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お菓子作りA to Z
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「N」 Nappe ナップ
お菓子作りA to Z
前半「M」まで来まして、
ここからは後半のスタートです。
前半はこちらにリンクがございますので、
ご興味ございましたら是非♪
さて、「ナップ」ですが
聞いたことはありますか?
「ナップ」は状態を示している用語で、
faire cuire à la nappe
(ナップの状態に煮る)
といった用語の使い方をしますが、
[卵黄]にお砂糖、牛乳を加えたものを、
沸騰させない85℃まで加熱した状態を
[ナップ」の状態と言い,
それ以上になるとモロモロになってしまいます。
お菓子作りA to Zの一番最初は、
実はこのナップの状態にして作る
「A ; Anglaise アングレーズ」でした。
最初でしたので、
すごく短くしか書いておりませんが、
このナップのことや、
お菓子作りと温度の関係について
もう少し掘り下げてお話しようと思います。
今回は
卵と温度の関係の①
「卵黄と温度」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
お菓子作りは、
基本的には材料はシンプルで主に4つ。
1.卵
2.砂糖
3.小麦粉
4.乳製品
です。
これらのシンプルな素材が、
それぞれの性質を活かしながら
膨らんだり焼き色がついたり
色々なお菓子になります。
その中でも卵は、
お菓子の骨格になったり
膨らませるメインになったり
よく働いてくれます。
卵には卵黄があり、卵白がありますが、
そのいずれもが形や状態を変化させていくのは、
卵には「たんぱく質」成分があるからで、
それが変性することで起こります。
その変性に影響するものの1つが
[熱:温度]になります。
温度の他には【物理的力】で
泡立て器での攪拌もありました
詳しくはこちら→☆
卵と温度の変化が一番分かりやすいのが
①目玉焼き
②温泉卵
③半熟卵
・目玉焼きは、
加熱すればするほど、白身は固く
黄身もポソッとなっていきます。
ちょっと理系に言おうとすれば
『加熱時間比例型変化』
・温泉卵は
卵白よりも卵黄の方が
低い温度で粘性が増すという
温度差を活かして作られるものです。
これを変化名にしてみると、
『規定上限温度固定型変化』
ちょっと無理やりだね
65℃位で一定の状態だと、
卵白は白濁のゼリー状のままで
それ以上には凝固しないので
卵黄だけがむっちりとした
「温泉卵」ができます。
中心の芯が温まるという意味から
そんなネーミングになっているようですね。
・半熟卵は
変化名で表すとすれば
『高温短時間型変化』
私が半熟卵を作る時には
お鍋に水を入れて、
冷蔵庫から出した卵を入れ、
一気に高温で加熱し続け
8分程で冷水に取りだします。
すると、
卵白はしっかり凝固
(75℃~80℃で凝固)して、
内側の卵黄へは熱の伝わりが遅く
60~65℃程度の状態なので、
卵黄が半熟の半熟卵が出来上がります。
こうした卵への熱の伝わりによる状態の変化は
お菓子作りでも活用されます。
例えば、
●スポンジケーキの最初の泡立て●
-人肌に温める-
・スポンジケーキはジェノワーズで
7回に分けて書いておりますので良かったら→☆
●プリンの加熱●
-湯煎にあてる-
・プリンについての調理科学的な説明はこちら→☆
・すり混ぜの違いについてはこちら→☆
などがありました。
そして今回のナップの状態にする
「アングレーズ」です。
このアングレーズは、
お菓子作りの基本です。
基本なのですが、
火加減間を違えると
モロモロになって
失敗してしまうので
初心に戻りたいときにも
おすすめのものです(笑)
おごっていました・・反省
ナップの状態を別の言い方にすると
さざなみの状態と言うのですが、
煮上げているクリームに、
フーっと息を吹きかけた時、
さざ波が立つ
粘度のある状態を言います。
さて・・・。
先ほど上記で、
温泉卵のお話を書きまして、
卵黄がむっちりとして
[粘度]が出る温度は
65℃と書きました。
では一体
[凝固]してしまう温度は
何度だと思いますか?
これ・・
70℃なんです。
70℃を超えるとボソッと凝固してしまいます。
たった5℃
微妙ですよね~・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
さてここで突然ですが
なぞなぞです。
問題
◎あなたは今、トロトロクリーム状の
アングレーズソースを作ろうとしています。
アングレーズソースを作るには
ナップの状態(85℃)にする必要がありますが、
材料である卵黄は70℃でモロモロに
固まってしまいます。
さて、どうしたらモロモロにならず
トロトロのクリーム状にできるでしょう?
・・・・・・・・・・・・・・・・・
はい。
お気づきですね。
ここで良い働きをしてくれるのが
「ブランシール」です。
全体を85℃まで加熱しても、
ブランシールされた卵黄には
砂糖がすりまざり、
空気もすり混ざっておりますので、
クッションが入ることで熱は伝わりにくく、
モロモロになってしまうことが防げます。
卵黄には粘度をつけたいし、
卵の殺菌の為にも熱をつける必要がある。
でも、
その熱の伝わり方は
緩やかにしたい。
そのために!
最初のブランシール(すりまぜ)が
とても大切になるわけです。
さらに
熱を付けた牛乳を加えて弱火で煮上げることで、
不必要に水分が飛んで煮詰まることが防げる上、
卵黄は鍋で加熱されていることに気づかないまま
煮上げは順調に進みます。
あれ・・なんだかあったかいわ~
・・・・。
でもね。
はい。
聞こえます。
そもそも温度計持っていないし、
イチイチ測るって・・・
/
めんどくさ~い!
\
はい。
片手に温度計は正直面倒です。
そこで今回の
「ナップの状態」です。
ナップの状態を知っておくと、
片手に温度計で測りながらじゃなくても、
卵液に熱が入ってきているのが分かります。
百聞は一見に如かず
アングレーズの作り方を動画にしております。
スタートのボウルすりまぜの音だけ大きくて
びっくりさせてしまうのですが(直せず)、
大きい音は最初の方だけなので、
良かったらご覧下さいませ。
次回は、卵と熱の2回目
[卵白]との関係をお話しようと思います。
いつも読んで下さり
本当にありがとうございます☆
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お菓子作りA to Z
これまでの関連記事は↑こちらに
分かりやすいように
[用語編]
[菓子名編]
[素材名編]に分けて
[道具編]リンクを貼っております☆