特別会計について(令和6年度予算総括質問④)
薬剤師会等と連携した医薬品不足対策について
Q41:国民健康保険特別会計は、給付の適正化に努めてきたが、ジェネリックについては、深刻な医薬品不足が続いており、使用割合80%という国の目標達成どころではない状況。
被保険者の医療費負担の増大に関する相談や薬の変更による飲み忘れ防止の啓発などについて、区内薬局及び薬剤師会等とどのような情報交換を行っているか。
今後、保険者として東京都と連携して行っていくべき支援などあるか。
A41:複数の受診記録や処方薬がある被保険者を対象に、適切な服薬で健康を守るための「お薬相談通知書」を文京区薬剤師会と連携し送付している。
東京都では、各区市町村の服薬事業をモデルケースとしてとりまとめ、共有していることから、必要に応じて次年度の事業実施において参考としている。
介護保険制度改正の影響について
Q42:文京区の当初予算への令和6年介護保険制度改正の影響、そして被保険者及び事業者への影響について詳細を伺う。
A42:来年度予算については、執行状況に応じて、適切に予算措置を講じていく。
事業者については、介護職員の処遇改善加算が一本化され、実質的な賃金の引き上げになることや、認知症へのチームケアを実施する施設への加算創設、特別養護老人ホームや介護老人保健施設等における協力医療機関との連携体制構築のための加算見直しなどにより、増額となることが期待される。
被保険者については、介護報酬改定に伴い、利用者負担分が増加することが見込まれるが、サービスの質の向上や人材確保が期待でき、安心してサービス提供を受けられる基盤づくりが推進されると考えている。
介護保険特別会計における施設介護サービス費について
Q43:令和6年度は施設介護サービス費が前年度に比べて3300万円ほど減となっている。その内訳と要因を伺う。
A43:介護老人福祉施設サービスでは、利用見込み人数及び金額が前年度比で減となることから約1億7800万円の減、介護老人保健施設サービスでは、利用見込み人数及び金額が前年度比で増となることから約1億4400万円の増となっている。
介護老人福祉サービスについては、給付実績がここ数年横ばいとなっているが、5年度当初予算では、前年度実績見込みに一過性の伸びが生じ、予算見積もりが上振れする結果となり、6年度当初予算ではこれを是正したことが減額の要因と考えている。
旧区立特別養護老人ホームの経営状況について
Q44:旧区立特別養護老人ホームがおかれている経営状況について、分析と今後の対応方針を伺う。
A44:各法人より毎年度実績報告を受け、運営上の課題についても共有しているが、施設稼働率や人件費負担などの影響を受け、収支状況は引き続き改善が必要であると認識している。
このため、施設稼働率の改善に向け、特別養護老人ホーム入居指針の見直しに取り組むとともに、今般改定された介護報酬や、都の介護職員・介護支援専門員居住支援特別手当事業の影響も見極めつつ、引き続き必要な支援について、運営法人と協議していく。
終活支援等と看取りを意識した在宅サービス基盤整備の展望について
Q45:令和6年度のアドバンスケアプランニング(ACP・人生会議)、ユアストーリーなどの終活・終末期支援、24時間在宅ケアビジョンで示された看取りを意識した在宅サービス基盤整備の展望を伺う。
A45:昨年、東京大学高齢社会総合研究機構の協力を得ながら公表した「24時間在宅ケアビジョン」では、日本の高齢者人口がピークに達する2040年に向けて、看取りまでを見据え、切れ目なく在宅医療・介護を提供できる体制を構築することを掲げており、このビジョンを参考に取り組みを進めていくこととしている。
よりよい療養のためには、健康や終末期について自分ごととして捉え、その人自身が大切にしていることや受けたい医療・ケアについて、身近な人と話し合うプロセスが必要。
そのため、今後も様々な機会を捉えて、人生会議(アドバンス・ケア・プランニング)の普及啓発を図っていく。
文京ユアストーリーでは、身近に頼れる人がいない高齢者が、人生の最後まで自分らしく安心して暮らせるよう、社会参加支援、定期連絡・訪問を行うとともに、終活等に必要な支援を行っていく。
来年度は、医療・介護など多職種間で顔の見える関係づくりや、地域の専門機関と連携した区内看護職・介護職の看取りケアスキル向上などについて、新たにワーキンググループを設置し、具体的な取り組み等を検討していく。
第9期の介護保険料について
Q46:地域福祉保健計画への区民意見では、介護保険料の負担軽減を求める声が複数あった。
私たちは、第9期の高齢者・介護保険事業計画における介護保険料について、介護保険準備基金の投入による軽減を要望してきた。
3年間で(基金を)約10億円を繰り入れる予定で、(保険料が)87円アップの6,107円となったことについて、区民理解を求めるため、検討の経緯と積算根拠を伺う。
A46:第1号被保険者の介護保険料については、第9期計画期間中における介護給付費見込みや高齢者人口推計等を基に、基準額を算出しており、「中間のまとめ」時点では、介護給付費見込み額を500億3000万円と積算し、基準額を6,657円と算定していた。
最終案では、国が示す報酬改定の影響額1.54%分を追加した介護給付費見込み額を508億円と積算し、6,620円と算定した。
この額に対し、第9期の介護保険料の急激な上昇を抑制することや、今後3年ごとに改定される介護保険制度の運営に支障を生じさせないことを考慮して、10億円を介護給付費準備基金から活用し、次期介護保険料基準額を6,107円と算定した。
歳出について(令和6年度予算総括質問③)
職員数等と執務スペースについて
Q23:職員数の増加に伴って、執務スペースが狭くなっていることが課題となっている。よりいっそうDXをすすめるとともに、フリーアドレスなど、執務スペースを効率的に活用する方法を検討するべきと考える。
また、特にシビックセンター内については聖域なく効率的で公正なスペース活用を進めていくべきと考えるが、方針を伺う。
A23:執務フロア―においては、職員の執務環境の改善はもとより、DXの推進による事務の効率化や窓口業務による利便性の向上、ペーパーレス化の推進やフリーアドレスの導入による柔軟な働き方のあり方など、様々な視点からの見直しの検討が必要であると認識している。
シビックセンター内については、現在、シビックセンター改修基本計画に基づき、執務フロア―の配置の見直しに関する検討を行っている。引き続き、様々な視点を踏まえた対応を検討していく。
シビックセンター内外の委託に係る人数について
Q24:物件費に含まれて、委託等で働かれている定数外の人員は何人か、そのうち、シビックセンターで働かれている方の人数は何人で、十分な執務スペースが確保されているか。
A24:区全体の委託に係る人数は把握していないが、シビックセンター内で働いている委託に係る人数は、本年度5月時点で106人。
職員一人当たりの執務面積がシビックセンターの建設当時と比較し、著しく低下していることから、会議室を執務室に活用する等の対応を行い、執務スペースの確保に努めている。
ペットの同行避難について
Q25:ペットの同行避難については地域防災計画の修正に合わせ、避難所運営ガイドラインの見直しを進めていくとされているが、進捗状況を伺う。
A25:区では、避難所へのペットの同行避難に関する基本的な考え方や、平時からのしつけの重要性について、ホームページ等で周知啓発に取り組んでいる。
現行の避難所運営ガイドラインでは、ペットの同行避難について、飼い主の避難スペースとは別の場所を確保するなどの一定のルールをお示ししている。
地域で行われるペットの同行避難訓練等も参考に、避難所でのペットの受け入れについて、ペットの状況に即した対応やペットの同行避難への関心の薄い飼い主へのアプローチなどの課題があると認識したところ。
今後、避難所運営ガイドラインを見直す中で、避難所でのルール等を再度整理し、飼い主に対してわかりやすく周知していくよう取り組んでいく。
災害時のデマ情報等への対策について
Q26:近年、生成AIにより作成されたディープフェイクなどの高度で精巧なフェイク画像等が登場している。区は既にデマ・フェイク情報等をチェックするシステムを導入しているが、能登半島地震でも課題とされたフェイク情報対策を強化していく必要があると考えるがいかがか。
A26:現在、災害情報システムでは、SNSなどの投稿から地域の災害情報を取得する機能を備えている。
その際、AIの解析等により、デマやフェイク情報等のチェックを行っている。
具体的には、画像や動画に加工された形成がないかを確認するとともに、投稿者のアカウント開設時期や普段の投稿傾向、公的機関が発信する情報や地理的特徴等を複合的に確認するなど、情報の正確性を確保するための対策を講じている。
引き続き、災害発生時は、区民に対して、区の災害対策本部からの正確な情報をタイムリーに提供していくよう努めるとともに、デマ情報やフェイクニュースへの注意喚起と公的機関から発信される正確な情報を取得するよう周知していく。
コミュニティ支援強化のための地域活動センターの役割について
Q27:町会・自治会におけるコミュニティ活性化支援補助事業をレベルアップし、インセンティブをつけた町会支援に乗り出すが、一部の町会では組織力が想像以上に弱まっており、補助金を活用する余力すらないところも多い。
町連ごとに補助事業の申請状況をチェックし、補助金を使う力のない町会を洗い出して、バックアップする体制が必要。コミュニティ支援強化のための地域活動センターの役割をどのように考え、地域支援につなげていく予定か。
A27:コロナ禍以降、「町会・自治会事業補助金」の活用実績が町会・自治会に対して、その町会・自治会が抱える個別課題の解決のために、イベント再開に向けた相談や掲示板の設置申請補助等、様々な支援を行っており、今後も、地域活動センターを通じて、積極的な地域支援に努めていく。
文京ソコヂカラの組織横断的な活用について
Q28:区内店舗に対し環境等に配慮したサステナブルな取り組みと消費者還元を組み合わせ支援していく予定だが、他にもハッピーベジタブルや交流都市食材費補助等についても、一元的に飲食店向けのプッシュ型情報発信を行うため、文京ソコヂカラのプラットフォームを組織横断的に活用していくべきと考えるが、いかがか。
A28:今後、ハッピーベジタブル事業を始め、区内商店が関連する区の事業については、関係部署と連携し、サイトでの紹介や文京ソコヂカラLINE等による発信を行うなど、積極的な周知を図っていく。
大学発スタートアップ支援拠点等との連携について
Q29:東大周辺の本郷地域におけるインキュベーションの拠点づくり、旧元町小跡地に整備される(仮称)元町ウェルネスパークに入居予定の順天堂大オープンイノベーションプログラム“GAUDI”や東京大学共創プラットフォーム開発(東大IPC)などの大学発インキュベーションプログラムとの連携など、今後の方向性を伺う。
A29:現在、区内では東京大学、順天堂大学、東京医科歯科大学等、様々な大学を中心としたスタートアップ思念拠点の整備やプログラムが進められている。
区内における多様な総合をさらに促進し、地域経済の活性化を図るためには、区内大学との連携を進めていくことが重要と認識している。
本年度は、順天堂大学AIインキュベーションファーム主催のイベントに区職員が参加し、区の様々な総合支援施策について説明するなど、区内スタートアップに関する情報共有を行っている。
今後も、最新のスタートアップの動向を踏まえ、区内大学等との更なる連携や企業のニーズに即した支援策などを検討していく。
重層的支援体制整備事業における地域情報の共有について
Q30:多様化複雑化する支援ニーズに応えるため、7年度事業開始の地域共生社会をめざす重層的支援体制整備への移行準備がスタートする。
コロナ禍で弱まっていた多様な主体の連携を再構築し、地域情報や機微な個人情報等を関係するステークホルダー間で安全に共有できるしくみづくりを6年度どのように整えてく予定か、伺う。
A30:多様な主体の連携については、地域との協働を推進するため、積極的に地域へ出向き、顔の見える関係づくりや地域支援者の発掘を行うとともに、関係機関が集まる検討会において、各分野で把握する地域資源の共有を行い、重ね合わせることで、多様かつ柔軟な支援ができる体制を構築していく。
これらに伴う個人情報の共有については、相談支援機関間において、本人同意を基本とする一方、本人同意が得られない場合は、社会福祉法に基づく「支援会議」の構成員に対して守秘義務を設け、情報の共有等の体制を整え、構成員同士が安心して複雑化・複合化した課題を抱える相談者を支援できるよう、進めていく。
区民との合意形成について
Q31:世代間の問題のように、一見対立して見える課題に対しては、先に方法から考えず、目標共有から始め、第三の選択肢がないかも含め、ラテラルシンキングで合意形成と解決を図ることも必要。今後の区民との合意形成について考えを伺う。
A31:目的を共有し、固定観念にとらわれることなく、多角的な検討を行うことで、合意形成を図っていくことは、地域課題の解決にあたって、極めて重要であると認識している。
今後とも、電子媒体を活用したアンケートやオープンハウス型の説明会など、効果的な意見聴取の方法を取り入れることで、様々な意見の中から、共通の理解を見出し、円滑な合意形成が図られるよう努めていく。
障がい者グループホームのニーズ量調査について
Q32:新たな障がい者児計画の障がい者グループホーム整備計画は見込みニーズ量に基づく計画とはなっていない。
令和9年度スタートの次期障がい者児計画に向け、障がい者グループホームのニーズ量調査を行うべき。
A32:区では、障がい者グループホームの利用を希望される方に対し、関係機関とともに利用に向けた支援を行っている。
こうした個別支援によりニーズ量を把握するほか、「障害者・児計画」の策定に当たり実施する「障害者(児)実態・意向調査」において、障害者グループホームに関する質問項目を設け、将来の希望を含めた実態を把握することとしている。
従って、障害者グループホームのニーズ量調査を行う考えはないが、本計画では、令和6年度から8年度までの3年間で新たに20人の定員確保を事業量としており、引き続き、障害者グループホームの拡充に取り組んでいく。
育成室の待機児童解消に向けた整備ついて
Q33:新年度は育成室定員360人分10室を整備し、地域偏在を調整するタクシー送迎、児童館のランドセル来館、放課後全児童向け事業を全校18時半まで延長するなどの育成室加速化プランを評価するが、従来の国基準の学童ニーズ量推計では実際との乖離が大きい。
令和7年の子育て支援計画改定にあたっては区独自に保育園年長児の数からニーズ量を算出していくとの議論もあるが、この推計法に基づいて育成室待機児童をゼロにするためには、令和6年度は定員何人の整備が必要か。
A33:育成室における令和6年度のニーズ量調査については、令和5年度の保育園及び区立幼稚園預かり保育を利用する年中児の人数に、令和5年度の年長児の育成室入室割合を乗じて推計したところ、現時点でさらに100人程度の整備が必要であると見込んでいる。
入室希望者の地域偏在があることから、待機児童の解消が達成できるか否かの判断は容易ではないと認識している。
引き続き、育成室待機児童解消加速化プランのもと、必要性が高い地域にスピード感を持って育成室を整備することにより、待機児童の早期解消に努めていく。
保健師のキャリアパスと配属先の拡大について
Q34:医療専門職の知識が必要な部署が増えている。
また、専門職として多くの現場を経験し、赤ちゃんから高齢者まで全世代の健康管理を担う政策立案能力を高め、管理職をめざすキャリアパスを提示することが求められている。
今後はさらに保健師がローテーションする部署を増やす人事体制にしてはどうか。
A34:近年、地域保健を取り巻く状況は大きく変化し、医療専門職であり、地域保健対策の主要な担い手である保健師について、保健、医療、福祉、介護等に関する最新の専門的な知識及び技術、連携・調整にかかる能力、行政運営や評価に関する能力を計画的に養成していくことは、区の保健福祉施策の推進において重要である。
区は保健師に求められる能力を、国が示す「自治体保健師の標準的なキャリアラダー」により整理し、保健師の専門的能力及び管理期保健師の向けた能力の育成を目指して、保健師活動の領域ごとに新任期から体系的に人材育成を図っていく。
保健師が能力を高めるためには、さまざま業務経験を重ねることや、ジョブローテーションによるOJTと研修を組み合わせた人材育成の仕組みを構築することが重要であり、今後も計画的に育成を行っていく。
職種の専門性や各職場における業務との関連性等も考慮しながら、慎重に判断していく。
東京ドームの機能更新等について
Q35:東京ドームの機能更新等の情報については、なるべく早くご提供いただけるよう三井不動産に働きかけていただきたい。
A35:東京ドーム周辺は、都市マスタープランにおいて、区の中心的な役割を果す都市核の一部に位置付けている。
また、現在進めている都市マスタープランの見直しでは、賑わいと交流を創出する都市交流ゾーンとして、東京ドーム周辺を含めた春日駅・後楽園駅、水道橋駅、飯田橋駅周辺の地域を位置づける予定。
現在のところ、事業者から東京ドームの機能更新等に関する具体的な情報は聞いていないが、引き続き速やかな情報提供を働きかけるとともに、今後、事業者から整備計画の方向性等が示された場合には、都とも連携しながら協議を進めている。
東京ドーム内の施設と連携した、区の活性化事業について
Q36:IMMシアターなど、(東京ドーム内の)新たな施設と連携した区の活性化事業の予定はないのか。
A36:サッカー文化創造拠点として、昨年12月に東京ドームシティ内にオープンした、日本サッカー協会の施設である「blue-ing(ブルーイング)」において、最新のデジタル技術による次世代型の展示や体験を活用した区民向けのスポーツイベントの実施の可能性について、現在、協会と連携し、検討を進めている。
同施設は、区内の博物館・
美術館・庭園により結成されている、文の京ミュージアムネットワークにも加入してもらっている。
区の新たなCO2削減目標について
Q37:COP28では2035年までに2019年比60%のCO2削減の必要性が再確認され、国も令和7年に向け検討するとしていることから、区の地球温暖化対策地域推進計画CO2削減目標の見直しも、地球沸騰化の時代に求められるより高い目標に再検討が必要。
A37:来年度に実施する「地球温暖化対策地域推進計画」の中間の見直しにおいて、国や都の動向を踏まえたうえで、主体的に目標数値を設定していく。
地球温暖化対策地域推進計画の改定スケジュールと若者参画について
Q38:気候正義の観点から将来世代の若者が意思決定に参加することは重要。「若者の活用場所や、様々な意見を受け止める手法について研究し、気候変動対策に反映させる」との区長答弁を裏付ける、見直しのスケジュール、気候変動対策への若者参画の研究計画を伺う。
A38:令和6年度の地球温暖化地域推進協議会や地球温暖化対策推進本部等で随時検討を進め、11月定例議会で素案を、2月定例議会にて最終案を報告することとしている。
若者を含めた区民に対しては、秋頃にワークショップを開催し、改定計画における理念や将来像等について、学生や文京区環境ライフサポーター等との意見交換を行い、意見を集約し協議会等へ提言を行うこととしている。
学習者用タブレット端末の更新について
Q39:令和8年度に予定されている教育用タブレット端末の一斉更新については、新たに、公立学校情報機器リース事業により、1台55,000円の国補助が出ますが、この補助金の活用等を含めた計画的な財源確保が求められる。また、他自治体と更新時期が重なるので、端末確保のために事業者との早めの調整が必要。方針を伺う。
A39:ご指摘の補助事業の活用も想定し、学習者用タブレット端末の更新に必要な経費について、今後検討していく。
また、令和8年度に予定している学習者用タブレット端末の一斉更新に向けて、現在の活用方法を踏まえた課題の整理を行うとともに、計画的かつ効率的な調達ができるよう、事業者からの情報収集及び学校への業況確認を行い、使用やスケジュールの検討を進めていく。
教材等の無償提供による子育て世帯への経済的支援について
Q40:憲法26条2項の「義務教育はこれを無償とする」理念の実現のため、区立学校における教材費の無償化を求める声が上がっている。
(子どもの教育に係る子育て世帯への経済的支援は、効果や公正さの観点から)現金給付より、(区が設置者である)区立学校や教育センター等による(所得制限のない)教育の無償提供による支援を優先すべきと考えるが、いかがか。
経済的支援の効果や公正さについての検証はいかに行われるべきとお考えか。
A40:教材費の無償化等、無償の教育提供については、子育て世帯の支援全体の枠組みの中で検討すべき課題と認識しており、今後も社会情勢や国・都の動向を注視しながら、適切に支援を行っていく。
給付金については、使途を区として把握できないため、経済的支援の公正さの具体的な検証は困難。
歳入について(令和6年度予算総括質問②)
区民税の課税所得水準と中小企業の賃上げを支える支援等について
Q8:歳入の約3割を占める特別区税について、今後の物価高に伴う歳出増を支えるためには、納税者の課税所得水準が伸び続けることが必要。
そのために、区としても中小企業の賃上げを支える支援や、この秋の特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(いわゆるフリーランス保護新法)の施行を踏まえた労働者保護の知識啓発が必要では。考えを伺う。
A8:省エネや生産性向上のための設備投資への補助や各種認証取得費の補助等により、区内中小企業の企業力向上にむけた取り組みを支援することを通じ、賃上げに不可欠な経営基盤の強化を図っている。
また、労働関係法令については、労働者保護の観点からも重要であることから、東京労働局との共催によるセミナーを実施するなど、今後も関係機関と連携し、事業者への周知啓発に努めていく。
ふるさと納税について
Q9:(令和6年度の想定で区外流出額が約42億8000万円にも上るといわれる)ふるさと納税対策については、寄付メニューを増やし、一般寄付金として確保目標額を4000万円としていますが、よりいっそう野心的な目標が必要ではないか、今後の方針を伺う。
A9:来年の歳入見込みは、子ども宅食プロジェクトなどのクラウドファンディング分を含めて、1億円の寄付を目標とし、一般寄付金としては、4千万円を見込んだところです。
来年度、取り組みのさらなる強化を図るため、区内の魅力ある個店等から返礼品を公募する仕組みや、区内大学と連携し、ふるさと納税を活用した財源確保の仕組み等の検討を進めており、これらの取り組みを進めることで、当初の目標を超える寄附を目指していく。
減収への対応として、昨年10月の区報において本区の減収状況について周知するとともに、寄付金の使途の拡充を図り、区民へ呼びかけた。
今後も、寄付者が本区を応援したいという気持ちのより一層の醸成につながるよう、区の地域や産業の魅力を発信するとともに、魅力ある返礼品の拡充等により、寄付金による更なる財源の確保を図っていく。
森林環境譲与税について
Q10:森林環境譲与税について、区は区民周知、公共施設整備の木質化、わかりやすい使途公表について取り組むとしているが、
区長会においては「特別区における森林環境譲与税の活用~複数区での共同連携の可能性~などの研究」が進められてきた。
文京区も近隣区と連携した取り組みを検討すれば、さらなる事業効果が期待できるのでは。見解を伺う。
A10:特別区長会報告書では、近隣区と連携した取り組みについて、規模拡大によるスケールメリット発揮や事業メニューの多様化などのほか、連携先の拡大や事務負担の軽減などのメリットが示されている。
事業効果の高い事業に効率的に活用するためにも報告書に示されている点は重要と認識している。
今後、引き続き、森林環境譲与税の効果的な活用方法について、検討していく。
定額減税等について
Q11:定額減税による減収分、約11億円は地方特例交付金で全額補填されるが、急に決まった複雑な制度であり、区民にわかりにくい面がある。そして臨時的な給付や減税は自治体負担が増大することも事実。
国・広域自治体・基礎自治体には役割分担があり、それぞれがイコールパートナーであることを改めて再確認するよう国に声を上げてほしいと考えるが、どうか。
A11:令和6年度の個人住民税にかかる定額減税及び定額減税を補足する給付にかかる事業については、所得税減税に加え、個人住民税の減税や減税不足額に対する調整給付等が追加となるなど複雑な制度になっている。
そのため、税額通知の際にチラシを同封することやホームページ等での周知などにより、区民の皆様にわかりやすいものとなるよう丁寧な説明を行うこととしている。
事務にかかる一定の負担はある。
必要な人員配置等による体制面の措置や国や他区との情報交換などによる事務効率化など、負担軽減に努めながら、本区として、確実に定額減税や給付等を実施できるよう準備を進めている。
また、定額減税等における国と地方公共団体との役割分担に関しては、昨年12月に閣議決定された「令和6年度税制改正の大綱」において、国と地方自治体が連携し、早期の準備や周知広報等を行うこととされており、その趣旨を踏まえ、基礎自治体としての役割を果せるよう取り組むこととなっている。
地方分権については、特別区長会において、「基礎自治体が実質的に地域の総合的な行政主体として役割を果せるよう、事務移譲や義務付け等の関与の見直しを行うこと」などについて要望している。
昨今の臨時的な給付や減税等、個別の事務等についても機会を捉えて適切に対応していく。
都区財政調整協議における新規算定等について
Q12:特別区交付金は、普通交付金の需要額算定について、新規13項目、算定改善等28項目、その他1項目が盛り込まれることになった。文京区の新規算定・算定改善等の対象となる事業はどのようなものがあるか、教えてください。
A12:普通交付金に係る需要額算定については、大半の区が実施し、標準区経費としての妥当性があると考えられる事業を区側提案としているため、原則、新規算定や算定改善等となった事業については、おおむね既に本区で実施している事業がその対象になったものと認識している。
具体的には、新規算定の対象として、「ひきこもり等自立支援事業」や「帯状疱疹ワクチン予防接種費用助成」、また、算定改善等では、「細街路拡幅整備事業」や「はたちのつどい」などがその対象となっている。
特別区財政調整交付金における都区間の配分割合に係る協議について
Q13:懸案の児童相談所関係経費等の配分割合の変更についてはプロジェクトチームによる検討が始まるとのことで、その成果に期待している。今後の目標スケジュールを伺う。
A13:昨年12月、第1回目のプロジェクトチーム及びワーキンググループが開催され、さらに、本年1月にも第2回目が開催されている。
「都と区で、児童相談所の事務の位置づけについてどのように整理すべきか、認識を共有することを目的としており、児童相談所に係る児童福祉法上の確認や、地方自治法上の事務整理、さらには、「役割分担の大幅な変更」に係る検証と議論が、今年度末までに取りまとめられるよう、都区双方で努めることとしている。
特別区財政調整交付金に係る特別交付金の算定について
Q14:特別交付金算定の“ブラックボックス”についても他区と手を携えながら解明を図っていただきたい。
令和6年度の戦略を伺う。
A14:令和6年度都区財政調整協議において、区側は特別区交付金の算定の透明性・公平性の向上に向けて、算定事業の一部例示化を提案したが、都側は「現行の算定ルールは透明性・公平性の確保の観点から大きな問題はない」と主張し、双方の合意には至っていない状況。
今後も継続して議論を行うとともに、他区の状況に係る情報収集にも努めていく。
併せて、算定内容が客観的かつ明確に規定されている、普通交付金による対応を図るため、特別交付金の割合を5%から2%に引き下げるよう、引き続き主張していく。
都の新規事業を踏まえた区の事業実施について
Q15:都の新規事業は近年サプライズが続いており、都民やマスコミだけではなく、カウンターパートである区担当者ですら予算発表で事業開始を知る異常事態が増えている。
都の新規事業等の中で区の当初予算に間に合わなかったが年度途中で文京区で実施できそうな事業はどのようなものがあるか、また都の新規予算の情報を早く得るためのこれまでの取組みと成果を伺う。
A15:都の令和6年度予算案において示された補助事業のうち、保健衛生部で高齢者肺炎球菌ワクチン接種補助事業における任意接種対象者の拡充や教育推進部でのエジュケーション・アシスタント配置支援事業については、都の補助金を活用した事業実施を検討している。
また、都のHPVワクチン男性接種補助事業を活用した事業については、毎年11月に報道発表されるとの予算要求の状況確認等を行い、当初予算に計上している。
今後も継続的な情報収集に努めるとともに、積極的に都の補助事業を活用した事業実施を検討していく。
受益者負担の見直しについて
Q16:使用料・手数料・利用料については、税制改正や新規事業等の開始など設定当初とは状況が変化しており、受益者負担の見直しが必要ではとの声が聞かれる。考えを伺う。
A16:現状では、物価高騰等の影響を鑑み、受益者負担の見直しを図ることは難しいと判断しているが、一方で、今後の社会情勢を見極めつつ、利用者負担割合の区分見直しを含めた積算方法等の再検討を行い、より適正な受益者負担への取り組みが必要と考えている。
キャッシュレス決済について
Q17:いくつかキャッシュレス決済の導入が盛り込まれているが、その今後の方向性と決済手数料に対する考え方を伺う。
A17:重点施策である文京区DX推進プロジェクトにおいて、病児・病後児保育施設の保育料や窓口におけるキャッシュレス決済の導入を予定しており、今後も利用件数が多く、キャッシュレス決済のニーズが高い、手数料等の支払いにおいて、決済端末やオンライン決済フォーム等を活用し、その導入を推進していく。
なお、決済事業者に対する手数料負担の在り方については、先行自治体の事例も含め、今後研究していく。
特別区債と金利に対する考え方について
Q18:将来負担の公平性の観点から平準化が起債の目的であることは理解しているが、中長期的には金利の動向を注視していく必要があると考える。特別区債と金利に対する考え方を伺う。
A18:起債に係る金利の上昇は、公債費支出の増加につながり、中長期的には、義務的経費の増大や経常収支比率の上昇にもつながると認識している。
そのため、長期国債や特別区債の金利の動向に注視するとともに、起債依存度や公債費負担比率などの財政指標にも留意しながら適切な借入額を見極め、計画的な元金と利子の償還につなげていく。
住民参加型市場公募債について
Q19:借り入れは公的資金を優先する方針が示されているが、区民に利益を還元しながら資金を調達し、区民に愛される施設建設をめざすため、これまでも何度か行われてきた住民参加型市場公募地方債の発行を検討されてはどうか。
A19:住民坂形市場公募債は、区政への参画意識の向上や資金調達手法の多様化といった利点があると考えている。
一方で、公的資金と比較した場合、一定の手数料が発生するため、住民参加型市場公募債の対象として、区民協働で整備していくにふさわしい施設かどうかなど、総合的に勘案しながら、その実施を検討していく。
基金の取り崩し額を抑えるための対策について
Q20:今後、財調基金は標準財政規模の30%を維持したいとしているが、基金取り崩し額を抑えるためにどのような対策が必要か、その計画をどのように実行していくつもりか、伺う。
A20:今後の財政運営においては、一定の基金残高を確保していくため、計画的かつ効率的な予算の執行と、積極的な歳入の確保に取り組み、それにより生じた財源を、財政調整基金や特定目的基金に積み立てていくことが重要。
今後、次期「文の京」総合戦略に掲げる「財政状況と今後の財政見通し」について、全庁的な周知と理解に取り組むとともに、引き続き、国及び都支出金の確保などによる財源確保に努めていく。
また、予防保全の考え方を取り入れた、公共施設整備の計画的な実施や、既存事業等の不断の見直しにより、歳入と歳出のバランスを考慮した予算編成に努めていく。
特定目的基金の計画的な活用について
Q21:公共施設等総合管理計画において10年間で約1500億円の建設資金を見込んでいることから、特定目的基金の活用にも計画が必要と考える。方針を伺う。
A21:特定目的金の対象となる工事費などは、設計に基づいて算出されるとともに、国や都の補助金、さらには、特別区債もその財源となるため、具体的な目安をお示しするのは難しい。
しかし、学校施設等の計画的な改築・改修、また公共施設の老朽化への対応など、多額の経費を要する事業を計画的に進めていくためには、公共施設等総合管理計画による試算も参考にしつつ、学校施設建設整備基金及び区民施設整備基金の残高を一定確保していく必要があると考えており、引き続き、特定財源の確保や、効率的で効果的な歳出予算の執行に取り組んでいく。
建設資金に係るインフレーションリスクについて
Q22:物価高の傾向は今後も続くと見込まれ、建設資金の見通しが上振れする恐れがあるが、インフレーションリスクをどう考え、対応していく方針か伺う。
A22:ご指摘の通り、令和3年以降、都における建築資材物価指数は大幅に上昇しており、インフレーションリスクを踏まえた、財政運営が必要であると認識している。
そのため、改定を進めている「公共施設等総合管理計画」において、予防保全の考え方を取り入れ、計画的な施設の大規模改修や更新を行うことを方針として示している。
今後、各施設の改修・更新に向けた計画を立て、その内容についても進行管理を行い、併せて、物価高騰による建設コストへの影響にも注視し、適宜、計画を見直すことで、コストの平準化を図り、整備を進めていく。