人間らしく─『人間失格』(太宰治)─ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

「私、自分が話したことを相手がどう思うだろうか、いやな思いをさせたりしないだろうか、と考えていたら、話せなくなるの。」

 
太宰治『人間失格』を読んだら、昔、出会った女の子が言っていたこんな言葉を思い出しました。優し過ぎるがために、自分が追い込まれていく悲劇。本当は、人間らしいのはその人の方かもしれないのに。
 
太宰治は現代において真に人間的に生きようとすれば、その人間は人間の資格を剥脱され、破滅せざるを得ないというおそろしい真実を描いているのだ。  (『人間失格』の解説から)
 
人間が人間らしく生きられる世の中に。
陽の当たらぬところにいる人や、抵抗できずにいる人に、思いを寄せられる世の中に。