空から降る一億の星②
③
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2話
涼が働いているフランス料理店で、優子がお見合い。ワインを服に溢してしまい、
『今すぐにでしたら染みになりませんので、ジャケットの方お貸し下さい』
『いいです』
『やってもらい!』
『でも…』みんなが言うから流され、長袖のジャケットを脱ぐ。腕の火傷をお見合い相手に見られるのが不安で、腕をさすって隠す優子。
無言で【静】、厨房に置かれた毛布を右手で バサッ!!! と取り【動】、
左手で勢い良く扉を押し開け、厨房を出て【動】、(ガチャッカランと音が鳴る)
無言で優子の両腕に毛布を被せる。
両手で包み込むように丁寧に、フワッと優しい被せ方なのだが、とても素早く、器用。
★★この右手に注目!!!!
指が外側へ開かれており、優子の体に触れぬよう、細心の注意を払っていることが分かる。細部まで紳士的な振る舞い。
★★涼は、厨房の中から他の従業員が出入りした一瞬の間に、扉からチラッと覗く優子の姿を見ただけで、腕の火傷の痕を隠したがっていると瞬時に見抜き、この行動を取ったと思われる。
人の心境が手に取るように分かるから、女達を思い通りに操ることが出来、「殺して」と言うことなく、殺人まで誘導してしまうのだ。
何より、自分にも火傷の痕があるため、気持ちが誰よりも分かるのである。
★☆★何故涼はこの行動を取ったのか・・・
PointⅠ
優子や完三がターゲットである美羽お嬢様と繋がっていると、船上パーティーの喧嘩の際に知ったため、好感を持たれると好都合だから。
PointⅡ
何より、涼は25年振りに再会した時から、優子(まだまだ思い出さないが、潜在意識に眠っている妹の記憶)のことが気になっており、その優子が困っている様子を見て、共感し、自然と助けてしまったのではないだろうか。
25年前、やかんのお湯で火傷をしそうになった2歳の優子に覆い被さり、自分の方が背中に大きな火傷を負った時のように。
まず優子を真顔で見下ろしてから、
完三(まだまだ思い出さないが、潜在意識に眠っている、父親殺しの犯人の記憶)を何とも言えない、若干警戒するような鋭い視線で見つめ(完三が涼のことを、どこかで見た気がする、危ない感じがする、と警戒しているため)、
再び優子を見て「……寒くないですか?(早口、低め、クール、冷静、ハスキー、上品、知的、セクシー、真面目。落ち着いた、サラッとした響き。世渡り上手な、普通の好青年という感じで、あまり怪しげな雰囲気は漂わせていない。
イントネーションが、「サムクナ」まで同じ高さで、「イデスカ」から急に小声になって低くなって同じ高さで、特に「で」や「か?」はほぼ聞こえない。
明らかに仕事中のよそ行きの顔。
少し首を前へ傾けて気遣うように聞く)」
優子『ありがとうございます』
優子を見て、苦笑いにも似た意味深な微笑で会釈。左頬の方が僅かに上がっている。
★★★
本当に寒がっていると思って掛けたのではない、見抜いている、と、この視線で伝わってくる。
お見合い相手『すいませんでした』
「いえ(笑ったことにより吐息が漏れる)」
天使の爽やか笑顔で2回お辞儀。
★★★左に少し顔を傾けて優子の顔を覗き、口を噤んで甘くミステリアスに微笑む。
この悪戯っぽい微笑みは、(船上パーティーの日、部屋で二人きりで話したね♪)という、若干からかっているような、何とも言えないメッセージ。
二人だけの秘密だね、というようなニュアンスが含まれており、無言で伝える視線。
『涼!』
上司が厨房に戻るよう、顔と手で指図。
「あ…」 扉の前へ移動。
『すいませんでした』
「失礼しました(真面目でさらっと)」
礼儀正しくお辞儀。
★少し止まり、意味深に優子を見てから(お互い何故か気になるから)、勢い良く右手で扉を押して厨房に入る。歩く後ろ姿は堂々として肩で風を切る感じで、直前の礼儀正しさとの仄かなギャップ。
*
『本当に送らなくていいの?』
バン!!! 美羽の車を左手で閉める。【動】
オープンカーのドアの上に両手を付き、上半身を前へ移動させ、体重をかける。
「うん。(右の美羽の家を見て。涼にしては高めの、上品な声)
その辺(左の道路を見て)ブラブラしながら帰るから
(涼にしては高め。若干僅かに鼻声のような声が、逆に凄くセクシー。
喉の奥でジリジリゴロゴロ鳴るような、響く低音が知的。
「から」が消え入り、口腔内で水分の音が微かに響きセクシー。
美羽の目を見て、軽く頷きながら言い、両手を離す)」
左へ歩き、車の後ろ側に回りながら、素早く上半身を腰から前へ折り曲げ、【動】
身を屈めてボンネットに両肘を付き、首も低くして前方の時計を覗き、
「あ……ねぇ門限まであと50秒
(微妙に左へお尻をずらすことにより、肩から背中、腰、お尻にかけて緩やかなカーブが生まれ、かなりセクシー。
クールな低音で、一切別れを惜しんでいる様子が無い。)」
『ホントだぁ怒られちゃう…』
★★★
気付くと涼がいない。【静】
探す。
10秒以上して、突然涼が勢い良く現れる。【動】
ハッとする美羽。
★★★★
これが、片瀬涼の【静と動の法則により生まれる極上の危険な香り・ミステリアス】である。
マジシャンのような、怪人のような片瀬涼。
美羽がビクッと驚かされてしまった。
【吊り橋効果理論】も関係している。
恐怖や驚きで、心臓がドキリとすることで、恋のドキドキだと錯覚するというものだが、
美羽は涼に正真正銘の恋をしているため、勘違いでは全くない。
ただ、不安にさせられたり、ハッと驚かされたりすることで、余計に想いが加速してしまうのだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「30秒前(低音ハスキー。美羽を見ず、時計を見ながら言うのがクールでミステリアス!!!
「前」が吐息混じりで、セクシー)」
右へ首を傾げ(涼の癖)、美羽を真ん丸な目で見つめてから、
歯を見せずにクールに微笑み、
「おやすみ(自信に満ちた、大人の出来る男という響き。知的で、ハッキリと、よく通る低音。声だけでも、絶対にイケメンだと分かる響き。
語尾が、スパッと言い切る感じ)」
『おやすみ』
冷めた半開き目の上品セクシーな表情で、顔を前へ出し、唇もほんの少し前へ出していて、キスする合図。
★★★★★美羽も顔を前へ出すと、急に身を引く。【動】
片瀬涼口説きの真骨頂、“焦らし”である・・・!!!!!!!!!
【とにかくひたすらこれでもかと言わんばかりに追いかけさせる】のが、片瀬涼。
ポーカーフェイスで、冷めた半開き目で見下ろしている。
『あっふふ(笑)』
「ふふ(鼻から息が漏れる音)」
左に顔を傾け、不意打ちで、笑っている美羽の口を素早く塞ぐ。
「ピュッ」
という上品で綺麗な音が、静かな夜に響き渡る。
★★★★★
微笑んだ流れから、そのまま少し微笑しつつキスし・・・
唇が離れた直後、急に冷たい真顔になり、目が開かれるのが・・・
ゾワゾワ~~~~~~っと鳥肌が立つ程セクシー、危険な香りMAX!!!!!!!!!!!!!!
思わず、『う~わ~~~~~~~~(゜Д゜)』とドン引きした際のような声が出てしまった・・・・・これは反則。。。
ドゥフッ!スィ~~~(涼が美羽の車を手で触る音)
★★★無言で、冷静・クール・ミステリアスな表情のまま、立ち去る。
PointⅠ
一瞬見せた笑顔と、キスする前や別れ際のクールな真顔が、対比になっている。
クールな表情が多いことにより、【笑顔の希少価値・有り難み】が高まる。
いつも笑っている男なら、(あ…!!…涼が笑った…!!)とはならない。
と同時に、優しい笑顔があることにより、クールな表情のミステリアスさ・ダークさが強まり、美羽に不安を募らせる。
一切笑わない男なら、慣れてしまって、こういう人なんだと思うため、笑顔が見られなくてもあまり不安にはならない。
★★★
男女間の恋愛において、いつ去られるか分からないという不安や、切ない片想いなど、何らかの葛藤がなければ、どんなに相性抜群のカップルでも、燃え上がるような激しい恋にはならない。
つまり、【相乗効果】により、真逆の表情がそれぞれ際立ち、より輝き・深みを増すのである!!!!!!!!
陰がある涼は最強。
PointⅡ“無言”
キス後に、照れた様子が一切なく、美羽を愛しく想うような表情も一切見せず、
【無言】で急に立ち去るというのが、えげつない程超絶クール!!!!!!!!!!!
多くを語らない涼は最強。
まさに【追いかけたくなる男】。
歩いて行く涼の後ろ姿。細身で、スマートな、品のある静かな歩き方。
ここまでが、2話の5分36秒までの、涼登場シーン。
空から降る一億の星⑧へ続く