手習ヒ始メハ音ノ大ナルモノナリ。習練ヲ遂ゲテ音ノ小サクナルモノナリ。
(明治期の雅楽奏者の言葉、朝日新聞『折々のことば』(2019.9.27)より)
演奏は、習い始めは必死に鳴らそうとするから、余分な力が入り、音が大きくなりがちです。でも熟練するにしたがって、繊細な音を聴かせることができるようになります。
野球では、「名選手はファインプレーをしない」という言葉があります。飛びついたり、無理なプレーをしなくても、すばやく球をよみ、楽にさばけるのが名選手だから、との謂でしょう
この『折々のことば』の最後は、「人の語りにも同じことがいえよう」と締めくくられています。
大声で連呼されると、その時には、強く迫ってくるような気がするのですが、後から振り返ると、大したことではなかった、ということが多々あります。いい話は、訥々と語られても、やっぱりいい話です。
そして、最も静かに語りかけてくるのが、文字。何と言っても0dbですから。
それでも良い言葉はしっかりと心に届いてきます。