■相手の共同体感覚の状況を知る

相手の共同体感覚の状況が

わかる方法のひとつに、

自分の個人的な話をする、があります。

 

ただし、

自分も相手も時間に余裕があるとき

することです。

 

時間に余裕がない場合には、

相手に自分の話を聞く余裕がなく、

相手の共同体感覚の状況が

わかるような状況にはないためです。

 

また、

自分の話をする相手には

それの報酬がない状況が望ましいです。

 

端的にいえば、

自分のご機嫌をとろうとする相手

でない相手を選ぶ感じです。

 

そして、

自分の個人的な話をすると、

おおむね相手の反応は次の4種類です。


①相手の話をし始める

②相手の話として聞いてくれる

③中立的にある程度まで聞いてくれる

④最後まで自分の話として

 共感的に聞き切ってくれる

 

① 低い

共同体感覚

④ 高い

 

なお、共同体感覚とは、端的にいえば、

自分の居場所がある感覚、です。

 

この感覚が高いほど、

感じるしあわせが多く、

他者への関心」が多いことになります。

 

反対に低い場合には、

感じるしあわせが少なく、

「他者への関心」が少ない、

すなわち「自分自身への関心」が

多いことになります

 

共同体感覚が高くなればなるほど、

対等な関係、および協力関係

築くことが簡単になります。

 

なお、

共同体感覚が低いことは

絶対的な「悪」ではありません。

ただの情報です。

 

■①相手の話をし始める

自分の個人的な話をした時点で

もっとも共同体感覚が低いのが、

相手が自身の話をし始めることです。

 

例えば、

「今朝煎れたお茶がおいしかったんですよ」

と個人的な話をすると、

自分が話した話は切り捨てられて

次のような返事が返ってきます。

 

「だから何?」

「私はお茶よりもコーヒーが好きだな」

「自分は今朝、お茶いれる余裕はなかった」

「お茶といえば、

私は抹茶アイスが好きでさ...」

 

話した自分は、聞いてもらえた感は

まず感じられない状況です。

 

このような状況になったのなら、

相手は共同体感覚が低く、

「他者への関心」が少ないのだと

わかります。

 

アルフレッド・アドラーは、

教育とは「他者への関心」を持つように

はたらきかけること、と説明しています。

 

つまり、

このような人は、

適切な教育を受ける機会が少なかった人と

見ることができます。

 

なお、共同体感覚が低いことは

絶対的な「悪」ではありません。

 

肌の色と同じで、

相手を示す情報のひとつ、

ということです。

 

■②相手の話として聞いてくれる

これは、自分の話をしている中で、

相手は自身の過去の経験の中で

自分の話の内容と似たような経験を探して、

自分と話の内容と似たような感情を

感じることで、

自分の話を理解しようとしている、

という状況です。

 

例えば、

「今朝煎れたお茶がおいしかったんですよ」

と自分の個人的な話をすると、

次のような返事が返ってくる感じです。

 

「わかる!私もそういうことあったから」

「私も朝入れたお茶がおいしいと

その日一日がうまくいくと思えてくるよ」

「私の場合は、コーヒーかな?」

 

自分は、自分の話として話したけど、

相手は、相手自身の話として

受け取っている感じです。

 

自分の感情を理解しようとしているので

相応に共同体感覚がある状況です。

 

このような人に個人的な話をすると

あまり話を聞いてもらえた感は

感じられません。

 

■③中立的にある程度まで聞いてくれる

これは、

自分の個人的な話を

相手が中立的に聞いてくれる状況です。

 

中立的とは、

自分だけ、または相手だけに偏らないで

話を聞く、ということです。

 

例えば、

二人の間に”お茶”があれば、

自分のものなのか

相手のものなのか、を問うより先に、

「お茶があるね」と共有する感じです。

 

そして、このような人に、

例えば、

「今朝煎れたお茶がおいしかったんですよ」

と自分の個人的な話をすると、

次のような返事が返ってくる感じです。

 

「今朝、お茶煎れる時間があったんだ」

「おいしかったんだね、よかったじゃない」

「あっそ、よかったね」

「それはすごいね」

 

状況や言葉を理解して終わる感じです。

 

話す相手を観察していることから、

共同体感覚が相応にあることがわかります。

 

このような人に個人的な話をすると

一定の話を聞いてもらえた感を

感じられます。

 

ただ、話をし続けていくと、

「そろそろ終わって欲しいな」を

示すような何らかのサインをくれるので、

そのサインを受け取ると

そのあたりで話を閉じていくことになります。

 

■④最後まで自分の話として共感的に聞き切ってくれる

これは、

自分の個人的な話を、

自分が話し切るまで

共感的に聞いてくれる状況です。

 

もっとも話を聞いてもらえた感が

高い状況です。

 

このように聞いてもらえると

話した人に「癒し」が起きるほど、

価値ある話の聞き方です。

 

例えば、

「今朝煎れたお茶がおいしかったんですよ」

と自分の個人的な話をすると、

次のような返事が返ってくる感じです。

 

「おいしかったのですね。

それはよかったですね!」

「それは最高ですね!

それはどんなお茶だったのですか?」

 

相手に寄り添うように話を聞く感じです。

 

話す自分は、

共感的な相手に

次々に話をしたくなるような状況です。

 

この場合であれば、

今朝お茶を煎れてから

今この話をするに至るまでの

出来事を話すことになるでしょう。

 

自分が本当に

「今朝煎れたお茶がおいしかった」を

共感してほしかっただけであれば、

相手に共感されたと満足を感じます。

 

このように満足を感じると、

この話をさらにする必要を

あまり感じなくなります。

 

満足しているので、

この話をすることで満たしたかったものが

満たされているために、

もう満たす必要がないからです。

 

これが「癒し」につながるわけです。

 

そうして満足できると

「次の話」へと平和に進むことができます。

 

このような聞き方をする人は、

かなり共同体感覚が高いことが

わかります。

 

なぜなら、

「他者への関心」が多いからです。

 

■その相手とどんな関係になりたいのかが見えてくる

自分の個人的な話をすると

その相手の共同体感覚が

どのような状況なのかがわかります。

 

ただ、これは一面であり、

他の面では違うかもしれないので、

これで相手のすべてを

決めつけることはおすすめしません。

 

相手の共同体感覚の状況を知ることで

自分はその相手と今後どのような関係に

なりたいのかを見つけること

役に立てていきたいものです。

 

自分がその相手とどのような関係に

なりたいのかがわかれば、

その相手との間にある課題も

見えてくるからです。

 

なお、

訓練されたメンタルコーチは、

④最後まで自分の話として

共感的に聞き切ってくれる、

ができるのは普通であり、

さらに「その話をする目的」を

共有できるような話の聞き方ができます。

 

「癒し」+「目的の理解」によって

変革へと進むのです。

 

 

 

 

 

お読みいただき、

ありがとうございます。

 

プロコーチ11年目、常楽でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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