フォレ・ノワールの原形を求めてドイツへ | 塚本有紀のおいしいもの大好き!

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フランス料理とお菓子の教室を開いています。おいしいものにまつわる話し、教室での出来事など、たくさんお届けします。
 

【フォレ・ノワールとシュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ】

 

 

アルザスのフォレ・ノワールは、もともとドイツのシュヴェルツヴェルダーキルシュトルテが伝わってきたもので、意味は「黒い森のチェリーのお菓子」。
アルザスのフォレ・ノワールも、「黒い森」の意味です。
もともとシュバルツヴァルト地方にはさくらんぼの木が多く、キルシュワッサーが名産であり、19世紀に作られた素朴なお菓子が原点なのだそう。
ドイツ菓子にしては軽くて繊細なため、フランスに取り入れられた、とウイーンのカフェの本で読みました。

ドイツ側ではいったいどんな味なのだろう!
とずっと思ってきました。

そこで今回のプチ旅行は、シュヴァルツヴァルト地方の北端にあるバーデン・バーデンにでかけてみました。
パリからストラスブール、
さらにドイツの急行列車みたいなので、乗り継ぎ。
バーデンバーデンの駅からはタクシー
というなかなかに遠くて、大変な旅。みなさんが同行してくださって、よかった〜。

 

 

さてめざしたのは、カフェ・ケーニヒ。
老舗の落ち着いたお店で、ケーニッヒというのはドイツ語で王様という意味なのだそう。
たくさんのお菓子の並ぶウインドーにちゃんとシュヴェルツヴェルダーキルシュトルテが!!
まずはお昼にビールとウインナーソーセージにじゃがいもを食べて満足し

いよいよさくらんぼのお菓子。
ココアのビスキュイにプレーンのビスキュイ、チョコムースにサワーチェリー、生クリームにチョコのコポーという構成です。
とても軽くて、びっくり!ふんわりチョコのムースにふわふわ生クリームです。
軽いとはいえ、ドイツのお菓子なのでしっかり甘くて、ちょっと重たいのかと思ってました。
おいしかった〜! 6.1€でしたが、このお菓子のためだけにここに来たので、相当に高いお菓子とも。

リンツァートルテに、アルザスと同じ復活祭の仔羊も売られていたので買ってみました。

バーデンバーデンはお風呂しかないよ、と聞いていましたが、たしかに静かな広い町のよう。
療養をされている人もたくさん見かけました。
とても静かで美しく、ハイジのお花畑のような光景も広がります。

パン屋さんによって、プチット・エポートル(ディンケル)のパンとライ麦パンを買ってきました。
正体不明のブリオッシュ的パンは、復活祭のうさぎのパンだそう!
どこをどうやったらウサギに見えるのか!?

なんだかとても満足してしまって、うっかり帰ってきてしていましたが、
チーズケーキのクアルク、買えばよかった。
町中まで歩いてみて、スーパーを探せばよかった。
「黒い森のどんぐりを食べて育った豚のハム」があるはずなのです。
しまった〜

そして、もう一つのしまった〜
は、結局どれが「黒い森」なのか、分からないままだったこと!
 

ドイツからの帰りに、ストラスブールに立ち寄りました。

帰りのTGVが取れなくて、とても遅い時間になるのです。

 



私がまず目指すのは、

「ネゲルでボベス」

 

何の暗号ですか?

と料理の生徒さん。

「ネゲルNaegel」は老舗のお菓子屋さん、

「ボベスbobesse」はドイツ系のお菓子の名前で、

シュクレ生地にレーズンを巻いて焼いた、ちょっと不思議なお菓子のこと。

 

30年前の記憶を頼りに、去年教室で作ってご紹介しましたが、

今回はその記憶が合ってるのか確認したくて🤔

そうそう、コレコレの味でした。よかった〜🥰

 

アルザスのタルト・リンゼールも買ってみました。ドイツなら、リンツァートルテです。ここのはかなりドイツのに近い感じ🤔

 

ストラスブールは大きくきれいな街で、お菓子屋さんもあちこちに。

アルザスのフォレ・ノワールにクグロフ、復活祭の仔羊も、その型の陶器屋さんも。

アルザスの小麦粉で作られたベーニェは独特の食感で美味しいものです。

 

「アルザスの地方料理が食べたい」との生徒さんのリクエストにより

じゃあ、この辺で〜

とたまたま入ったのが、1427年創業の老舗レストラン

Maison Kermmerzer

 

スペシャリテは3つの魚のシュークルート

これは食べてみないと!

 

サーモン、燻製タラ、カレイっぽい魚の3種。

周りに溶かしバターが回しかけてあり、想像よりもずっと美味しいものでした😋