公園にて、息子が投げたボールがあらぬ方向へ飛んでいった。

 

「おかあさーーん!ボール取ってー!」

 

と言われたので、日陰ベンチに座っていた私は、え〜とかいやだ〜とか言いながらそのボールを投げ返した。

 

 

その様子を見ていた、別の子に聞かれた。

「ゆきん子くんのお母さんは、ゆきん子くんに対して優しいですか?」と。

 

どうだろうなあと考えて、ボール遊びから戻ってきた息子本人に聞いてみた。

「私って優しいかな?」

すると息子は、優しい優しい、と言った。

 

 

そうしたら、息子の前で、私はその子に諭されたのだ。

「ゆきん子くんのお母さんは、もっと自分の子を怒った方がいいですよ」と。

 

 

怒ったら怒った分、子育ては成功しますよ。

怒ったら怒った分、子どもは良い子に育ちます。

優しくしてたら子供がダメになりますよ。

もっともっと子どもの事を怒らないと。

怒ったら、ちゃんと僕みたいな天才に育ちますよ。

 

 

このように、息子と同じ学年の、小学3年生の男の子に諭された。

 

あまりの衝撃に、彼の一言一句が頭に張り付いて離れなかった。

 

 

 

 

その子のお母さんは、毎日家でめちゃくちゃに怒る人らしい。

 

ずっと怒られてるのって辛くない?と聞いてみたら、

「そのぶん僕みたいにちゃんとした良い子が育ちますから、とにかく親は怒らないとダメです」と彼は言い切った。

 

 

怒らなくても、子どもは良い子に育つもんだよ。どんな子どもだってそうだよ。

 

って私は言いたかったけど、ずっと怒られ続けている小学3年生にそういう話はしないほうがいい気がして、相槌を打ちながら聞くにとどめた。

 

 

夏休みの昼ごはんは、小学3年生の彼が毎日作っているらしい。

夏休みの宿題はもう全部終わっていて、先日もらった通知表は全部◎だったらしい。

中学生向けのテストを受けたら、それも全部100点だったらしい。

 

本当か嘘かはどうでも良い。

そういう話を、お友達の母親にも一から十までせねばならないほどに追い詰められているのではあるまいなと、なんとも言えない不安定な空気を感じた。

 

 

 

 

 

それから数日後、某ショッピングセンターにて、近所に住んでいるまた別の、小3男子に遭遇した。
 
軽く挨拶したところ、彼はとっても怒っていた。
あんまりイライラしている様子だったので事情を聞くと、こんな話だった。
 
 
お父さんがパン屋で好きなおやつを選んでいいというから、ウインナーロールを選んだ。
そうしたら、ダメだと言われた。
 
それは惣菜パンだから、もっと他の、メロンパンとかチョコパンとかの甘いパンにしろって言われて、ドーナツにさせられた。
 
「僕、甘いパンが嫌いやねん。食べたら気持ち悪くなる。だから大好きなウィンナーパンにしたのに、なんでダメやねん!」
 
 
めちゃくちゃに怒っていた。
 
でも、私に勢いそのまま話したことでどうも怒りが収まったらしく、その後彼は笑顔で父親のもとへ駆け戻って行った。
 
 
 

 

 

親子の関わりの中で、親がどうしようもなくイライラすることがあるように、子どもにも子どもなりの怒りや悲しみや、名前をつけられないようなぐちゃぐちゃした気持ちというのが渦巻いているんだと思う。

 

そういう複雑な感情も、大人なら自分なりの解消の仕方を持っている。

対して、家か学校かしかない子どもが、激しい感情のたかぶりを自分だけで落ち着かせるのは、思う以上に難しいことなのかもしれない。

 

 

親に直接不満をぶつけられない子が、友達とか、友達のお母さんとか、全然違う第三者にこぼすことでふと落ち着く様子を、この数年で時々見かけることがあった。

 

もしかしたら私の息子だって、私が知らないところで、私以外の誰かに、何かをこぼすことがあったかもしれない。

 

 

 

 

怖いのは、親はもちろん、友達にも、近所のおばちゃんにも、先生にも、とにかく誰にもこぼせないまま、嫌な気持ちが子の心の中に蓄積してしまうことだ。

 

 

毎日家で母親に怒られるお友達は、「お母さんが恐いおかげで僕は天才だ」とその後も私へ度々言ってきた。

 

これが彼なりの吐露かもしれないから、それを聞いた第三者の大人は「それは違うんじゃないか」と討論するんじゃなくて、そうかそうかと、ただ聞いてあげたら良いんだろう。

 

否定せずに話を聞いてあげるだけなら今の私にもできるかと思って、怒ってばかりだけれど大好きなんだろうお母さんの話を、彼から時々受け取っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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