こんにちは❗
このシリーズでは、私が質量分析を始めてから現在に至るまでの、質量分析計の性能の変化に伴って、分析上の限界がどのように変化するのかって記事を書いています。
前回はFDと言うイオン化について書きました。
http://s.ameblo.jp/yutaka-ironman/entry-12119037440.html
この方法、
最近は使える装置が限られていて、
今現在国内で動いている質量分析計でFDが使えるのは、
台数ベースで0.1%未満だと思います❗
今仕事で質量分析計を使っている人の殆どは、
FDなどと言う技術は、
見たことも聞いたこともないでしょう
とっても有用な技術なのですが、
使い方が難しいことと
FDで出来ることの多くが
後に開発・市販された新しい技術でも可能になったので、
FDの需要が少なくなったのです。
FDは、分子量の大きな炭化水素や類似化合物の分析に有用で、
(これらの化合物は、分子量が小さいと揮発性があるけど、大きくなると揮発性がなくなるのでEIやCIでは分析できない)
今でも他の方法では分析できない試料を抱えている人(企業)は確実にいて、
根強いファンがいる技術でもあります。
FDは、
髪の毛より細い(30~40ミクロンくらい)金属製の糸(長さは1 cm弱)に、
太さ数ミクロン・長さ0.1 mm程の炭素繊維の髭(カーボンウイスカー)を無数に生やせた電極(エミッターと言います)を用います。
ウイスカーは肉眼では見えないので、
顕微鏡で見ながら
小さな注射器を使って、試料溶液を約1マイクロリットル、エミッターに塗布します。
(水一滴は約50マイクロリットル)
この時、
注射器針の先端がエミッターに触れると切れてしまいます。
無事に試料を塗布できたら、真空の質量分析計に導入し、電流値を徐々に上げていきながらマススベクトルを測定するのですが、
試料濃度が高すぎたり、一気に電流を上げてしまうと、
やはりエミッターが切れてしまいます。
エミッターは一つ15,000円位するので、学生の時には、慎重の上にも慎重を重ね
測定中は
¨切れるなよ~¨
と祈るような気持ちでやっていました。
質量分析計は、操作を簡単な方に簡単な方にと進化しているので、
今では、パソコンからのボタン操作で、誰でも測定できるようになっています。
ここ10年ほどで質量分析を始めた人とは、
失礼ながら
測定結果に対する思い入れが違います
装置が自動で測定してくれるとしても、
何が起こっているのかを把握しないと、
マススベクトルの本質は理解できないと思います。
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