相手の善行に注目すると
相手は善行を増やす。

相手の悪行に注目すると
相手は悪行を増やす。

注目されたい相手は
注目される方を選んで
行動したくなる。



無視されるより
叱られる方がマシ。

好印象なことで注目されないなら
悪印象なことでもなんでもして
注目されようとする。

だから、
叱れば叱るほど
注目しているってこと。

叱られる人の希望を
叶えているってこと。



問題行動をすると
相手はやめろと叱る。

それなら
相手に注目されたいときは
問題行動をすればいいんだ、と思いつく。

叱られて悲しいのに
注目してくれてることは
嬉しい。

悲しいのは
注目されるための必要経費だ。



例えば子に
泣くな、と
言えば言うほど
泣かれたりします。

落とさないでね、と
言えば言うほど
落とし続けたり。

これって
スルーされずに
特別扱いされるため。

注目されるためなら
たとえ火の中、水の中。



相手の問題行動に
変化を生み出したいのであれば
問題行動以外に
注意を向ける。

例えば
泣いている子に
「泣くな」と言う代わりに
こんなことを言ってみる。

「そっか、泣きたいくらい
大事なことなんだよね。」

「泣いちゃうよね。
涙ってどのくらい出てくるんだろう?」

「本当はどうしたかったの?」

泣くと注目される、と
思って泣いている子に
注目を与えると、子の目的達成。

そして
泣くか泣かないかでモメずに
とっとと次に進む感じ。



例えば遅刻する人。

遅刻すると相手にしてもらえるから
遅刻は魅力的。

「なに遅刻してんだよ!」と
本気をぶつけてくれれば
その時その人の注意は
すべて自分に向いている。

その人を独占できてる状況。

遅刻するたびに
独占できるから、
やっぱり遅刻って魅力的。



変化を生み出したいなら
遅刻するかどうかでモメない。

時間になったら
遅刻する人を待たずに
ことを進める。

追い付くかどうかは
遅刻する人次第、
本人に任せる。

そうして遅刻しても
特別扱いされなくなると
遅刻の意味がなくなる。

他の方法で注目を集めようとする。

こんな仕組み。



遅刻で思い出すのは
小学校の遅刻競争。

担任が遅刻者を減らそうと
遅刻した回数を表にした。

すると遅刻回数の順位が出る。

遅刻は
情けない
だらしない
ダメ人間
劣っている
そんな否定的なイメージを
持っている人が多かった。

トップになると不名誉だから
遅刻はイヤがると思ったらしい。
でも、私ともう一人は違った。



その担任は殴らない教師だったので
安心して遅刻できた。

遅刻すると
スコアが1つ増える。

遅刻の順位で
1番を競うようになると、
クラスの話題に上がる。
担任が皆の前で
私ともう一人を話題にする。

不名誉な遅刻回数を競うなんて
笑ってしまう、みたいな雰囲気。

クラス全体が
この2人、
どこまでひどくなれるか?
みたいな期待をしていた。

遅刻するな、と
親も教師も必死な感じで
言ってきた。

人気者?
特別扱いされてる感じ。

これって人を笑わせる
コメディアンの気持ちに
似てるのかな。



結果、優勝は
私ではなく、もう一人の方。

確か私が12回で
もう一人が18回とかだった。

私は途中から
遅刻回数を競うことが
悲しくなってきて、
遅刻回数を極めるのを
止めたから。



結果発表のとき
優勝したその人が
皆にバカとか
人間終わってるとか
言われてるのに
とてもうれしそうな顔してたのが
印象的だった。

その人も普段から
親や周囲の注目を得られない人だったのかも。
そのうれしい気持ち、わかるよ。

その後、遅刻競争は
学校で評判が悪かったか何かで
二度と行われることはなかった。



相手は
自分が注目するところが
育ちます。

算数が好きなんだね、と
算数好きに注目すると
算数が育つ。

こんなところで寝ないでと
所かまわず寝ることに注目すると
それが育つ。

好印象なことでも
悪印象なことでも
注目は同じ。



叱って指導しようとするよりも
育てたい部分に注目する指導の方が
お互い楽しいですね。





お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ8年目、常楽でした。



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