『大人のギャザリング』ライフナビゲーター・田村ゆかりです。
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【大人のギャザリング～人生にひと振りのスパイスを】
さて【あやしい絵展～アートギャザリング】の開催レポ続編です。
私のイチオシ！の残る３人の画家の内の１人
『甲斐庄 楠音（かいのしょう ただおと）』です。
京都生まれで、明治から大正にかけて生きた日本画家
全体的に暗い色調の女性を描く絵が多く
そのグロテスクとも不気味とも感じられる絵は、当時の著名な画家たちから
「きたない絵」とか「デロリとした絵」などと云われています。
『甲斐庄 楠音・舞ふ』
この「デロリ」という言葉は『麗子像』で有名な岸田劉生の造語。
当初は初期の肉筆浮世絵に対して評した言葉のようですが
現代でもこの感覚が日本の若手画家たちにも繋がっているんですよねえ･･･
しつこいような、どこかに不穏さを感じる暗さというか
ねっとりした感じというか･･･
私は決して嫌いではありませんが（苦笑）
因みに、美術館に入るとど～んと置かれているこの美術展を表す大きなポスター
これには『甲斐庄 楠音』の『横櫛』という作品が使われていますが
この絵は小説家・岩井志麻子の
『ぼっけえ、きょうてえ』の表紙として使用されたので
以前、見かけた人もいるかもしれませんね。
かなり、強烈な印象を残してますもん！
私もこの本は持っていて、夜にふと手に取ると表紙でもう怖い･･･苦笑
この絵のモデルは、楠音の兄嫁さんだったそうですが
描いた後、ほどなく亡くなっているそうなのです。
それを知った上で見ると、
ちょっと”死”が近づいているような･･･気がしません？
楠音は前期と後期で入れ替えも数点あるのですが、
全期通して展示されている”未完の大作”が１点あります。
『甲斐庄 楠音・畜生塚』
これがなんとも胸を締め付けられるような絵なのです。
豊臣秀吉の甥・豊臣秀次の側室たちが、
連座という連帯責任の制度によって処刑される様を描いているといわれるこの絵
中央の方に２人だけ、顔が白く塗られている女性がいるのですが
この女性の背景には、哀しい物語があるのです。
これについては、私の開催する【アートギャザリング】で
事前レクチャーの際に詳しく語っています。
楠音の絵は他にもこんな(うなされそうな程)すごいのが！
『幻覚(踊る女)』
美術展を観る際に、例えば
まったく予備知識なく観たい！と思うようなときは別ですが
観たけれと、何となく順番通りに観て終わってしまい
後から
「一番印象に残ったのはなんだっけ？」というように
”ただなんとな～く観てしまったなあ”
というようなこと、ありませんか？
【アートギャザリング】では、美術館に行く前に
「これはイチオシ！」とか「この絵はこんな裏ネタ？がある」などの
小ネタなどを挟みながら
参加してくださる方が
「意識的にその美術展に一緒に参加していく」ということを目指したいと思っています。
館内も一緒に廻りながら（美術館の方針に則ってですが）絵の前で簡単にガイドをしたり
作成した資料でポイントを再度説明したり
参加者さんが
「印象に残る」ガイド
「各自の感性が刺激されるような」ガイド
を目指しています。
今回の【あやしい絵展～アートギャザリング】は３回開催予定で
いずれも少人数開催のため、全回ともに”満員御礼”となりましたが
５月９日には別の美術展
【国宝・鳥獣戯画のすべて展～アートギャザリング】を開催予定です！
こちらは【残席１名さま】となっておりますので
◎1人では中々美術館に行かないけれど、誰かにガイドしてもらえるなら観てみたい
◎「鳥獣戯画」に興味がある
◎同じような趣味の人と話してみたい
こんな方、お待ちしておりますね！
次回の開催レポ最終回は、個人的に一番お薦め！の
『岡本神草（おかもとしんそう）』と
観ているだけでうっとりと別の世界に引き擦り込まれそうな
『橘 小夢（たちばな さゆめ）』の絵をお伝えすると共に
第１回目の参加者の方々のご感想なども紹介します。
開催レポその１はこちら
【妖しさはデロリとまとわりつく～あやしい絵展 アートギャザリング開催レポその１】
最後までお読みいただきありがとうございました。
スピリチュアル雑誌『anemone』2021新年号に掲載されました
