フランスのプッチンプリン | 塚本有紀のおいしいもの大好き!

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フランス料理とお菓子の教室を開いています。おいしいものにまつわる話し、教室での出来事など、たくさんお届けします。
 

パリではずっと前から、国民みんなが知っているような国民的なお菓子を、わざわざ上等のレストランのシェフやMOF(フランス最高名誉職人賞)のタイトルを持った人たちが自分の作品に使うという、一種のお遊びのようなことが流行っています。

一番最初に知ったのは、アラン・デュカスのレストランです。もう6年も前のこと。メニューを眺めていて、デザートに
「自家製ミカドMikado fait à la maison」という文字を見つけました。
フランスでミカドといえば、日本のグリコのポッキーのこと。スーパーで普通に売られているパッケージには、ポッキーの絵と日の丸のような赤い丸が描かれています。
まさか、グリコポッキーをアラン・デュカスがお皿に載せる!?
でもサービスの人に説明を聞いてみると、どう考えてもそれはポッキーのことのよう。これはもう実物を見るしかないと思い、注文してみることに。でてきたのは、たぶんシュクレ生地を細長くポッキー状に焼いたもので、傍らにはチョコレートのフォンデュが添えられていました。その遊び心を、おもしろいなあと思いました。もちろん3つ星ですから、生地もおいしく、チョコレートも上質です。

それからよくこんな遊びに登場するものとして見聞きするのは、
カランバーcarambar
やタガダTagada
など、国民的なお菓子です。
$塚本有紀のおいしいもの大好き!-カランバーとタガダ
カランバーはキャラメル・ショコラテcaramel chocolateで、チョコレート味のキャラメル。包み紙の中には小さいクイズが入っています。つい先日も東京在住の通訳の方から、「フランス人のMOFのシェフが、東京でするお菓子のデモで使う」と聞きました。マカロンに詰めるクリームに変身させたのだとか。


$塚本有紀のおいしいもの大好き!
パリのコルドンブルーのデモでも、カランバーはアイスにチュイルにと大変身。
パトリック・テリアンシェフによる、「洋梨のエトゥフェ、キャラメル風味 パンデピスのボストック添えPetite poire cuite à l'etouffée au caramel, bostock au pain d'épice et glace carambar」



タガダはハリボー社のお菓子ですから、グミです。それにしても、ものすごいピンク! パッケージには天然着色料のみとは書かれています(カルミンとカロテンによるもののようです)・・・。
今回初めておそるおそる食べてみましたが・・・、「明治屋 かき氷シロップ」を彷彿とさせる、懐かしい味です。食感はグミとマシュマロの間くらい。子供が大好きそう!


こちらはネスレ社のフランビー Flanby
$塚本有紀のおいしいもの大好き!-フランビー
バニラ風味のフラン(プリン)です。味は、まさしく日本のプッチンプリンを濃くして、食感も少し固くしたような感じ。それにしても子供向けの香料は日本もフランスも似たような感じとは、びっくり。

フランビーは、フランス料理の中ではこんな風に変身します。
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これはクリフトフ・ルールChrisophe Roureシェフの料理講座で教わった「低温火入れのフォワ・グラのプレッセ トンカ豆風味のフランビーBarette de foIe gras mi-cuit, Flanby à la fève de tonka」を授業で作ってみたもの。こうなるとまったくもうほんとのフランビーではないのですが、わざわざフランビーなんて名前をつけるなんて、その遊び心には感心させられます。日本に置き直せば、「山椒風味のプッチンプリン!」みたいな感じでしょうか。
きっとみんなの心の中にある、子供時代への郷愁をいたく刺激するのでしょう。