前回の続きでお送りします。

前回の話はこちら

「コミュ力ない教師がコーチングを学んだら」その1

「コミュ力ない教師がコーチングを学んだら」その2

 

 

カルロスさんの”真の目的”とは

 

イライラ・モヤモヤしながらコーチング講座に通っていた私。

ストレスがとれなくてやっと行動に出たのだ。

 

意を決してカルロスさんに「わたし、カルロスさんがこわいんです」と伝えた。

 

それが転機だった。

 

カルロスさんがあることを話してくれたのだ。

 

「社内では英語で話しているんですけど、日本人の社員はなかなか私に意見を言わない。

でも会議のあと、よく日本人だけで集まって話してるんですよ。日本語で・・・わたしは日本語をずっと頑張っています。でも…ううむ···」

 

カルロスさんはもう10年近くも日本語学習を続けている。

仕事上の会話には充分なレベルだと思っていた。

それでも、

日本語学習を続けていたのは理由があったのだ。

 

 

カルロスさんは強面の近寄りがたい上司と見られているのだろう。

日本人社員たちは萎縮しているのかも。

 

カルロスさん。。。

 

ご本人は「相手をこわがらせている」「緊張させている」ことに全く気づいていなかった。

 

それで、私は聞きました。

 

ヨシダ「部下と何を話したいんです?」

カルロス「それはフツウに会社で話す会話ですよ。」

ヨシダ「フツウってうと、例えば?」

カルロス「企画とか経済ニュースとか投資のことです。」

ヨシダ「ほほー、もう少し教えてください。」

カルロス「うーん、会議じゃなくても社内で会ったとき立ち話するとか、もっと部下と話したい···カジュアルに。」

ヨシダ「うんうん、部下と話したいんですね。」

 

 

部下ともっと話したかったんだ。

フツウに。

 

 

その日はこれからレッスンで教科書ではなくニュース記事を扱うことを決めました。

次回のレッスンでは試しに私が記事を持ってくるということで終わりました。

 

投資のことなんて詳しくないので不安はありました。

しかし、次週やってみると、ごく一般的な経済ニュースでいいようでホッとしました。

 

 

*コーチングポイント

コーチングでは目標を共有するとき、どうなれば目標達成なのかを具体的に共有します。

「フツウの会話」など抽象的な表現は具体的にします。

そのとき、尋問にならないように短い言葉で話を促すのがコツです。

「〇〇っていうと?」「もう少し話して」「教えてください」など。

ここでは「部下と企画·経済·投資について立ち話できる」という目標を共有しました。

(実際には「企画·経済·投資」についてもより具体的に聞くことが必要です)

また「ペラペラになりたい」「会話を上達させたい」なども具体化することが大事です。

コーチ(教師)と学習者が同じイメージ(絵)を共有できるようにするためです。

例えば「カルロスさんがコーヒーを片手に部下と和気あいあいと朝のニュースについて話している。

部下も笑顔で話しているイメージ(絵)」などです。

 

 

現代人はみな忙しいもの。

そして、誰もが多くの選択肢を持っています。

その中でわざわざ時間を作り、料金を払ってレッスンを受けるには目的があります。

しかし、真意はご本人さえも、はっきりわかっていないことがあります。

例えば「会話が上手になりたい」と学習者が言った場合、「誰と、どんな場面で、どんなトピックで」と具体的に話してもらうことで、”真の目的”が共有できます。

 

”真の目的”を共有すれば、レッスンはより有益な時間になるでしょう。

 

 

次回へ続く

コミュ力ない教師がコーチングを学んだら【その4】カルロスさんが笑顔に

 

 

 

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