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The Sence of Wonder

呼吸器医として、喘息・結核の診療の傍ら、卒煙支援もしています。
二児の母として、妻として、医師として・・・
日常のほんのちょっとした Sense of wonder を発信しています。

今日は雨水。雪がとけて雨になり、農耕の始まる日。
先日春一番も吹いて、春はもうすぐそこまで来ています。

今日は薬局と禁煙支援のお話。

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1日より東京都港区が
Tobacco-Free社会に向けた環境づくり」の一環として
「禁煙支援薬局」の取組みをスタートさせました。
http://www.city.minato.tokyo.jp/release/list/200902/090212minatoku_kinensienyakkyoku/index.html  


女医・ゆきみんと先生の診察室から
私事ながら、以前在職する地域の薬剤師さんの集まりで

禁煙支援における薬剤師さんのかかわりについて
お話しさせていただいたり、
薬科大学で、学生さんを対象に
タバコについての授業を担当させていただいたりして、
薬剤師さんの禁煙支援への役割について
大きな期待を寄せています。

禁煙したい人は多いですが、
わざわざ病院(禁煙外来)に行ってまでは・・という方がほとんど。
身近な町の薬局で禁煙の相談ができれば、
禁煙も、もっと身近なものになるはずです。

ニコチンパッチも昨年より薬局で販売するようになりましたが、
店頭にたただ並べて売っているというところが多いようです。

私の禁煙外来にも、ニコチンガムを使って挑戦したけれど
うまくいかなかったという方が多くこられますが、
よく聞くと、たいていの方が間違った使い方をしています。
(普通のガムのように噛んでしまっては効果がないため)

ニコチンガムも、パッチも、上手に使えば
禁煙をある程度、軌道に乗せることができますが、
適格なアドバイスがなしに使いこなす事は、案外難しいのです。

販売する薬局で、禁煙の挑戦を褒める言葉や、励ましとともに、
禁煙補助薬の正しい使用方法、副作用、禁煙の今後の見通しなど
薬剤師さんが、もうすこしきめ細かく対応してくれていたら、
結果は違っていたのでは、と感じることもありました。
(まあ、ドラックストアなどでは、難しいでしょうけれど)

国内でも、鹿児島、大分、和歌山、奈良、愛知、宮城県など、
薬剤師会で「禁煙支援(指導)認定薬剤師」制度をつくったり、
「禁煙支援(サポート)薬局」を認定したりして、
活躍される薬剤師さんが増えてきています。

禁煙の相談、薬の使用法、副作用、禁煙継続のサポート
禁煙日記を使った双方向のやり取りを行なっているところもあり、
今後、ますます薬局における禁煙支援の取り組みが注目されます。

まだまだ、薬局内でタバコを販売していたり、
調剤薬局の入り口に灰皿が置かれていたりと、
薬剤師会の「禁煙運動宣言」とは裏腹な薬局も目につきますが、
今後、このような取り組みが全国的にも広まり、
身近な薬局で気軽に禁煙サポートが受けられるようになるといいですね。

くしくも、1978年の今日(218日)は
東京で「嫌煙権確立をめざす人々の会」が設立された日。
それから31年。ずいぶん世の中は変わってきたように思います。
あと30年後には、Tobacco-Free社会が確立して

会も解散されているかしら・・・。



今日は節分、そして明日は立春。

子供がいると、季節の行事がとても身近に感じられます。
今日、保育園で保護者会があり、
節分の由来について子どもたちにした説明を聞きました。
実は、私も知らなかったので、とても興味深かったです。

節分は、元は、中国の陰陽五行の厄払いの儀式。
昔は、立春の前日だけでなく、
立夏、立秋、立冬の前日にも行なっていたそうです。

陰陽五行では、十二支は方位、時間、月などを表していて、
ちょうど、丑(1月、北北東)と虎(2月、東北東)の間が
鬼の出入りする方角で、「鬼門」とされている。
そして、鬼は、丑寅(午前24時)に北東からやってくる。

鬼は、霊力のある炒った豆、いわしを焼く匂いと煙、
別名「鬼の目突き」のギザギザのヒイラギの葉っぱが大の苦手。
それで、ヒイラギの枝に刺したイワシの頭を飾って、豆をまいて
魔よけにして鬼を祓うということです。

「だから、鬼の角は牛(丑)の角、パンツは虎柄なんですよ~」と
言われて、ふーん、なるほど~。
桃太郎がお供に連れて行く雉(酉)と猿(申)と犬(戌)は
鬼門のちょうど対局にあたる干支なんですって。

節分が近くなると、鬼が出てくる絵本が人気ですね。

私のおすすめは・・・
「ふくはうち おにもうち」(岩崎書店)

女医・ゆきみんと先生の診察室から

「十二支のおはなし」シリーズでおなじみ、
内田 麟太郎さんと山本孝さんコンビのとても楽しい絵本。
関西弁のおかみさんが、なんともいい味だしています。
内田さんらしい語り口で、優しい気持ちになれる一冊です。

地域によっては、よい鬼が祭られていて
実際に「ふくは~うち、おにも~うち」と豆まきするところも
あるようですね。

私の子供のころの豆まきの「豆」は、
落花生とフルヤの「ウインターキャラメル」。
終わった後、キャラメルを食べるのが何よりの楽しみでした。

毎年、鬼の役をしてくれた父。
空の向こうから、私たちの豆まきをみていてくれるかしら・・。

大寒も過ぎて、暦の上ではもうすぐ立春。
春の便りもそばまで来ていますが、寒い毎日が続きますね。

今日は久々に、仕事のお話。

昨日(128日)の朝日新聞で、新潟県十日町市の
禁煙授業について大きく取り上げられていました。
12
歳、14歳、16歳と計三回にわたって、
喫煙の健康被害についての授業を受ける
「M12/14/16プロジェクト」です。

多くの大人が、未成年のうちにタバコを吸い始めていますが、
最近、特に、喫煙開始の低年齢化が問題となっていて、
ある調査では、小学生の7・2%に喫煙経験があり、
そのうち15・9%が初めて吸ったのは入学前(つまり幼児)と
報告されています。

日本小児科学会の「小児期からの喫煙予防に関する提言」にも

「喫煙予防の教育は幼児期から始めることが望ましく、
 家族への喫煙予防の教育も合わせて行うことが望ましい。(中略)
 喫煙予防の教育は学年に応じて健康教育の一環として
 毎年繰り返し行うことが望ましい。
 同時に教職員など学校関係者自身も禁煙に努める必要がある。」

とあります。(http://www.jpeds.or.jp/saisin-j.html

家族を含め、私の周りには喫煙者が誰もいないのですが、
娘が2歳の頃、短い棒のようなものを口にくわえて
「たばこ すってるの~」と言ったことがあって
本当に驚きました。そのときの事は今でも忘れません。

子どもたちは大人をよく見ています。そしてまねをします。
だからこそ、できるだけ小さいときから、
タバコついて、繰り返し聞いて
考えてもらう必要があるのだと思います。

禁煙支援者が集まる会でも、このところ、
喫煙防止教育のあり方について、ただ行なうのではなく、
より質を高めるための議論が深められています。

先日、某市で小学6年生を対象とした禁煙教室の様子を
見せていただきました。
大勢の子どもたちが、真剣に講師の話に聞き入っています。

話の流れは、喫煙による健康被害、依存症という病気について、
タバコの本当の姿とそれを売る企業の戦略・ターゲットについて、
タバコを勧められたらどう断るか、
最初の一本を吸わない事がとても大事、
そして、家族や友だちで吸っている人には
(大切な人だから)「やめて欲しい」と伝えよう、
とすすんでいきます。

最後の質疑応答で、子どもたちから出た質問。
「そんなに悪いものなのに、どうして売っているんですか?」
「いい質問ですね。よくぞ、聞いてくれました」と講師。

子どもたちにタバコについて話して、
この質問が出なければ、その講義はむしろ失敗といえるでしょう。

子どもたちは、どのように考えているのでしょうね。
答えは1つではないはず。

タバコがやめられない依存症の大人のため、
財務省というところが税金を集めるため・・・など。

皆さんなら、どんな風に答えるでしょうか。

講師の最後の言葉。
「ここにいるみんなが大人になったとき、
どうしてこんなものを売ってるのか、という気持ちをもちつづけ
国や政府に、売らないようにって働きかけたら、
いつか、きっとタバコはなくなると思うよ」

子どもたちの未来のために、
喫煙予防の大切さを改めて感じる、このごろです。

女医・ゆきみんと先生の診察室から

第5回「子どもに無煙環境を!」キャンペーンポスターより。