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庭に置いていた植木鉢が割れた。
割ったのは、息子のお友だちである。
停めたはずの自転車を倒して、鉢にぶつけてしまったらしい。
彼は当初、「鉢が割れてるよ」と無関係を装い私に知らせたのだが、状況的に彼がやったとしか考えられなかった。
それで、少し話をしていたらそのうちに、「ぼくかもしれない。ごめんなさい」と言ってくれた。
隠したくなる気持ち、よく分かる。
私は別に、彼を責めたいわけじゃなかった。不審者によるイタズラではないかを確認したかっただけだった。
彼の話を聞く限り、誠に不運な事故という感じだった。
次からは、そっちじゃなくて、こっちに自転車置くようにしてね、と話して終えた。
そしたらその子は、まったく怒らない私に心から驚いた様子を見せた。
めちゃめちゃ怒られると覚悟したらしいのに、拍子抜けしたようだった。
そして彼は言った。
「ゆきん子くんのお母さんは、もっと恐った方が良いよ」、と。
怒らないと、子供は正しく育たないよ。ゆきん子くんのことも、ちゃんと怒ってますか?と。
そう、鉢植えを割ったこのお友だちとは、以前の記事に登場したあの男の子である。
私はお会いしたことがないのだが、彼のご両親はとにかくよく怒る人らしい。
少しのことですぐにめちゃくちゃに恐るので、彼は怒られながら吐いたこともあるという。
それでも、「親はそんな風にして子を育てた方が良い子に育つ」というのが、悲しくもこの男の子の主張である。
これまで、長い間ずっと、彼の話をただ聞くだけにしていたが、今回私も初めて意見を述べた。
「うちの子は、そんないきなり恐らんでも、注意したら、大体分かってくれるで。
2回、3回と続けば恐るけど、ほんまに恐るべきようなことって、日常にそんなに多くはない。
(鉢植えを割った)キミかて、こうして話したら、いつも、なんでもちゃんと分かってくれてるやん。
そんなガミガミ言わんと伝わらん、なんてこと今までに無かったやん。
うちの子も、キミも、他のお友達たちも、この4年間ずーっと、みんな言えば分かってくれたで。
ほんまにめちゃくちゃに恐らなアカン時って、普段、そんなに無いと思うねん。」
いやいやいや、って言われるかなと思ったら、「そういえば、 そうだなぁ」って、彼にもちょっと分かるところがあるような感じだった。
その反応もまた、 私には意外だった。
彼も心のどこかで、「そんなに怒らなくったって分かるのに」と感じることが、日頃あるんだろうか。
鉢が割れたのは悲しいけど、悲しいことと、怒鳴ることとはまたちがうねん。
わざとやったのか、ちょっとした事故やったのか、そういう状況判断をして、注意の仕方や気持ちの伝え方を変えられるのが、大人やねん。
キミらはもう4年生で、みんな賢い。
やから、ガミガミ恐らんでもちゃんと分かってくれてるなって、オバチャン(私)はいっつも思ってるで。
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