■怖れの影響

誰かに
自分より他者の方が
愛されることは
よくあることです。

たまたま信号待ちで
一緒になった人に
突然にその人の家族よりも
自分が愛されることは
まずないことです。

電車で一緒になった人も
エレベーターに乗り合わせた人も
習い事で一緒になった人も
同じです。

なのに、
他者と関係するときに
”自分は愛されない”とか
”自分は大切にされない”とかの
怖れを感じてしまうことがあります。

中には
敵国の中で暮らしている感覚
くらいに大きな怖れを
感じる人もいます。

こんな怖れを感じる人は、
他者と関係と持ちたいけど
持つと怖れを感じてしまうので
怖れを感じるより最初から
対人関係を持たない方がマシ
」と
結論づけてしまいがちです。

そうなると他者は
「災厄を持ってくる存在」
となり、すべて疑ったり、
敵とみなしなりして、
最低限の関係しか持とうと
しなくなります。

しかし、安心できる場は
良好な対人関係の中にあるので、
他者との関係を持たない人は
安心できる場がなくなります

安心できる場は欲しい、けど、
他者との関係は持ちたくない、
という矛盾をかかえるようになります。

その矛盾を押し通すには
他者との関係を
対等な関係ではなく
自分が支配者となるような関係
にすればよいことに
気づく人もいます。

自分が支配者になれば
相手に自分を愛させたり
相手に自分を大切にさせたり
一方的に使役できるからです。

その支配の方法は
相手を経済的な依存状態にしたり
力でねじ伏せたりする
強さ」での支配と、
無能や無知や神経症(心の病)を使って
相手の援助なしに生活ができない
状況を作り出したりする
弱さ」での支配があります。

根っこにあるのは
”自分は愛されない”などの怖れです。

その怖れのために
人生の有用でない面へと進み
たくさんの困難を抱えることに
なってしまいます。

■怖れを解消する

そうならないためには
根っこにある
”自分は愛されない”などの怖れを
解消することです。

怖れの解消は
お化け屋敷が暗いと怖いけど、
明るくてどこに何があるのかが
よくわかると怖くなくなるのと
似ています。

怖れの中身がよくわかると
怖れを怖れのままにしておく
理由がなくなるので、
自然と解消されていきます。

怖れとは、自己防衛本能の
機能のひとつです。

自分に怖れを感じさせて
身を守ろうとしたり
逃げなくちゃと思ったり
するように仕向けているわけです。

目的が自分を守ることなので
その怖れを使わずとも
自分を守ることができると
頭、心、身体でわかれば
その怖れを使う必要が
なくなる
わけです。

そうして怖れを解消できれば
他者との関係を持ってもいいかな、と
思えてくるようになりますし、
他者を「災厄を持ってくる存在」と
見る必要もなくなり、
すべて疑う必要もなくなり、
持つ関係も最低限にしたいと
する必要もなくなっていきます。

自然と他者を支配する必要もなくなり
良好な対人関係、すなわち、
互いに対等な関係を持ってもいいかな
と思えるようになります。

そんな状況になった頃には
自分を愛さない人もいることや
自分を大切にしない人もいることを
承認できるようになっていきます。

そうして、
人生の有用な面に進んでいくと
やがて相手を大切にすると
その相手も自分を大切に
感じてくれること
も、
体感できるようになっていきます。

相手が自分を愛さないことは
自分が相手を愛することとは
あまり関係がなくなり、

相手が自分に何をしてくれるか、
よりも、
自分が相手に何ができるか、の方に
興味が湧くようになっていきます。

つまり、
感じるしあわせを
自分次第で増やしていけるように
なっていけるわけです。

■怖れの原始体験

”自分は愛されない”などの怖れを
抱くようになったのは、
幼い頃にそうなるに足る体験
をしたからです。

そのほとんどの体験が
親の注目」に関係しています。

産まれたばかりは
親は自分に注目してくれます。

言葉を使えないので
親に何かしてもらうときには
泣きます。

泣くと、親が勝手に
今の自分には何が必要なのかを
考えて行動を起こします。

その行動が合っていれば
泣き止みます。

その行動が違っていれば
泣き続けます。

そこには、
親はいつも
自分を注目しててくれている、
という感覚があります。

しかし、
自分以外のきょうだいに
その注目を奪われたりすると、
泣けば注目してくれる、という
簡単な方法が使えなくなります。

そこで、その注目を
取り戻すために
あれこれ活動を始めます。

その活動によって
親の注目を適切に得られたら
”自分は愛されてる”と実感して
生活に支障をきたすような
怖れは感じませんが、

親の注目を適切に得られなければ
”自分は愛されない”などの怖れを
抱くことになり、

その後もこの件についての
援助を受けられなければ
生涯ずっとこの怖れを
感じることになってしまうでしょう。

きょうだいに親の注目を
奪われたと思ったなら、
「そのきょうだいと競争して勝利すること」
が人生の目標になったりします。

単独子なら
父親の注目を得るために
「母親と競争して勝利すること」が
人生の目標となったり、
母親の注目を得るために
「父親と競争して勝利すること」が
人生の目標となったりします。

そんな怖れの原始体験を見つけて
適切に心理的処置をすることで
怖れは小さくなっていきます。

その心理的処置のひとつは、
「世の中には
自分を愛さない人もいるし
自分を愛してくれる人もいるのは
ごく自然なこと。」などと
ふさわしい人に声に出して
共有することです。

また、
「私は親に愛されたかった。」
などの当時の欲を
ふさわしい人に声に出して
共有することです。

声に出して共有することで
いわゆる”胸に秘めておく”必要が
なくなるわけです。

心が軽くなります。

これからどうするか、の
話をしたくなります。






お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ10年目、常楽でした。





・関連記事

本当の本音を共有できる人が一人いると人生は力強く進む

劣等感の目的は「社会的な生」

劣等感を吐露すると症状が改善する

あなたの重要、は、あなたのもの

緊急ではないが重要なこと、の進め方

失敗しない親はいない。失敗後の関心の向け先で子への影響が変わる。



















ACE COACHING's Service here