嫌なことを消す方法は
自分の中での重要度を
下げることです。

「忘却の彼方」なんて
言葉がありますが、
こんな感じで
何のことだったのか
わからないくらい
重要度を下げます。

そのために重要なのは2つ。
・消そうとしない
・好きなことをする



嫌なことを消そうとすることは
その「嫌なこと」の重要度を
高めてしまうことになります。

問題行動する子供に
問題行動をやめるように
言えば言うほど反発するように、
「嫌なこと」を消そうと
すればするほど
そこに時間と力を注ぐことに
なります。

私は20歳くらいに
電車で痴漢にあいました。

突然後ろから密着され
おしりをなであげられました。

その瞬間、
背筋が凍り付くような
虫唾が走るような
最凶な感覚を感じました。

男が男を触る。
痴漢、なのか?これは??

声をあげても
この男が痴漢したと
誰にも信じてもらえないだろう。

逆に自分が白眼視されたり
発狂したと扱われるに
決まっている。

まだ電車は止まっていて
ドアが開いていましたので、
急いで車外に出ました。

男なら戦わないと
男らしくないだろう!?と
とっさに思い
「敵」を見てやろうと
振り向きました。

すると、
何と表現すべきか、
高揚感と興奮とで
にやけた顔で
こちらを見ていました。

「だめだ」
どう考えても
私が不利だと判断し、
とっとと逃げました。

そのあとは
よく覚えていません。



その後は
この体験を
忘れようと必死でした。

試しに親に話したら
「同性に触られたくらいで
何いっていんの?」
と一笑に付されて終わりました。

他の人にも
何度か試してみましたが
「男が男に痴漢する」を
どうしても信じてもらえず、
逆に、話す度に嘲笑されました。

かろうじて
当時仲良くしていた
アメリカ人のおじさんだけが
共感的に聞いてくれました。

でも
「そっか、触られて嫌だったよね。
でもね、君は魅力的だもん、
触りたくなっちゃうよ、みんな」と
あやしいことを言われたので
微妙でしたが。。。



タバコをたくさん喫ってみたり、
一人で一晩でウイスキーを
一瓶空けて気持ち悪くなってみたり、
自力でピアスホールを
つまようじを突き刺して
作ってみたり、
忘れるためにいろいろやってみました。

でも、
すればするほど
あの気持悪い顔を
思い出すばかりで、
もうどうにもなりませんでした。

自殺すれば解放されるかも、と
思っていましたが、
親に復讐できなくなるから
しませんでした。

「嫌なこと」を消す活動は
すべてが失敗。
そのどれもが「嫌なこと」を
強めるばかりでした。



この「嫌なこと」と関係なく
触ってもらえると嬉しい人、がいました。

触ってもらえると嬉しいので
体も心も喜びますし、安心します。

このときは
「嫌なこと」は
まったく出てきません。

すなわち、
「嫌なこと」は
このとき忘却の彼方です。

消した、のではなく
消えた、のです。

好きなことをしていると
消えてしまいます。



「嫌なこと」の
事実を消すことは無理なので
消そうとする活動は
成就しない難行を
している状況です。

賽の河原で
石を積み続ける
ことに似ているかもしれません。

積んでも積んでも
鬼に蹴り崩されて、
また一からやりなおす。

つまり、不毛です。
何も生まない。

一方で
好きなことをする。

好きなことは
当時いろいろありましたが、

触られたい人に触られることは
思考を介さず
感覚に直接の刺激なので
効果的です。

「嫌なことを消す」を
目的にすると
不毛になりがちですが
「好きなことをする」を
目的にすると
感じるしあわせは
増えやすくなります。

嫌なことを消したいと
思ったときには、
その対極の「好きなこと」を
どうしたらできるかな?と
思考する方が、
人生が楽しく開けていきます。




お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ8年目、常楽でした。


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