先回(5月21日)に投稿した「マイクロエース R6春の定期健康診断を実施」(→こちら)で、前年度の点検時に「DF90-1・ARC塗装」(A8203)を車体と下回りを分離しようとして集電板がズレてヘッドライトが点灯できなくなった事案は、分解して集電板を本来の位置に固定することで修復した旨の記述だけで済ませていましたが、実は分解するのにかなり梃子摺りました。今後、駆動系のメンテナンスやヘッドライト用のLED交換をする可能性もありますので、分解手順と留意点を記録しておくことにします。

 

マイクロエース製のDF90には、左側の「DF90-1・ARC塗装」(A8203)と、右側の「DF90-1・茶色」(A8205)、他に「DF90・標準色・秋田機関区」(A8206)の3種類がありますが、色違いの同一製品です。製品の詳細や実機の登場経緯等は、以前に投稿した記事(→こちら)に記述していますので省略します。

 

集電板がズレてしまった「DF90-1・ARC塗装」(A8203)は、修理に際して下回りを取り出して、更に分解する必要がありました。

下回りを取り出す際に、前後の台車間にある床下機器(燃料タンク?)部分を引っ張りがちですが駄目(NG)です。これをしたばかりに、集電板のズレを発生させてしまいました。床下機器を力任せに引き抜くと床下機器が中途半端に外れることで、この内側にある集電板の固定ピンが折れてしまい、集電板が所定位置からズレて修復できなくなります。


ボディと下回りとの勘合部は、乗務員扉と放熱グリルの間にあり、台車の放熱グリル下付近を摘まんでボディ側面を両側に広げながら下回りを抜き出します。一気に引っ張るのではなく、前後の台車を交互に少しずつ下方に引き出す要領です。


ボディ側の勘合部は、窓ガラスで乗務員扉の窓下方に延びている部分です。この部分が下回りのダイキャストの溝に勘合して固定されています。

 

窓ガラスに形成された勘合部は、ボディの前後にあります。

 

無事に下回りを取り出すことが出来ました。床下機器のパーツは、車体内部でダイキャストに勘合(片側2ヶ所の穴部分)されており、この状態にしない限り、床下機器のパーツは外すことが出来ない構造になっています。この段階でも、床下機器のパーツは不用意に外すと収拾が付かなくなります。

 

LED交換を始め、動力ユニットの整備をするには、ヘッドライト用LEDが搭載された基板を取り外す必要があります。基板は小ネジ2本を緩めることで取り外せます。

 

ヘッドライト用に搭載されているのは角型LED(3mm×4mm×2mm厚)で橙色発光のパーツです。同サイズの手持ち品は白色LEDしかなく、電球色LEDが入手できたら交換しようと思います。この基板には取付方向が決まっており、シャーシーにねじ止めする際には、右側の黒い部品の隣に銀色のランド(接触用パターン)が、モーターの右側に突き出た2本の接触片に触れるように装着します。LED交換だけならこれで終わりです。

 

駆動系の整備をする際には、ライト基板を外したまま作業をします。運転台パーツ(淡緑色)とLED遮光パーツ(黒色)を取り外しますが、何れも挿し込んであるだけですので上方に引けば簡単に抜けます。

 

駆動系は、奥側からモーター/フライホイール/自在カップリング付のシャフト/ウォームギア(ケース内)です。

 

台車に回転を伝えるウォームギヤはケース内にあり、カバーは左右両サイドにある勘合爪で装着されています。この勘合部にマイナスドライバを挿し込み広げて勘合を解除して、カバーを取り外しました。

 

シャフトのウォームギヤ側をピンセットで摘まみ持ち上げることで、ウォームギヤを取り出すことが出来ます。

 

動力台車を下方に抜き出すことが出来ます。これでギヤ清掃も可能になりました。この状態で初めて床下機器カバーの勘合を開放することが出来ます。カバーには集電板が固定してあり更に絶縁紙が挿入されていますので、特段の必要がなければ床下機器カバーは外さない方が無難です。昨年、私のミスで集電板がズレたのは、このカバー内部で固定されていた集電板が外れたことにより、カバーが中途半端に外れて浮き上がって勘合が出来なくなり、ヘッドライトの不点灯が発生していました。集電板を元通り固定したことで修復することが出来ました。

 

 

保修作業が終われば、分解とは逆の手順で組み立てることで復元できます。

なお、下回りをボディに装着する際の向きは、屋根上中央の蓋状のもので小形を左にして、床下機器のエアタンク様の丸い物が右側に来るよう取り付けます。プラケース底面に車両外観図が印刷されています。

 

DF90の分解手順と留意点を記載しましたが、同時期に製品化されたDF41/DF91も同一構造だと思われます。分解作業は破損のリスクを伴いますので、本記事を参考に分解される際はあくまで自己責任にてお願いします。

 

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