■課題を適切に扱う

子どもの夏休みの宿題が
進まないときに、
それを子どもだけの課題として扱うと
親も子も苦しくなりがちです。

なぜなら、
子どもの夏休みの宿題が
進まない、という課題は、
「家族の課題」だからです


家族の課題なのに、
当人以外の家族には
責任ないからと、
当人だけに課題を負わせるのは
なかなか厳しい状況です。

とくに小学生なら
まだまだ心理的な援助が必要なのに、
「子ども自身の課題だから」と
親が突き放してしまうと
子どもは今ある手段の中で
やりくりすることになります。

子どもが自力で
課題の困難に立ち向かって
克服して解決に向かうことも
ないことはありませんが、
なかなか自力だけで
解決に至ることはほとんど
ないでしょう。

当人には背負えない責任を
背負うしかない状況になると、
「どうしたら背負えるか?」ではなく
「どうしたら責められずに
責任を背負わずに済ませられるか?」の方に
創造力を使いがち
になります。

つまり、
追い込まれてしまうわけです。

そんな状況になると
”自分には責任ないと信じる家族”
   vs
”追い込まれた子ども(当人)”

みたいな構図となり、
心理的に消耗する競争
繰り広げられることとなります。

だから家族は、
とくに親は当人と一緒に
課題に責任を持つことで
当人の責任負担を軽減でき、
当人にも負える大きさの責任に
することが大切です。

そうすれば、
自力では立ち向かいずらい困難にも
立ち向かってみようとする勇気
当人が感じられるような状況に
していくことができます。

一人では立ち向かえない困難も
誰かと一緒なら「やってみよう」との
気持ちになる感じです。

こんな状況になれば
家族の課題を「家族の課題」として
扱うことになるため、
誰かが追い込まれるような
苦しい状況になることはありません。

さらに、家族は本来、
敵・味方ではなく仲間です。

でも、
家族の課題の責任を押し付けたり
押し付けられたりすると
仲間であるはずの家族同士で
敵対関係となってしまいます。

家族の課題を適切に
「家族の課題」として扱うことは
家族同士の関係を敵対関係ではなく
本来の仲間の関係として
扱うことにもなるため、
まあるく収まるわけです。

■実際の取り組みのアイデア

具体的に家族の課題として
家族が扱うとは、
どのようにすることなのでしょうか。

それは、
夏休みの宿題を進める、
もしくは完了させる、
という課題についての
目的と目標を共有することです。

共有したあとは
進捗(進み具合)について
勇気づけをすること
です。

勇気づけ、とは、
例えば子どもが
困難に直面したときに
その困難に立ち向かう勇気を
その子が使いやすくなるよう
援助することです。


目的とは、
夏休みの宿題をするのは
何のためか?
の問いに
対する答えです。

家族の状況や
子どもの状況によって
目的はそれぞれですが、
いずれの状況においても
社会適応能力の向上
ひもづくような目的に
なることが理想的です。

社会適応能力が高まると
自立する力や
他者の役に立つ力が
高まります。

それらの力が高まると
他者や社会に貢献できます。

そんな貢献ができるようになると
社会的に有用な人へと
なっていくことができます。

アルフレッド・アドラーいわく
人間は4種類に分けられます

その4つとはこれです。
・社会的に有用な人
・支配する人
・奪う人
・世の中から逃げる人


この中で
社会的に有用な人だけが
しあわせに生きることができる
アドラーは指摘しています。

なぜなら、
社会的に有用な人だけが
対等な対人関係を持ち、
他者の役に立つことで
自分には価値があることを
感じられるから
です。

その価値は
金銭的な報酬となったり
他者からの称賛や尊敬と
なったりします。

つまり、
自分が他者の役に立つことが
自分のしあわせを
形成しているのです


他の3つは
対人関係が上下関係であり、
他者を自分より下にできたときに
相対的に自分が上となって
一時的なしあわせを感じます。

しかし一時的なので
そのしあわせはすぐに
消えていきます。

再びしあわせを感じるためには
また他者を自分より下に
することが必要になります。

つまり、この関係は
他者を自分にどれだけ
役立てれられるかで
自分のしあわせが決まる関係

になります。

どちらがしあわせを
感じながら生きることが簡単かは
一目瞭然でしょう。


目標は、
目的を実現するためには
何が必要か?
の問いに
対する答えです。

これと、これと、これがあれば
目的は実現できるはず、
みたいな感じです。

具体的に決めることが
大切です。

社会適応能力を高める方法は
いろいろありますが、
その中のひとつとして
「夏休みの宿題を完了させる」
もあると一緒に見つけられると
やることに楽しみを
見出しやすくなります。

そして目的と目標を見つけたら
それを目指して実際に
夏休みの宿題を進めてみます。

やってみると
すぐに困難に直面するでしょう。

しかし、
目的と目標を理解していると、
なぜその困難に立ち向かうのか?
の理由が明らかであるため、
勇気を使うことが簡単に
なっています。

そうして困難を克服して
先に進めたら、
それ自体がひとつの成果です。

成果を得られたことの喜び
一緒に分かち合えると
取り組むことがより楽しくなります。

なので、困難に直面したら
その困難をおざなりにせずに
丁寧に対処することです。

はじめは
家族のつきっきりの援助が
必要かもしれませんが、
子どもが目的、目標と
その手段を体感してわかってくると
ひとりで進められるようになります。

さらには家族の援助が必要な
困難に直面したときも、
勇気を使って立ち向かい
克服できる体験を重ねることで、
家族の援助なしに
当人だけで勇気を使えるように
なっていけることも期待できます。

また、進める中で
親も子どもも
「何のためにするのか?」が
わからなくなったりすることも
ありがちなので、
そのときには目的に立ち返ります。

そのときに目的が自分たち家族に
ふさわしくないと感じたら、
ふさわしくなるように更新します。

目標も同様です。

そうすることで
目的、目標、困難、勇気も
今の自分たち家族に
ふさわしくなっていき、
課題を進めることがより簡単に、
より楽しくなっていきます。

そして、
この課題を適切に扱うことは
家族の信頼関係
さらに高めていくことにも
なっていきます。






お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ10年目、常楽でした。





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