パリで見つけたもの 瓶詰め | 塚本有紀のおいしいもの大好き!

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フランス料理とお菓子の教室を開いています。おいしいものにまつわる話し、教室での出来事など、たくさんお届けします。
 

2010年12月
パリのデパート、ギャルリー・ラファイエットで見つけました。


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チーズ用に作られたジャムです。
題名は「エスプレット産唐辛子入り、ブラックチェリーのジャム Confit de cerises noires au piment d'Esperette」
その上には「チーズに合わせるための」との但し書きが付けられています。
エスプレット産唐辛子とはAOP(原産地保護名称)のついた上質の産品で、マイルドな辛みを持ちます。しかし唐辛子の入ったブラックチェリーのジャムって!?
たしかにブラックチェリーのジャムなのですが、あとから少しぴりっとします。おもしろいですし、悪くはないのですが、だからといってジャムとして「ものすごくおいしい!」というほどのものでもありません。
ところがこれとチーズを合わせてみると・・、「おいしい!」に大変身。
添えたのは山羊のチーズ「サント・モール・ド・トゥーレーヌSainte-maure de Touraine」のサンドレsandreです。シェーヴルの酸味を上手にジャムの甘みが緩和し、唐辛子がほんのすこしアクセントを与えます。すごいなあ、なるほどなあ・・と言わざるをえません。チーズに合わせるためだけのジャムが作られているなんて、やっぱりフランス。


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同じくデパートで。
フランスには、たくさんのマスタードのバリエーションがあり、ついつい買ってしまいます。
日本にはない種類のものがじつにたくさんあるのです。
これは「パプリカとにんにくとオリーヴ油」風味、奥の瓶は「プロヴァンスのハーブ」風味。
マスタードとは黄色いディジョン風も粒マスタードもそれだけで完成形であり、これが素材と合わさることで、素材をより一層高めることができる存在である、と思います。だからマスタード自体に他の風味を入れる必要はないのではないか、とつねづね思うのです。にも関わらず見かけるとつい買ってしまうのは、やっぱり楽しいから。
料理講座のアミューズに使いました。人参や大根、きゅうりなど野菜スティックにつけてみました。パプリカ味は、なんだかどこか懐かしく、若干のジャンキーな味も。でもじつはこの製品にはABマークとecocertマークがついていて、つまりビオの製品なのです。なのにジャンキーとは! それが何なのか、考えても考えても思いつきません。
そのうち一人の方が
「昔のホットドックにかかっていた、黄色いマスタードかな?」
そうそう、近付いてきた。
私がひねり出した結論は、「おでんのだしにとけかけた黄色いマスタード」。つまりいろいろな複合の旨味成分が合わさったマスタードなのではないかということです。ビオのパプリカやにんにくがかもしだしている旨味がおでんに似ていたとは・・。
しかし先日のトリュフを使った講座のときに、出た意見は・・
「磯自慢のにおいがする!」。
結構みんな納得しましたから、香りとは不思議なものです。しかし一つの食べ物の香りは、何百もの芳香成分から成ると聞くので、これは私はとてもあたり前の事柄だと思っています。

他にも前から興味があるマスタードがあります。
「赤い果物のマスタードmoutarde aux fruits rouges」
赤い果物とはフランボワーズやらいちご、ブルーベリーやカシス、ブラックベリーなど。赤紫あるいはピンク色のマスタードで、味もなにやら想像できそうですが・・怖くていまだに買えません。合わせるべきものに絶対に困るハズ。でも買いたい・・。