Kさんは子育てが終わってから
しばらくして再婚しました。

その相手は
話をよく聞いてくれて
なんでも話せるすてきな方でした。

まるで子供のように
完全に相手を信じ切って
話したいことを
話したいだけ話すと
それらをすべて上手に
聞いてくれました。

そしてその方は
言ったことは必ずその通りに
やる人だったので
話していて本当に
安心できる人です。

もし有言実行が困難になると
必ず相談してくれるので
本当に不安になることは
ありませんでした。

そんな夫との
しあわせな時間も
8年目に入ります。

そして最近になって
夫が話を聞いてくれなくなり
不満を感じるようになりました。

Kさんはお相手のことを
知ろうとすることは
ありますか?

「う~ん、
彼は一人でなんでもできる人だし
やってることはよくわからないし
それを聞いたところで
私は何もできないので、
あまり知ろうとは、しないかな。」

今、お相手は
どんな気持ちなのかは
わかりますか?

「わかりません。」

どうして?

「え?」

Kさんは、お相手と
今後どんな関係に
なっていけたらいいなと
思いますか?

「そ、それは、仲良く
していきたいと思ってます。」

”仲良く”とは
具体的にどんな関係ですか?

「う~ん、仲良く、とは、
なんでも話し合っていける関係で、
お互い助け合う関係かな。」

なるほど。今は、どんな関係ですか?

「どんな...う~ん、どうだろう?」

そこで
最近の日常の中で
どんな関係なのかを
確認することにしました。

確認してみると
Kさんが話を聞いてもらうばかりで
Kさんはお相手の話を
ほとんど聞いていないことが
わかりました。

話す割合でいえば
7:3でKさんが話しています。

気持をわかってあげること
つまり「共感する」では
10:0でお相手がするだけ。

Kさんはお相手の気持ちを
聞いてもわからないからと
はじめから理解することを
諦めていました。

そして、
以前は一緒にいる時間が
多かったけど、
最近は仕事の関係で
一緒にいる時間が減ったことが
わかりました。

さらに
お相手の様子が変わったことについて
「どうしたの?何かあったの?」
などと訊いたりして
知ろうとはしていませんでした。

訊いてみても
どうせ自分には
理解できないと思っていたことも
わかりました。

Kさんに
お相手の中に入って
Kさんとのやりとりを
”感じて”もらいました。

するとKさんは
「なんか、すごい、
言いたいことたくさんだけど
取り付く島もない感じ...」
との反応。

そして、
Kさんは思い出したことを
話してくれました。

「私、夫が話してきたときに
『そんなことないよ』とか
『そんなの大丈夫だよ』とか
返していたかも。
そんなこと返されたら
話せなくなっちゃいますよね...」

「あ、あと、
夫の話がわからなくて
自分では力不足だと感じて
いらいらしてたり
疲れた顔してたかもしれません。
いや、してた、私。」

そんなことを
振り返っているうちに
涙がこみあげてくるKさん。

「私、話を
理解しようとばかりしてて
夫の気持ちなんて
わかろうとしていませんでした。」

例えば
話しかけてくるお相手に
それはあなたにとって
嬉しいこと?とか
悲しいこと?とかなら
返せそうですか?

「!そうです、できます。」

じゃ、ちょっと
ここでやってみましょう。

そう言って
お相手とのやりとりを
再現してみます。

どんな感じですか?

「あ、これは
気持ちをわかって欲しかった。
今何がうれしくて、
今何が大変なのか、を
伝えたかっただけ。
私は自分のことばかり
わかってもらうことばかりで
反対がまるでなかった。
ありませんでした...」

その後、お相手の気持ちを
一緒に感じる練習をして
帰っていかれました。

次にお会いしたときにKさんは
うれしそうに話してくれました。

「夫が話すことは
難しくてわからないけど
嬉しいのか悲しいのかは
夫と一緒に感じることが
できました。

そうしたら
話のすべてを理解しなくても
夫は話を聞いてもらったと
感じた、と話してくれました。

そんなことをしていて気が付いたら
「話を聞いてもらえない」
という不満は消えていました。

気持ちを感じるって
大事ですね。

夫は聞き上手で私に
よくしてくれるけど
私がそれを夫にするのは
避けていたかもしれません。

でも、今後は
私も夫にしてあげたいと
思います。」

アルフレッド・アドラーは
感じるしあわせを増やすなら
「他者への関心」を持つことを
勧めています。

その関心とは
相手を見るのではなく
相手が何に関心を持っているのかを
見ることです。

Kさんは
夫を理解することが困難で
諦めていました。

結果それは
自分にしか関心がない状況と
なっていました。

夫はKさんに
関心を向けてもらえず
寂しい思いをしていました。

このあたりが
今までとは違う接し方に
なった理由と考えられます。

Kさんは
自分が困ったことは
何とかしようとしましたが
夫が今どんな状況なのかを
知ろうとはしませんでした。

振り返れば
夫が話すことに
評価を下すことはしましたが
「共感」をすることは
しませんでした。

その評価を下すことを減らして
「共感」すること、
つまり夫の気持ちを
夫と一緒に感じてみることを
増やしたら、状況が変わりました。

Kさんが上で
夫が下の上下関係が
同じ高さに立つ対等な関係に
なった感じです。

Kさんが勇気を出して
「どうしたらいいのか」と
思い行動したことによって
状況を変えることができました。

※このやりとりは
過去の複数のセッションを
再構成したものです。






お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ9年目、常楽でした。




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