■太陽と土と雨を捧げる

花は雷では育ちません。

太陽と土と雨で
育ちます。

人も同じ。

その人の成長を期待して
いくら雷を落としても
育ちません。

調和を形にしながら
その人を成長を期待するなら
太陽と土と雨と同じものを
捧げることです。


■ある高校教師

高校の頃、教室で
教師が生徒を叩きながら
言いました。

「俺もこんなこと
したくないんだよ。」

「お前らがしっかりすれば
こんなことせずに済むんだ。」

「何度言っても
ここまでしないと
わからないから
しかたがない。」

まるで
自分が被害者のような
言いっぷり。

その「叩く」は
雷ですよ。

そんな雷を
いくら落としても
生徒は育ちませんから。


■高速PAの親子づれ

高速道路のパーキングエリア。

トイレに入ってると
泣いてる男の子を連れた
20代っぽいお父さんが
入ってきました。

「いい加減、泣き止みなさい」

何度もそう男の子に言います。
でも泣く理由があるから
泣いてるのに、
そこには触れずに
ただ「泣き止んで」と言われても
自然現象は止まりません。

だんだん言い方が
厳しくなってきます。

「泣くのいい加減にやめろよ」

その厳しい口調に
男の子は怖くなったようで
「泣く」もさらに強まります。

力でねじ伏せようとしているのか
「何度言ったらわかるんだ。
泣き止まないと、叩くよ!」と
ついに暴力宣言。

お父さん、一生懸命に
頑張る方向が、
お子さんとの調和とは
違う方向のようです。

周囲の目もあるので
「叩く」はフリ。

そのフリと
強い口調と
怒りの感情で
男の子の「泣く」を
消そうと必死。

そんな雰囲気は
トイレの外にも伝わっており
外から男の子のお母さんの声が。

「もういいから!
こっちに連れてきて!」

もうほとんど泣いているかのよう。

「あとは私がやるから、
もうわかったから、
こっちに連れてきて!!」

さすがに男子トイレには
入ってこない。

ここには自分は
入ってはいけないと
理性ぎりぎりで
踏みとどまっている感じ。

お父さんはお母さんの声に
何かを感じたみたいで...叩いたよう。

「自分も泣き止ませることが
できるんだぞ」と
言いたかったのでしょうか。

でも、
男の子の鳴き声は
もうほとんど悲鳴に。

いてもたってもいられない
お母さんは
「もういいから!」と言って
とうとう男子トイレに入ってきて
男の子をだっこして
外へと出て行きました。

一瞬、トイレは騒然。
他の利用している人の動きが
その一瞬止まってました。

雷では
子供は育ちません。


■ある新入社員

営業職の課長をやってた頃。

連日、係長が
一人の新入社員を
怒鳴りつけてます。

「2週間も経ってるのに
売れてないのは、お前だけだぞ!」

「言った通りに
やってないなんて、なんでだ!?」

「何が何でも今日売ってこい」

「できるお前を
いいかげんに見せてくれ!」

情熱、ほとばしってます。

ちょうど係長が営業で外出したので
その新入社員と話してみました。

すると
「お金がない」そう。

東京に出てきたばかりで
あれこれ使ってたら
残りわずかになってしまった。

そんなつもりじゃなかったけど
気づくと一日一食がやっとの生活。
とても後悔してる。

給料をアテにしてるけど
支給日はまだ先。

試用期間なので
このまま売れないと
異動か
雇用されない状況に。
でも、どうにも力が出ない。

不安で夜もなかなか眠れず
慢性的な睡眠不足な感じ。

太陽の光も届かず
雨も降らずに
痩せた土に植わってる感じ。

係長にはすでに
メシをおごってもらったりしてる。

だから
これ以上迷惑かけられない、と
必死な感じ。

売れないので
落ちてくるのは雷ばかり。
それも方々から落ちてくる。

私に呼ばれたのも
雷を落とされると思ってた感じ。

なるほど。

「これでなんか食べて
元気だしてがんばれよ」
と言って2,000円を渡した。

「いいんですか???」

新入社員は目を丸くして
ビックリ仰天、驚いてる。

「投資だよ。
売れてくれれば
こっちも助かるから」

「でも係長には内緒ね。
彼は彼なりになんとかしようと
一生懸命だから」

「その2,000円、
返すなら現金じゃなくて
結果で返して欲しい」

すると新入社員は
目に涙をためながら
笑顔で返事をくれました。

「はい!」

そしたら不思議なことに
その日に売れた。

一番喜んだのは係長でした。
だって、泣いて喜んでたから。


■「自分より相手優先」

花は雷では育ちません。
焼けてしまいます。

花が育つのに必要なのは
太陽と土と雨です。

それは、人も同じ。

「相手より自分優先」になると
雷を与えたくなりがち。

「自分より相手優先」になると
雷以外を捧げたくなりがち。

太陽のように
光を当てるのか
あたためるのか、

土のように
育つのに必要な要素を
捧げるのか、

雨のように
潤いを捧げるのか、

いろいろと
できることがあります。



お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ8年目、常楽でした。



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