「私、自分が話したことを相手がどう思うだろうか、いやな思いをさせたりしないだろうか、と考えていたら、話せなくなるの。」
太宰治『人間失格』を読んだら、昔、出会った女の子が言っていたこんな言葉を思い出しました。優し過ぎるがために、自分が追い込まれていく悲劇。本当は、人間らしいのはその人の方かもしれないのに。
太宰治は現代において真に人間的に生きようとすれば、その人間は人間の資格を剥脱され、破滅せざるを得ないというおそろしい真実を描いているのだ。 (『人間失格』の解説から)
人間が人間らしく生きられる世の中に。
陽の当たらぬところにいる人や、抵抗できずにいる人に、思いを寄せられる世の中に。