本の出会い、人の出会い ─『頭は「本の読み方」で磨かれる』(茂木健一郎)─ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

「どんな本にでも、いいところが見つけられるものだよね。たとえつまらない本であっても。だから選ばずに読む。ぼくは本が好きなんだ」

 (茂木健一郎、『頭は「本の読み方」で磨かれる』より)

 

 茂木健一郎さんの友人デービッド・チャーマーズさんの言葉です。

 どんな本にも、自分の知らない情報があり、自分とは違う意見がある。選り好みをしていたら、その幅が狭まってしまうかもしれません。

 ある人は、本を買うときに、文庫本の棚の前に立ち、目をつむり、手を伸ばして触れた本を買うそうです。これも、自分の予期しない偶然の出会いを求めているからでしょう。

 

 茂木さんは、「知性というのは『どれだけたくさんの人の立場で考えられるか』ということ」だと言います。だから、読書が大切なのだと。

 

 こう考えていると、本の出会いも、人との出会いもよく似ていることに気付かされます。

 本当の本好きは本を選ばない。本当の人間好きは、付き合う相手を選ばない。

 たくさん本を読めばたくさんの立場をうかがい知ることができる。たくさんの人と出会うとたくさんの人生に触れることができる。

 偶然であった本や人が、自分に大きな影響を与えることがある。

 そして、どちらも自分の幅を広げ、生き方を豊かにしてくれる。

 

 新しい出会いはそうそうないけれども、旧知の人であっても、その人の立場にもう一度立つことで、新しい発見があるかもしれません。それも「新しい出会い」と言えるでしょう。

 どんな人と接するときも全身全霊をかけてその人のことを考える。

 そう言い聞かせながら、また明日から、少しずつ世界を広げていきます。