or シリアルコードをメールで受け取る
  4. 駅の指定席券売機でQRコードをかざす or シリアルコードを入力して切符を受け取る

1.に示したインターネットサイトはいくつか存在し、購入できるエリアや切符受取が可能な範囲が各鉄道会社(JR東日本、JR西日本など)によって異なります。

次にこれらのインターネットサイトについて示します。
 

2.3.0 スマートEX

スマートEXとは、東海道・山陽・九州新幹線の切符を購入する手段です。後述する2つのサービスと少し性格が異なり、これらの新幹線以外の切符は購入できないほか、乗車券のみ・特急券のみ購入するといったこともできません。乗車券と特急券の効力が一体となった切符です

この切符の最大の特徴は、切符を受け取る手間を省けるという点です。

切符の購入方法としては、まず会員登録(無料)をしてクレジットカードとICカードを登録しておきます。
次に乗車する新幹線を決めて運賃をクレジットカードで支払います。
乗車日当日は登録したICカードを新幹線の改札にかざすことで乗車できます(かざした際にEXご利用票という紙が出てくるため、これが切符代わりとなります)。
(ICカードを登録せず、駅で切符を受け取って乗車することもできます。受け取れる駅はこちら)

 

 

2.3.1 えきねっと

えきねっとは、JR東日本が運営するインターネット予約サービスです。ほとんど全国のJR切符を購入することができますが、切符受取はJR北海道・JR東日本・JR東海の駅に限られます(JR北海道では、JR東海を含む切符は発券できません)。
厳密には、これらの駅のうちみどりの窓口・指定席券売機のある駅が受取可能となります。(設置駅はこちら)
なお、JR東海では指定席券売機のみで受取が可能です。受取可能駅の一覧はこちらをご覧ください。
(一部JR西日本の駅も受取可能ですが、かなり限定的であるためここでは説明を割愛します。)
切符受取ができない駅の詳細はこちらをご覧ください。

以上より、えきねっとは北海道・東北・関東在住の方がインターネットで切符を予約する際に利用することとなります。
2023年5月より、東海道・山陽・九州・西九州新幹線を含む予約は、切符受取の際にクレジットカードが必須となっています。 

 

2.3.2 e5489

e5489(読み:イーゴヨヤク)は、JR西日本が運営するインターネット予約サービスです。JR東海・西日本・四国・九州の全域と、JR東日本の(ほぼ)関東甲信越の切符を購入することができます。
切符の受取は、JR東海・西日本・四国・九州についてはほぼ全域で切符を受け取ることができますが、JR東日本は東京23区内の駅、北陸新幹線の停車駅、成田空港駅、空港第2ビル駅に限られます
(JR東海の駅で受け取る場合、切符の区間にJR東海エリアが含まれている必要があります。)

JR東日本での切符の受取可能な駅が限られているため、e5489は中部地方より西にお住まいの方がインターネットで切符を予約する際に利用することとなります。

受取可能駅について、JR東海はこちら、JR西日本はこちら、JR四国はこちら、JR九州はこちらをご覧ください。
 
 

 

以上の他、JR九州にはインターネット列車予約というサービスがあります。JR九州・西日本の切符を購入できますが、こちらで予約できる切符は概ねe5489がカバーしているため、ここでは説明を省略します。ネット限定の割引切符などがありますので、九州・西日本在住の方がそれらの利用の際に用いることとなります。

 

2.4 切符購入の際の駅の設備の調べ方

切符を購入する際、みどりの窓口や指定席券売機が必要です。また、インターネットで切符を予約した際も、受取には指定席券売機が必要です。そこで、ここではこれらの設備がある駅を調べられるリンクを一覧で表示します。

  • JR北海道
    みどりの窓口の設置駅の一覧および営業時間はこちら
    指定席券売機の設置駅の一覧はこちら
    (話せる券売機とは、オペレーターの方と電話を繋いで切符を発券してもらう機械です。駅員さんがオペレーターとなって電話で話すことでみどりの窓口と同じ役割を果たしますが、みどりの窓口に並ぶ時間同様、オペレーターの方と繋がるまで時間がかかる場合もあります。)
     
  • JR東日本
    みどりの窓口の設置駅および営業時間はこちら
    指定席券売機の設置駅はこちら
    (話せる指定席券売機とは、オペレーターの方と電話を繋いで切符を発券してもらう機械です。駅員さんがオペレーターとなって電話で話すことでみどりの窓口と同じ役割を果たしますが、みどりの窓口に並ぶ時間同様、オペレーターの方と繋がるまで時間がかかる場合もあります。)
     
  • JR東海
    みどりの窓口の設置駅および営業時間はこちら
    指定席券売機の設置駅はこちら
     
  • JR西日本
    みどりの窓口・指定席券売機の設置駅はこちら
    (「券売機」の項目に赤いマークが表示されている場合、みどりの券売機プラスが設置されています。これは、オペレーターの方と電話を繋いで切符を発券してもらう機械です。駅員さんがオペレーターとなって電話で話すことでみどりの窓口と同じ役割を果たしますが、みどりの窓口に並ぶ時間同様、オペレーターの方と繋がるまで時間がかかる場合もあります。)
     
  • JR四国
    みどりの窓口・指定席券売機の設置駅はこちら
    (みどりの券売機プラスとは、オペレーターの方と電話を繋いで切符を発券してもらう機械です。駅員さんがオペレーターとなって電話で話すことでみどりの窓口と同じ役割を果たしますが、みどりの窓口に並ぶ時間同様、オペレーターの方と繋がるまで時間がかかる場合もあります。)
     
  • JR九州
    みどりの窓口・指定席券売機の設置駅はこちら

 

2.5 ICカードの利用は要注意!エリアまたぎの罠

乗車券の意味について説明した際、改札で引かれるICカードの金額は乗車券の料金の扱いであるという話をしました。
そこで、「じゃあ乗車券はICカードでいいじゃん」と思う方もいるかもしれませんが、これは要注意です!
結論から言うと、ほとんどの場合でこれは不可能と思ってください
特に新幹線は乗車券にICカードを使えません。
(JR東日本にSuicaで乗るサービスがありますが説明は割愛します)
よって、遠征の際には乗車券も紙で買うことをおすすめします。
(もちろん、駅で買い物をしたりするのには使えますので、遠征の時に持っておくのは全然アリです)

ここからは、何故不可能なのかの説明です(興味ある人だけ読んでくれればOKです!)。

まず、ICカードに関連して「エリア」と呼ばれる概念があり、ICカードの利用はエリアの中で完結する必要があります
各々のエリアの説明は省略しますが、例えば首都圏のエリアを見るとそのエリアは関東地方と山梨、長野、静岡、新潟、福島の一部にとどまっています(これでも最も広いエリアです)。
そのため、例えば東京から名古屋、大阪や仙台への移動はエリアをまたいでの移動となり、不可能となります。

ちなみに、「ICカードの相互利用ができる」と聞いたことがある人もいるかと思いますが、これはあくまで「エリア内で移動が完結すれば他のICカードを利用することができる」ということを言っており、エリアをまたいで利用できるとは全く異なります。

 

2.6 切符の払い戻しについて

切符の払い戻しについて説明します。予定が急に合わなくなったり、遠征予定のライブが中止になってしまった場合などが該当するでしょう。

結論から言うと、扱いは「使用開始前で有効期間以前に限り、手数料を差し引いて返金」となります。
この手数料についてですが、払い戻す切符によって値段が異なるため、順に説明します。

まずは、使用開始前の切符です。

  • 乗車券
    乗車券は、有効期間が切れる前までの払い戻しで、手数料220円を差し引いて返金となります。乗車日の何日前かには依りません。
     
  • 自由席特急券
    自由席特急券も、乗車券と同様の扱いとなり、手数料220円を差し引いて返金となります。
     
  • 指定席特急券
    指定席特急券の場合は、払い戻しの申請日によって手数料が異なります。
    列車出発日の2日前までは220円、前日から出発時刻までは340円か切符代の30%の高い方となります。
     

次に、使用開始後の切符です。

  • 乗車券
    有効期間内で、残りの乗車距離が100kmを超えている場合、次の額が払い戻しとなります。
    (払戻額)=(元々の切符の値段)-(既に乗った距離の乗車券料金)-(手数料220円)
     
  • 自由席・指定席特急券
    払い戻しは不可能です。


その他にも切符の種類は色々ありますが、遠征で使う切符であれば概ね上記を押さえておけば大丈夫でしょう。
「売り切れの可能性がある切符」か否かで、払い戻し手数料が異なることを押さえておくと良いと思います。

詳しいルールは、こちらをご覧ください(JR東日本のHPですが、他のJR会社でも規則は同様です)。

なお、自然災害などで乗る予定の路線が止まった、列車が運休になったなどの場合は、手数料無しでの払い戻しもあり得ます。これはその時の状況によって異なるため、各社HPやSNSで情報収集をする、あるいは駅員さんに尋ねるなどして対応することとなります。

いずれの場合も、払い戻しはみどりの窓口が確実です。設置駅はこちらをご参照ください。

 

2.7 切符の変更について

切符の変更方法について説明します。ライブが延期になったり、出発地を変更したい場合などが該当するでしょう。

結論から言うと、扱いは「使用開始前で有効期間以前に限り、1回のみ無手数料で変更が可能」となります。
なお、変更できる切符は同じ種類の切符となります。乗車券を特急券に変更する、あるいはその逆といった変更はできません。但し、自由席特急券から指定席特急券やその逆の変更は可能です。

いずれの場合も、変更前後で運賃に過不足がある場合は、払い戻しあるいは差額の支払いとなります。
また、この変更を行った場合、切符には「乗変」の文字が印字されます。

この手続きを行う場所は、やはりみどりの窓口が確実です。設置駅はこちらをご参照ください。
また、切符の変更に関するより詳細な規則はこちらをご参照ください(JR東日本のHPですが、他のJR会社でも規則は同様です)。

 

 

3. 特例・割引

次に、切符の特例・割引について説明します。これが、切符のルールを複雑にしている最も大きな要因です。
(え?もう既に複雑だって?大丈夫自分もそう思ってるから)
少々込み入った話も出てきますので、具体例を示しながら裏技も交えつつ説明していきたいと思います。

 

3.1 特定都市区内特例

ここでは、「特定都市区内特例」について説明します。なにやら漢字いっぱいで難しそうに見えますね・・・

これは、乗車券に適用される特例です。
大都市近郊に住んでいる人は、切符を買ったとき「○○市内」「東京都区内」「東京山手線内」という印字を見たことがあるでしょうか。この表示が、この特例が適用されているという証拠です。

この特例をざっくり説明すると、

「大都市から遠くに行くときは、実際に乗ったor降りた駅ではなく、その大都市で1番大きい駅で乗ったor降りたことにする」

という意味です。
 

 
例として、品川(東京都)に住んでいる人が名古屋遠征に行くとします。
最寄り駅は金山駅(名古屋から2駅東)であり、品川から新幹線で名古屋へ行き、そこから在来線で金山駅に向かうとします。
このとき、乗車券は品川から金山まで購入することになります。
しかし、いざ切符を印字すると、そこには「東京都区内→名古屋市内」と書かれています。
これは、乗車駅、降車駅どちらにもこの特例が効いている証拠です。

今の例で言うと、切符に「東京都区内」と書かれていれば、東京23区内どのJR駅から乗っても、東京駅から乗った(降りた)と見なして運賃を計算します。同様に、切符に「名古屋市内」と書かれていれば、名古屋市内のどのJR駅から乗っても、名古屋駅から降りた(乗った)と見なして運賃を計算します

つまりこの切符は、運賃が東京駅から名古屋駅までで計算されているということになります。
もちろん、具体的な駅が書かれていないため、この切符で東京23区内の品川駅以外の他の駅(新宿駅、上野駅、北千住駅など)から乗ることもできますし、名古屋市内の他の駅(名古屋駅、鶴舞駅、八田駅など)で降りることもできます。
つまり、名古屋駅まででも金山駅まででも料金が変わらないことになります。
(但しこの場合、名古屋駅で乗り換えを除き改札を出ることはできません)

この特例は、乗車/降車駅が指定された各都市区内にあり、かつその中心駅(東京都区内の東京駅、名古屋市内の名古屋駅など)からの距離が片道201km以上の場合に適用されます。
(201kmとはまた微妙な数字だな...と思うかもしれませんが、乗車距離は小数点第1位を切り上げて計算するため、要は片道200kmを超えた切符に適用されるということです)

東京のみ少し特殊で、東京23区内の中に、さらに狭いゾーンとして「東京山手線内」があります。これは、このゾーン内を発着する場合は、東京駅からの距離が101km以上あれば東京駅から計算するという規則です。
(「東京山手線内」は、山手線の各駅に加えて山手線の中を走る中央線・総武線の各駅も含まれます)
 

東京、名古屋以外にも、この特例がある都市が全部で11あります。詳しくはこちらをご覧ください。
この路線図のうち二重丸で示された駅が、運賃計算の起点・終点に使われます。

最後に、この特例はスマートEXを用いた場合には適用されませんので、ご注意ください。

~余談~
下の駅名標の右上にある謎のマーク、これが特例が適用されるゾーン内の駅であることを表しています。
(「山」⇒東京山手線内、「区」⇒東京都区内)

(2016年4月6日付のJR東日本プレスリリースより引用)

 

3.2 大都市近郊区間特例

大都市近郊区間特例について説明します。(また漢字たくさんでうんざりですね...)
こちらも乗車券に適用される特例です。
これは、こちらに示す東京、新潟、仙台、大阪、福岡とその近郊で乗車券が完結する場合、乗る駅と降りる駅が同じであればどのような経路を通っても最短経路で運賃を計算してくれる制度です(但し、定められた区間を出ない、同じ駅を2度通らないといったルールはあります)。
(これがいわゆる大回り乗車を可能にしていますが、今回は遠征目的の解説のためこの説明は省略します。)

この特例が効くときに注意すべきなのは切符の有効期間です。
切符の買い方の冒頭で切符の有効期間について示しましたが、この特例が適用されると距離にかかわらず有効期間が1日となります(往復切符の場合2日)。また、後述する途中下車もルールを満たせど不可能となるなど、制約がよりキツい切符となってしまいます。

 

 

例として、山梨県の甲府駅から神奈川県の横浜駅までの切符を考えます。
(甲府駅から中央本線で八王子駅まで行き、そこから横浜線、京浜東北線で横浜駅)
この場合、切符の運賃計算に使われる距離は132kmであり、(後述しますが)距離が100kmを超えているため途中下車が可能のように思えますが、この特例によって不可能となります。
また、切符の有効期間も、切符の買い方の冒頭に示した計算式に従うと2日ですが、この特例により1日となってしまいます。

しかし、同じ値段でこの制約を外す裏技があります。それは、「大都市近郊区間から外れた区間を1駅間だけ含める」という方法です。
甲府からは、中央本線の他に身延線が延びており、この路線は大都市近郊区間に定められていません。
そこで、身延線の甲府の隣の駅「金手」から横浜駅までの切符を買うことで、この制約を外し、途中下車が可能・有効期間2日となります。このとき運賃は変わらず、金手駅からの切符ですが甲府駅からの乗車も可能です。

このような裏技は、各JR会社の境界駅や大都市近郊区間の端の駅でよく使えます!

 

3.3 往復割引

往復割引について説明します。
これは、乗車券を往復で買った場合に適用されうる割引です。詳しくはこちらをご参照ください。
適用条件は、片道の乗車距離が600kmを超えた場合です。適用された場合、乗車券の運賃が1割引(0.9を掛けて1の位切り捨て)となります。

 

 
これを使った有名な裏技を示します。それが、東京23区内の駅からから神戸・三宮へ遠征する場合です。
普通に東京駅と三ノ宮駅の間の往復切符を購入すると、「東京都区内↔神戸市内」となります(特定都市区内特例が効いています)。
距離は590kmとなるため、ギリギリ往復割引が使えません。単純に片道の2倍、18,920円がかかります。
しかし、神戸市内を越えた最初の駅「朝霧」まで購入すると、切符は「東京都区内↔朝霧」となり、距離が607kmとなるため往復割引が使えます。
その額は17,620円となり、なんと遠くまでの切符にもかかわらず1300円も安くなります!

なお、この割引は新幹線を新神戸まで購入した場合は使えません。
この場合、新幹線を新大阪で降り、そこから新快速で三ノ宮駅まで向かうこととなります。
(多くの場合ライブ会場の立地的にもこの方が便利です。)

 

3.4 乗継割引(2024/3/15まで)

※この制度ですが、2024年3月15日を以て廃止されることがJR各社より発表されています。そのため、この制度の使用はこの日より前の切符に限られます。


乗継割引について説明します。
これは、特急券に関する割引です。詳しくはこちらをご覧ください。
具体的には、特定の駅で新幹線と在来線の特急列車を乗り継ぐ場合、在来線の特急列車の特急料金が半額になります。
なお、乗り継ぎは新幹線→特急の場合はその日のうちの特急、特急→新幹線の場合は特急に乗った翌日までの新幹線が有効です。

乗継割引が適用される駅を以下に示します。

  • 東北・北海道新幹線
    新青森駅、新函館北斗駅
     
  • 上越新幹線
    長岡駅、新潟駅
     
  • 北陸新幹線
    長野駅、上越妙高駅、金沢駅
     
  • 東海道・山陽新幹線
    新横浜駅~相生駅
     
  • その他
    (特急列車)ー大阪駅ー(普通列車)ー新大阪駅ー(新幹線)

新幹線を挟んで在来線特急を2本乗り継ぐ場合、いずれか高い方の特急料金が半額となります(2本とも半額ということはありません)。
なお、小田原駅・熱海駅で特急踊り子・サフィール踊り子・湘南号に乗り継ぐ場合は対象外です。

 

例として、福井県の敦賀駅から特急しらさぎで米原駅まで行き、東海道新幹線で東京駅まで向かうことを考えます。
この区間で特急しらさぎに乗車する場合、自由席特急券は本来760円ですが、米原駅で東海道新幹線に乗り継ぐために割引が適用され、半額の380円となります(あくまでこれは特急しらさぎの特急料金であり、新幹線の特急料金が別にかかります)。

 

3.5 学割乗車券

学割について説明します。
これは、乗車券に関する割引です。詳しくはこちらをご覧ください。

学生(中学生、高校生、専門学生、大学生、大学院生など)が列車に乗る際、乗車距離が100kmを超えると、乗車券が2割引になります(正確には元値に0.8を掛けて1の位切り捨て)。
(大学生の自分もよくお世話になっています)

この割引の適用のためには、まず学校で下の写真のような紙を発行します。

この紙の発行方法は学校によって異なるため、各学校の先生や職員に尋ねてください。
個人的には、中学・高校は先に申請書の記入、大学・大学院は証明書自動発行機での発行が多いと感じています。

次に、この紙をみどりの窓口に提示することで、学割乗車券を購入できます。
この切符は、みどりの窓口でのみ購入できます。指定席券売機では購入できませんのでご注意ください。
(話せる券売機など、オペレーターの人と通話しながら発行するタイプの券売機は購入できます)
みどりの窓口の設置駅はこちらをご参照ください。

なお、証明書は3ヶ月以内で有効ですので、発行して3ヶ月以内にみどりの窓口で切符を購入してください。

 

4. その他

最後に、補足事項について軽く説明します。

 

4.1 途中下車ができる切符

途中下車ができる条件について説明します。なお、ここで言う途中下車とは、目的地より手前の駅で改札を一時的に出ることを指します。

結論から言うと、途中下車は乗車距離が100kmを超える切符であれば、乗車券のみ可能です。
基本的に、特急券では途中下車は不可能ですので、注意してください。

 

東京駅から新大阪駅までの乗車券(東京都区内→大阪市内)と、東京駅から新大阪駅までの新幹線の特急券を持っていることを考え、道中の名古屋駅での途中下車を考えます。
この場合、乗車券は乗車距離が100kmを超えるため途中下車は可能ですが、特急券は東京から新大阪の通しで買っており、この切符によって途中下車はできません
もし名古屋駅で途中下車する場合、乗車券は東京都区内→大阪市内のまま(通しで買う)で問題無いですが、特急券を東京→名古屋、名古屋→新大阪と分けて買う必要があります。

なお、先に説明したように、大都市近郊区間特例が切符に効いている場合、乗車距離が100kmを超えても途中下車できませんので、この点は十分注意してください。

 

4.2 列車遅延・運休における対応

当日になって列車が遅延した、運休になったなどのトラブルに遭った場合の対応について、ざっくりと説明します。
(細かい対応は書いていくとキリがないので、駅員さんに尋ねるのが1番です。)

まず、列車遅延の場合です。
乗車していた特急列車、新幹線が2時間以上遅れて目的地に到着した場合、特急券のみ払い戻しとなります(乗車券は払い戻しされません)。
これは、乗車券の意味特急券の意味を考えると理解しやすいと思います。
乗車券は、「目的地に連れて行くことを約束する切符」でしたので、遅れても目的地に到着できた場合、乗車券の持つ約束を果たした、という扱いになります。
一方で特急券は、「目的地に速く連れて行くことを約束する切符」でした。2時間以上の遅れの場合、この約束を果たせていないという扱いとなり、返金されるというのが仕組みです。
また、指定した特急列車・新幹線に乗車する前の列車が遅延して乗り継ぎができなかった場合、駅員さんに申し出ることで後続の列車への指定に変更ができる場合があります。詳しくはこちらをご参照ください。
(ただ、多少の遅延は起こるものとして、余裕を持って駅には着くようにしましょう!)

次に、既に切符を列車が運休した場合です。
これにより最初から旅行を中止する場合、無手数料で切符の払い戻しができます。
また、途中で旅行を中止する場合は、乗車券は残りの区間の料金が払い戻し、特急券は全額払い戻しとなります。
その他、出発地へ戻ることもできます(これを通称で無賃送還といいます)。この場合は乗車券、特急券の全額が払い戻しとなります。

詳しい説明はこちらをご覧ください。
また、上にも書きましたが、列車遅延の場合は駅や列車によって細かい対応がことなることがよくあります。そのため、実際にどのような対応が取られるかは、駅員さんに相談するのが最も確実です。

 

5. あとがき

この記事を書くのに、おおよそ3週間かかりました。

その要因は、自分でも知らなかった知識をちょいちょい調べながら書いていたからです。
(まぁ最も大きな要因は途中で放置したからなんですが)

鉄道好きで何度も切符を買っている自分でも、完全には理解できないくらい、切符のルールって複雑なんです。

ただ、実際のルールはこれにとどまらず、もっと色々あります。
今回記載を省略した切符の代表例が、各JR会社が発行している割引切符です。

ただこれは、買い方が特殊だったり払い戻しや変更方法も普通の切符と違うことが多々あり、ただでさえ長いこの記事がさらに長くなってしまうため、今回は取り上げませんでした。
(そもそもライブの遠征なのにこんなところに頭使いたくないって思うんですよね自分は。)

そんなわけで今回は、最低限知っておくべきことと、知っておくと便利なことに絞って説明してみました。

何度も言うように切符は複雑なので、何か分からないことや聞きたいことがあれば、人に聞くのが1番です。
駅員さんでもいいですし、自分もX(旧:Twitter)のリプやDMで答えられる範囲で答えます。
(もしこの記事で誤りなどありましたら、その場合もリプかDMで指摘してくれると助かります)



長くなりましたが、読んでいただきありがとうございました。

この記事が、遠征する人にとって少しでも役に立ち、読者の皆さんが遠征先で素敵な思い出を作って帰れますように!

ゆーや