謡曲「綾の鼓」ゆかりの地蔵尊 | 筑前由紀のプチトリップ

筑前由紀のプチトリップ

2024年現在、主に福岡県内をカメラ片手にうろうろ。
着物を着たり着なかったり
たまにバイクに乗ったり
季節の草花を見に行ったり
お寺や神社に行ったりしています。

福成神社の説明文


なお、神社の東方には、謡曲で有名な「綾の鼓」の舞台となった桂の池跡があり、謡の中に出てくる「源太老人」を祀ったといわれる地蔵尊が、神社の西側にたてられている。


これがその地蔵尊のお堂。

「陰陽地蔵尊」と書かれている。

 

お堂の隣の、そこまでは大きくない石が、源太の墓。

 

説明文には以下のように書かれている。


今から約1300年前、斉明天皇が朝倉橘広庭宮に遷られた頃、天皇にお供してきた女官に、庭掃きの「源太老人」が思いを寄せていた。しかし、身分の違いからこの恋は実らず、源太老人は「桂の池」に身を投げて自殺してしまった。


一方女官は、毎晩源太老人の亡霊になやまされ、とうとう気が狂い池に身を投げてしまったのである。そこで、源太老人の供養のためにこの地蔵尊がたてられ、隣には源太の墓がたてられたのである。


この地区では、毎年4月13日になると、源太老人の供養のためにお祭りが行われている。なお、現在、桂川にかかる橋名を「宮殿橋(ぐうでんばし)」といい、その横には「桂の池跡」の石碑がたっている。


「綾鼓」のストーリーは上記。

女がわざと綾を張った=鳴らない鼓を渡した事からこの題名。


お堂は小さいながらも、彫刻も天井絵もなかなか立派!

 

そしてかなり興味深いのが、綾鼓について書かれたこちらの地蔵尊略縁起。

源太老人は老人じゃなさそう(北面の武士)だし、お相手は女官ではなく斉明天皇の娘、橘姫だそうだよ。


源太、鳴らない鼓に気付いて「騙された!」って思って諦めたんだけど、夢に延命地蔵が出てきて「我を信仰すべし」って言ったそうな。

それで源太は仏像を彫り、完成したら即、池に身投げしたんだと⁉︎えっ…。

そしたら橘姫は望んでないのに池に身を沈めてしまったらしい。ええっ…。

これ、良いの?地蔵尊そんな、この世で一緒になれないから無理心中させるってそんな…。こわっ。


能では武士が老人に、皇女が女官に書き変わったんだなあ!ってのもあるけど、

この男女を殺したのは地蔵尊とも読めるこの縁起に驚いた私ですよ。


お話としては面白いよ。

恋心に付け込んで2人分の魂を奪った悪魔の話みがある。


でも地蔵尊なんだから、きっと、あの世で2人は仲良く幸せに暮らさせてくれているんだと思っておこう…。