国鉄でDF50が登場する前に、国内各社が試作した本線用デーゼル機関車があり、国鉄がこれらを借用して数年に渡り試験走行を行っています。その内の一部車両が正式購入に至り、90番台を名乗ることになりました。その中の1両が、日立で製造された電気式デーゼル機関車で、3軸台車をC-C配置したDF90です。

このDF90が、マイクロエースから2004年に色違いの2色で製品化されています。

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左側がARC塗装、右側が国鉄標準の茶色(ぶどう色)です。
 

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「国鉄DF90-1・ARC塗装」(品番A8203)です。1956年の落成時にはメーカー独自の派手な塗装を施していましたが茶色に変更され、借用翌年の1958年(昭和34年)に国内で開催されたARC(アジア鉄道首脳者懇親会)の鉄道展の際に、落成時に近い塗色に戻されており、この時の塗装を再現したモデルです。水戸機関区に配置され、この色のままで常磐線の急行列車等を牽引していたそうです。
 

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「国鉄DF90-1・茶色」(品番A8205)です。国鉄が1961年に正式購入後は、茶色に戻されて継続使用されています。常磐線の平電化に伴い秋田に転出した際には、朱色/灰色の標準塗装に変更されたとのことです。秋田配置時のモデルも同社から2008年に「DF90・標準色・秋田機関区」(品番A8206)として発売されていますが、私は所有していません。
 

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両製品は塗装色の違いだけで、差異はないようです。顔も前後で変わりません。
 

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側面のプロフィールです。3軸台車がC-Cに配置されており、反対側の側面も同一形状です。
 

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3軸台車を拡大してみました。適度な彫りの深さです。
 

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ディーゼル機関車ながら、屋根上もスッキリしています。
 

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モーター1個で、全軸駆動となっています。


前面表情の雰囲気が似た機関車を並べてみました。

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左側から、EF58-61,DF90,DD50,DF50です。DF90の前面はEF58と同系統の湘南顔の意匠で、DD50も良く似ています。DF50は別の意味で仲間に。
 

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車体の意匠もEF58に似ていますが、DF90の車体長が短く前面を絞る必要がない(EF58は乗務員扉から前を絞ってある)ので、EF58よりも幅広の顔をしています。
 

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重連のDD50と比べても、短く収まっています。
 

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なぜか全長はDF50と殆ど同じです。

「ウィキペディア DF90」の注釈には、『メーカーの文献や取扱説明書には、本形式に「DF50」という形式を付与した写真や図が残されている』と記載されています。日立はDF90が後の量産機となるDF50として採用されるとの自信があったからなのでしょうか。DF90には西ドイツのMAN社製エンジンを搭載しており、日立は後にDF50にMAN社と技術提携して生産したMAN型エンジンを搭載する500番台を製造することになりますから。

 

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ちょっと派手な色をしているので東南アジアの風景にも使えそうです。
 

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この色だと純日本風ですね。何れも他にない魅力を備えた機関車です。

最後の締めが、いつもの風景になってしまいました。そろそろ周囲に建造物があるお立ち台を準備しないといけませんね。

 

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