かえるとビゴール豚で 9月の認定講座2日め | 塚本有紀のおいしいもの大好き!

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フランス料理とお菓子の教室を開いています。おいしいものにまつわる話し、教室での出来事など、たくさんお届けします。
 

9月の認定講座の2日目

 

【キャビア・ドーベルジンヌ】

キャビアといっても、茄子の種をキャビアに見立てたもの。

別名「貧乏人のキャビア」というくらいで、ほんとのキャビアにはほど遠いと思うのですが〜。

 

でも私のフランス語の先生は、目の色を変えるくらいに大好きみたい。

おいしいけれど、そこまで〜!!

 

ナスをオーヴンで焼いて、中身だけ取りだし、

オリーヴオイルやクミン、タイムなど混ぜて、ペースト状に。

 

モツアレラの小さいタイプ、ボッコンチーノとバジルのソースを添えて、

アミューズにしました。もちろん辛口の白ワインと一緒に!

 

【かえるのパセリ風味】

認定講座では、ベルナール・ロワゾーさんの有名な料理「カエルのもも肉、にんにくのピュレとパセリのジュ添え」を作りました。

きゃ〜凝視

最初は、ちょっと引き気味のみなさんですが、

だんだん怖いもの見たさの視線になり、

フライパンで焼くころには、すっかり「食材」の一つ。

「もう、大丈夫になってきた!」

 

かえるは足の部分だけが、6匹分1単位でやってきます。

もも肉だけにして焼きますが、もう30年くらい前の料理本には、1人前で一皿に12ピース乗っています。

でも今の時代はどうやら5ピースのよう。

5の意味って、何なのでしょう!? ちょっと不思議です。

 

実習はお一人に3匹6ピース分お渡ししましたが、

実際にうちで焼かれたのは、1ピースとか2ピース。

残りはお持ち帰りの方が多く、

「きっとご家族を驚かせたいんだろうな」と想像しています。

 

「何か言わないで、息子に食べさせてみます」とおっしゃる方も。

その前の日は、一人でほろほろ鳥のローストをぺろりと召し上がったそうです。

 

ご家族の様子を聞けるのは、心楽しい時間です。

 

【豚肉のシャルキュティエールソース】

 

大きなビゴール豚のロース肉を使いました。

ビゴール豚は、ピレネーのあたりの黒豚で、自然な環境の中でゆっくり育つそう。

脂肪がとても多いのですが、甘味があって脂身が不得意の私でもこれだけは食べられます。

 

固まりから丸ごとロースだけをすぽんと切り取って使うか、

あるいは骨一本毎にカットしていくか、

どっちにしたい?

訪ねると、やっぱり「1本ごと!」。

ならばやるしかありません。

 

背骨上の突起を落とすのだけは力がいりますが(でも1回目のレッスンでやってくれたのは可愛い女子。すごい頼もしかった!)、関節の切り離しは注意深く観察すれば、女子の力でも全然問題ありません。

みんなで、「包丁を入れるのはココ、いえいえこっち〜!」と教えあいながら賑やかに授業が進みます。

 

きれいな骨付きロース、あるいは骨付き肩ロースをフライパンで焼き、

玉ねぎとピクルスで作るシャルキュティエールソースで仕上げました。

酸味がはっきりしていて、夏でもOKな料理です。

 

骨付き肉は格好いいのですが・・・

火入れがなかなかに難しく、部位によっても焼ける速度が違っていて、手こずらされました。

そして当たり前ですが、ロースと肩ロース、その間では、味も食感も油脂の加減も全然違っていて、おもしろいけど難しい

 

でもみなさんのお顔には、大きな肉の塊と格闘しおえた自信みたいなものが漂っているような!

 

 

 

デザートは

【お米のデザート、リ・オ・レ】

 

 

お米を牛乳で煮て、砂糖を入れたリ・オ・レは、

最初は日本人的には「何なの〜、これ!!」な味。

(口に入れた瞬間に、喉がしまってしまって食べられない方も若干いらっしゃいますが、これも致し方なし。ちょっと理解できます)

慣れるとおいしいもの。お米のバニラ味もなかなかです。

でも。考えて見れば、牛肉に砂糖をかけて煮込むすき焼きも、かなり妙な料理ではないでしょうか。

 

フランスではお米は素材の一つにすぎないので、お米サラダと一緒にパンを食べるし、デザートであってもおかしくない。

レストランでも出てくるし、家庭用に4連プリンみたいなカップ入りタイプさえスーパーに売られています。
お菓子には、日本のお米ジャポニカ種と同じ丸米が使われ、
フランスでは南のほうのカマルグで生産されています。
 

 

お米に牛乳と砂糖って、どうなの〜!?というお顔の生徒さんを前に、

「食は経験が大切!」と強引に授業を進めます。

じつは亡くなったビゴさんがよくおっしゃっていた言葉です。

子供の頃からいろんなものを食べるようしつけられた人は、未知の食べ物でもけっこう食べられるものだし、少なくとも「食べてみよう!」と思うことができるから。

 

私が付け足すなら、「最初はちょっとつらい食べ物も、嫌いと決めつけずに、10回食べてみたほうがいい」。

それでも嫌いなら、それはようやくほんとの「嫌い」。

最初は涙目で赤ワインで流しこんでいた仔羊も、価値がよく分からなかったフォワ・グラも、すっぱすぎたフランボワーズも、いまでは私の大好物です。

嫌いなものは一つでも少なくて、おいしいものが多い人生のほうが、はるかに楽しいですから!

 

 

デザートもう一つは、昨日仕込んだプリン

【クレーム・カラメル】

牛乳だけで作り、24時間寝かせます。

ふるふるプリンは過去にもう散々やってきたので、

最近はすっかり、ビストロ的ながっしりプリンに戻っています。

 

ただどうすれば作り分けられるか、また固さによる味の感じ方の違いなど、

考えるべきポイントは満載。

プリンはなかなかに奥深い存在です。