祭りの後の静けさ ─「けっしん」(かぶとてつお、工藤直子) | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

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日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

 20日、21日は、秋祭りでした。

 仕事も忘れ、日常の煩雑さからも離れ、ただただ「ちょうさ」と呼ばれる太鼓台を引いて集落を練り歩きました。

 

 

 2日間、太鼓や鉦の音の中で過ごしたため、まだ、耳の奥で祭りが鳴り響いています。

 たぶん明日も。

 でも、そのうち、だんだんと祭りは遠ざかっていくのでしょう。

 

 

 工藤直子さんに「けっしん」という詩があります。

 

  けっしん

         かぶとてつお

 つよく

 おおしく

 いきる!

 それが ぼくの けっしんです

 

 でもときどき

 むねの やわらかいところが

 なきたくなるのね…

 

 なんでかなあ

 

 工藤さんに、以前、おたずねしたことがあります。

「工藤さんの書かれたものには、かぶとてつおさんのように、強いはずのものが、ふと弱さを見せる詩やお話がありますよね。どうしてですか?」

 

 工藤さんが答えてくださいました。

「私は、そういうところが好きなのよ。動物だけじゃなくって、祭りでも、もちろん最高潮に盛り上がっている時も楽しいんだけれども、『祭りの後の静けさ』と言うか、終わった後にすっと秋風が吹き抜けていく、そういう時が好きなの。」

 

 空を見上げると、煌々と秋の月が夜を照らしていました。

 私もしばらくは、「祭りの後の静けさ」にひたります。

 

 

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