嫌いな人がいると
共同体感覚を高める
「相手は仲間だ」という
他者信頼が育ちません。

嫌いな人を減らして
中立か、好きな人が
増えていくと
他者信頼が育ちます。

そのためには
その嫌いな人についての情報を
増やしてみることです。



その人との対人関係を
終わらせたくなると
「嫌い」という感情を
使います。

その後、その人とは
関係を持たないようにします。

その時点から
その人についての情報は増えません。

情報が増えないので
「嫌い」も変わることは
ありません。



「嫌い」という感情を使うので
自分は相手に
「自分が嫌いになれる部分」を
探して注目します。

しかし、
情報を増やし続けると
「自分が嫌いになれる部分」以外の
情報も見ることになります。

「自分が嫌いになれる部分」だけを
見ていたら「嫌い」なままですが、
それ以外の情報も見ていくと
「嫌い」以外の感情も
感じるようになります。

「嫌い」を中和するように
情報を集めることで
その相手への「嫌い」が
変化していきます。



私は
とある宅急便の人が
嫌いだったことがあります。

「宅急便です」と
チャイムが鳴って
ドアを開けると、
そこに宅急便の人がいません。

は?何?と
混乱していると、
開けたドアの陰から
にゅっと宅急便の人が出てきました。

「宅急便です」
笑顔で宅配の荷物を
差し出してきます。

ふざけてんのか?と
怒りを感じましたが、
とっとと荷物を受け取って
最短時間で済ませることが
ベストと思い、
とっとと荷物を受け取り、
ドアを閉めました。

「あいつ、嫌いだ」
嫌いになると
自分が決めた感覚を
感じました。



その後、何度か続き
いい加減イヤなので
訊きました。

「どうしてドアの陰から
にゅって出てくるんですか?」

「いや、すみません。
その方が楽しんでもらえると
思ったものですから...ははは」

ああ、そうか。
宅急便に娯楽の要素も
入れようとしているんだ、この人は。

でも、自分は
ドアを開けたらそこに居る、
そんな誠実さを感じるような人から
荷物を受け取りたいと
思っている。

「そうなんですか。
でも、逆ですよ。
ドア開けてもいないから
からかわれてると
思ってましたよ」

「え!?そうなんですか!?
すみません!」

受け取る人の気持ち、
わからなかったんだね。

少なくとも私の気持ちは
わかってくれたみたいです。



あの宅急便の人は
イヤなやつだ。

きっと○○に違いない。

はじめの頃は
そんなイヤな想像ばかりして
「嫌い」を深めていました。

荷物を受け取る経験から得た
情報だけを元に
「嫌いになれる情報」を
自分の中で捏造してました。

でも、それ以外の情報、
「相手がどんなつもりか」を
入手したら変わりました。

私の気持ちを伝えてからは
ドアを開けると
見える場所に居てくれるように
なりました。

「嫌い」な人が
普通の人になって、
心が平和になりました。



私は中学生の頃に
父親からの性被害に
あいました。

なので父親は
「ものすごく嫌い」
でした。

当然、
関係は避け続けるのですが
家族なので関係を
完全に断つことはできません。



好きとか嫌いとかは
重要度の高いものに
感じる感情です。

「ものすごく嫌い」ということは
「ものすごく重要」ということ。

私にとって父親が
重要度の高い存在であることは
私を苦しめました。

関係を避けたいのに
重要度が高いので
どうしても避けられない。

憎んだり怒ったりして
どうしても心に浮かんでしまう。

そんな自分が
切り刻んで
なくしてしまいたいほど
イヤだ。



そんなイヤな思いは
30年かそれ以上にかけて
ちょろちょろと父親の情報を
得る中で変わりました。

父親自身が
自分の親の期待に応えようと
いくら努力しても
親は認めてくれなかったりして、
高齢者となった今でも
呪縛のように苦しんでいたりする。

そんな情報。

知った後は
「ものすごく嫌い」の
「ものすごく」がとれて
普通の「嫌い」になり、
「ものすごく重要」も
ただの重要になって
変化したと感じています。

その変化が進み、
自分がどんな気持ちか
どう思っているのかなどの
情報も認識できるようになると
さらに変化した感じです。

今ではほとんど
「どうでもいい」と思えるくらいまで
重要度が下がってくれています。

重要度が下がってくれて
その分、
生きやすくなった感じです。



「嫌い」を減らすのは
その嫌いな人の
ためではありません。

自分の共同体感覚を
高めることに役立つから
するのです。

その人を
ひとつの方向から見てると
同じようにしか見えませんが、
見る方向を変えると
違うものが見えてきます。

情報が少ないときは
嫌いだったけど、
情報が増えたら好きになった、
なんて話も聞いたこと
ありますよね。

本当にどうでも良かったら
好きも嫌いもなくなります。

「嫌い」が減ったと感じたら
改めて
「その人との関係を深めたいか」を
自分に訊いてあげたいですね。




お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ8年目、常楽でした。



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